旬の食材が高いものになってきている
給食の現場で献立を作成したり、発注を行っていると、昔と違うことが意外とあることに気が付きます。
今回はそんな中で旬の食材の変化について書いていきます。
昔の旬の食材の在り方
- 収穫期なので、たくさん市場に出まわり、安い
- 一番良い時期なので栄養も多い
このように安くて栄養満点という庶民の味方という印象でした。
このため、食卓には旬の食材が並び、それが季節感を味わう事にもつながっていました.
現在の旬
- 一年中取れるので、特段安くなるものは少ない、むしろ高くなるものも多い
- 質は高めではあるもののバラつきが見られるようになっている
昔は夏にしか食べられなかったもの、冬にしか食べられなかったものも、今では一年を通して手に入れることができるようになった反面、特に良い時期という、本来の意味での旬がぼやけてきたように感じます。
本来安いはずの旬の食材を購入しようとすると、思いのほか高くて取り入れることを断念することもあります。
昔はたくさん収獲できることから安くなり、栄養もあるというイメージだった旬が一年中手に入る中でも、最も栄養価の高い時期の食材という付加価値に変わってしまい、むしろ高くなるという現象につながっています。
旬がぼやけることで失われるもの
野菜も果物も魚も、季節を問わずに簡単に手に入るようになりました。
一方この便利さの影で失われているものもあります。
それが季節感です。
昔はその食材が食卓に出てくると、「もう秋だなぁ」のように季節を感じさせてくれる食材がたくさんありましたが、今では季節を問わずに手に入ることから、食卓に並んでいる物から季節を感じるという四季と食べ物のつながりを失いつつあります。
もしかすると、若い世代の人たちは「旬」という概念そのものを失うかもしれません。
食べものはいつでも手に入ることが当たり前であり、昔はある季節しか食べられなかったということ自体が知識として失われてしまうことも考えられます。
それはそれで一つの時代の流れとも言えますが、僕のようなおじさんからすると少し寂しいような気もします。