食事療法の変容 糖尿病食の自由度や血糖コントロールも変わる

スポンサーリンク
食事療法

食事療法の移り変わり

以前は糖尿病などの食事療法については、食べたいものを制限されるという引き算的にネガティブな印象でした。

それが現在はそれぞれの食事習慣に合わせたオーダーメイド方式に少しずつですが、なりつつあります。

今までは糖尿病になってしまったらこの世の終わりかと思うような厳しい制限を受けた食生活を送らなければいけない・・・

とは大げさですが、僕が病院勤務の時にも

糖尿病になったら一切の間食禁止

お菓子とか絶対ダメ

お酒なんてもってのほか

こんな感じで栄養指導を勧めるように教えられました、守りませんでしたけど(笑)

今まではあまりにも、栄養士サイドが「糖尿病の方が状態改善するために理想的な食事を食べてもらう」事に執着し過ぎて、本来の目的であるはずの糖尿病の改善よりも、正しい食事の摂取自体が入れ替わって目標になってしまっていた気がします。

患者さんは栄養士の自己満足感や自己肯定感を満たすために話を聞きに来るわけではないですからね。

糖尿病の食事にも幅が生まれる

ざっくりと言ってしまえば、糖尿病の方は「血糖値のコントロールができれば良い」わけです。

そして、1日、理想から離れた食事をしたからすぐに致命的な状態になるわけではありません(他の日がコントロールできていれば)

そしてカロリーにばかり目が行ってしまっていた今までの指導も方法論としては確立されていますが、糖質自体をコントロールできれば、カロリーは基準を超えても血糖値のコントロールには支障がない事も分かっています。

これを上手に利用すれば、血糖値をコントロールしながらも高カロリーのものを食べられる可能性もあるわけです。

血糖をコントロールすることの大事さ

従来の栄養指導でもっとも欠けていた部分はここではないかと思います。

糖尿病なんだから血糖値をコントロールするのは当たり前

そんな常識が通用するのは、自分達がそういった勉強をしていたり、病院に勤めているからで、同じ理解を一般の患者さんに求めるのは根本的にどうなのか。

もちろん糖尿病の一般的な理解度はだいぶ高くなっています。

そうはいっても、最終的には

「どうして血糖値をコントロールする必要があるのか」をしっかりと理解してもらうことで、途中で挫けそうになった時などに踏みとどまれるかなどが変わってきます。

血糖値が高い糖尿病で、高血糖の状態が続くことは合併症になる可能(危険)性を高めます。

糖尿病の合併症は予後の悪い物が多い

糖尿病性腎症であったり、網膜症、壊疽

失明の原因として糖尿病の合併症は割合も多く、壊疽については身体の末端から始まるものの、症状は最終的には全身くまなく症状も出ます。

失明後はもちろん再び見えるようにはできないですし、壊疽についても、最終的には切除に至ることがほとんどです。

こういった合併症の恐ろしさをきちんと伝えることが大切で、

糖尿病なんだから血糖値コントロールして当たり前。

というのは理由ではなくて、これも本来は合併症予防のための手段だったはずです。

こういう部分を理解してはじめて

血糖値をコントロールするべき、という考えを相手にきちんと理解してもらえるものです。

食事の多用化と可能性

糖尿病食もオーダーメイド式になるとともに、上記のような本来の目的をきちんと思い出せば

・間食だって内容によっては大丈夫

・お菓子だって、血糖値との兼ね合いで食べられるものがある

・食事のカロリーが今までの基準を超えても血糖値はコントロールできる

こういった可能性はどんどん広がります。

間食、お菓子については糖質をあまり含まない、あるいはまったく含まないものであれば良い訳です。

もちろんスーパーで手軽に買えるものではあまりそういったものはありません。

インターネットで探してみると、糖尿病の方をメインターゲットとしたお菓子販売をしているお店がいくつか見つかります。

そういったお店を利用するのも方法のひとつです。

そして自作。

甘い物が好きな場合は、エリスリトールやステビアといった人体に影響のない甘味料を利用してお菓子を作れば(小麦粉は糖質多いのであまり摂取したくないところですが)色々なお菓子を作ることもできます。

食事については糖質制限が流行したおかげで、低糖質のレシピが巷に溢れかえっています。

こういったおかずは糖質が少ないので、カロリーが多めになっても血糖値への影響は少ないのが特徴です。

しかも糖質制限の人達と気持ちを分かり合えるというのも気分的にプラスですよね。

可能性は狭めていくのでなく、広げていける方が良いですよね。

今後もこういった動きが広がると良いと思います。