スポーツの常識の移り変わり うさぎ跳びや水分補給、今後は腹筋運動にも
スポーツの世界では、より良い成績を出すためにトレーニングやそれに関する環境が日々改善されています。
今回はそんな中で、僕たちの若い頃の常識であったものの中で、現在は非常識になっているもの、残されている非常識など、移り変わりの部分をメインに書いていきます。
うさぎ跳びはなぜ行わなくなったのか?
昔、スポーツ強豪校はこぞってうさぎ跳び、更に言うと階段をうさぎ跳びで上がるようなトレーニングを行っていました。
これは実際に行うと太ももに乳酸が溜まってパンパンになることもあって「トレーニングをした満足感」を得ることができます。
では、太ももがパンパンになる程のトレーニングであるうさぎ跳びはどうして実施されなくなったのかというと
膝を壊すためです。
特に部活動では成長期の子供に無理にうさぎ跳びをさせることで、未熟な膝関節に大きな負荷をかけるため、ケガが相次ぎました。
それでも、そういったケガがうさぎ跳びを原因としているのかは関連性が分かるまでには非常に長い年月がかかりました。
科学的に証明されてもなお、それを認めたくない指導者もこの当時は多くいたという事もあるでしょう。
しかし、現在ではうさぎ跳びという言葉すら死語となっている印象なので、ようやく駆逐することができたのだと思います。
この代わりに正しい姿勢でのスクワットなどを行うことが現代的なトレーニングとなっています。
腹筋も同様の変化が起きつつある
腹筋の運動に関してもうさぎ跳び同様の変化が起きつつあります。
クランチと言われる従来の腹筋運動は腰への負担が大きすぎることから、行われないものになりつつあります。
この代わりに体幹トレーニングと言われる、バランスとることで腹筋・背筋を鍛えるトレーニングなどがメインに据えられるようになってきています。
特に背の高い人はクランチによって腰を痛めやすいことが分かって切るので、日本バスケットボール協会ではいち早くこういった腹筋運動を行わない指導を打ち出しています。
このように以前の常識が、実はケガの原因であり、それに代わる良いトレーニングがある場合にはそちらに移行していくという流れができつつあります。
水分補給
僕の学生の頃は水分の補給は禁忌のように扱われていました。
これも恐らく、辛い思いをすることが競技成績を上げるという根性論的なものに基づいていたと思います。
それが今では、運動時に体内の水分がわずか数%失われただけで、競技パフォーマンスが著しく低下することが分かっていて、練習時であっても、質の良いトレーニングを行うために水分補給は必須となっています。
僕の頃は水が飲めるようになっただけでも嬉しかったのに、すぐに味のあるスポーツドリンクなんてものまで出て、辛かった練習が一気に天国のように感じられたのを覚えています(案外大げさでない)
現在では運動のパフォーマンスだけでなく、熱中症や脱水症状を予防するためにも水分補給が重要であることは一般的な知識ですが、わずか20年前までは、そんな知識すら運動の現場にはなかったということです。
水分変化に続いて食事の摂り方も
最近は水分だけにとどまらず、食事面についても同様の変化が起こりつつあります。
運動後になるべく時間を空けずに食事を摂取することで、肉体の回復が高まることが分かってきています。
サッカーのグアルディオラ監督は自分のチームの選手には試合後1時間以内、できればスタジアム内で食事を済ましておくことを推奨しています。
これは次の試合までの回復具合に大きな差が出るからだと著書の中で語っています。
このように、何をいつ摂取するのかという知識もバージョンアップされていっています。
それでも残る旧時代の指導
そうはいっても、昔ながらの根性論は無くなりません。
これは指導者に課題があることがほとんどです。
主な問題点としては
・指導者が新しい知識を得ていない
・練習量を減らして結果が伴わないと責任を取らされることを嫌う
こういった部分が見られます。
このため、特に子供がスポーツをする際には指導者が最低限の知識を持っているかなど大人が判断してあげる必要もあると思います。
最近見た例では、炎の体育会TVという番組で全国大会に出ている卓球の強豪中学校の練習風景を流していましたが
・年間の休みが1~2日
・朝は7時からコート100周走る
ザ・根性論の指導をしていました。(SNSでも非難の声があってホッとしました)
この練習の問題点は
・一番学ぶものが多い時期に卓球以外のものを得られない
・持久力系のトレーニングを最初に行うとその後の瞬発力系のトレーニングの質が下がる
・そもそも卓球は瞬発力の方が重要
・コート100周走るスタミナと卓球の試合で使うスタミナは別もの
こんなに非効率なトレーニングがまだあるんだ、という驚きと反面教師として非常に分かりやすい例えになるので、新しい知識や合理的なトレーニングの必要性を知るのに最適なケースとも言えます。
個人的にケガリスクが高いことや、効率の悪さも気になりますが、もっとも大きな問題点として、多感な時期に卓球以外の時間を持たないことが人生におけるリスクだと思っています。
卓球で挫折した時にどうするのか・・・
合理的なトレーニングはケガ防止だけでなく、時間をコントロールすることで人生を豊かにすることにもつながります。
多くの種目の多くの指導者は自身でも意欲を持って学習しています。
こういった方々の活躍で、根拠のない・あるいは間違った方法が減っていくことを願っています。