水分・飲み物の過剰摂取で起こる 水中毒とはどんな症状なのか

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水分

福祉施設で多く見られる水中毒

僕は障害者福祉施設で働いていますが、同法人内の各施設に大体数名ずつ水中毒と言われる方がいます。

読んで字のごとく、水中毒は水分の過剰な摂取量が、腎臓の濾過機能の限界を超えて細胞内に溜まったり、血液中に入り込んでナトリウム濃度を下げてしまう事により、様々な健康上のトラブルにつながります。

自閉症や統合失調症の方に多いことが特徴の一つとなっていて、自由に水分摂取を行うことができるADLの高い、自立した生活のできる方では、その自立度の高さゆえに水分を過剰に取り過ぎてしまうことを止めることが困難であることから、過剰摂取によって体内のナトリウムバランスが崩れてしまい、低ナトリウム血症を起こして様々な影響が出てしまいます。

この障害者に多いという特徴の一つに抗精神薬の副作用などが挙げられています。

水中毒の症状

軽度のものから挙げていくと

疲労感⇒頭痛や嘔吐、精神的な症状⇒痙攣、昏睡、性格など変化⇒神経伝達系に影響、呼吸困難など命に関わる症状となっています。

印象としては

どんどん元気がなくなっていく雰囲気と、性格的にいつもより不安定な様子が伺えます。

パーカーの頭部分を被ってどんよりしていたりというのが、現在僕の見ている施設で実際にいる方の特徴的な状態の悪い時の様子です。

水中毒の基本知識

血液中のナトリウムが一定以下の濃度に薄まることで、神経伝達系に異常をきたします。

血液中に大量の水分が取り込まれると、ナトリウムの量が変わらなくても、濃度(%)が下がってしまうので、塩分を普通に摂取していたとしてもこういった健康上のトラブルが起こります。

熱中症予防のためにナトリウムを含まない水分をガブガブ飲むと、汗で失われるナトリウムも相まって水中毒同様に低ナトリウム血症を起こします。

ふらついたり、意識障害が出たりと、症状はどちらも似ているので、水中毒の疑いのある方はこの目線で見てみると分かりやすい部分もあります。

水中毒 まとめ

水中毒は水分の過剰摂取によって、血中のナトリウム濃度が下がり過ぎることで起こる健康トラブルです。

その分塩分を過剰に摂取する方法もないではありませんが、体への負担は大きく、腎臓は大量の水のろ過に追われて過重労働になるため、やはり根本的には水分の摂取量を減らしていくことが重要です。

スポーツドリンクでミネラルバランスが考慮されているものもありますが、基本的にはその程度のナトリウムでは不足であること、(これで防げたら夏の熱中症はだいぶ減るんですが、世の中そんなに甘くない・・・)

味のある物はただの水よりも後を引きやすく、飲む量がさらに増えてしまうことからおススメできません。

カロリーのあるスポーツドリンクである場合には、カロリーの過剰摂取で肥満や生活習慣病へと発展してしまうこともあるので、不用意にこういった手を打ってしまうと悪手となる場合があります。

水分を減らす方法もかなり困難で、現代では水はその気になればどこでも飲めます。

聞いたことのある話では、水中毒で、1日の水分量を制限されていた方が、「トイレに行く」と言って、トイレの手洗い水道から水をがぶ飲みしていたというものがあります。

まさかトイレを制限することもできませんから、基本的には本人に水中毒について知ってもらい、理解の上で水分制限を行う事が望ましい対応となります。