障害者の食事作りは手がかかって大変? それは誤解というものです!

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障害者施設の食事作りは大変?

とある大学の栄養学科からアンケートが来ました。

内容は障害者施設での食事についてというものでしたが。

相模原の事件から1年が経過して、そういったきっかけから学生さんが興味を持ったのかもしれません。

ただ、

アンケートの問いかけ方にちょっと引っかかるところがありました。

食事作りで大変なことは?

困ったことは?

不都合なことは?

どこが改善されると良いと考えるか?

半分以上の質問がネガティブな印象になっているところが、

このアンケートを作成した学生の素直な意見であり、

「障害者の食事は大変なんでしょ?」

という心の声が聞こえてきそうです。

これが一般的な考え方なのかな?

と思ったので、少し現実的にはどんな様子なのかを書いていきます。

障害者だから手がかかる、という考え方に疑問

まず個人的な意見になりますが、

僕は障害者だから食事に工夫をする

という考え方が不自然に思います。

僕らがまだ小さい子供だった頃

母親は離乳食の粒の大きさや温度にどれだけ注意を払ってくれたでしょう?

その子の成長に合わせて大きさや硬さも合わせてくれていたと思います。

そして今後、僕も老いていくわけですが、硬い物は食べにくくなって、柔らかく煮たり、小さ目に切ったりという工夫が必要になるし、歯が悪くなれば、もっと形態を変えないと食べられないかもしれません。

老人施設でも同様の課題を抱えていると思います。

さらには、病気をきっかけにして普通の食事が難しくなる可能性も充分にあります。

みんなに必要なことなのに障害者特有のものみたいにしなくても。

無いジャンルを無理矢理作っているような。

こういった区別は差別につながりかねないので、

不要な所での区別は避けるべきかなと考えます。

障害者の食事という言葉が食事を作る人の中にあるうちは

日本では本当の意味での平等性やノーマライゼーションの考え方は広まりづらいかな。

実際のとある障害者施設での食事

実際僕が見ている施設での食事提供は

まさに個別の対応です。

施設の特徴や利用される方の傾向にもよりますが、

オーダーメイドと言っても過言ではありません。

それはもちろん障害があるからこその食事機能の不足も考慮されたものになりますが、

病院の治療食のように 糖尿病だからカロリーはいくつというように障害名で括るわけではありません。

「○○さんの食事」というものになります。

先にも触れましたが

舌を上手く動かせない、しっかりと噛めない、飲み込む力が弱い

これらは障害ゆえの部分も否定しませんが、僕らも老後には機能が衰えて同じ問題にぶつかります。

障害者だけの特別なものだとは考えないで欲しいなぁ、と心の中では思っています。

集計結果の有意性は疑問

知的に障害があっても、それが何歳相当の知的レベルか、

身体障害はあるのか

そういった点を障害と一括りのしてアンケートを取っても、あまり共通点がないので、何に使うのか分かりませんが、取ったデータが意味をなすのかはちょっと疑問です。

今僕は3つの施設の厨房と食事を管理していますが、

施設によって、食事の様子は千差万別です。

まったく普通の社員食堂のような雰囲気で、食事内容もごく普通のものを提供している施設もあります。

一方で医療処置が必要な方もいて、病院のように多種多様な対応を必要としている施設もあります。

一般的に考えて社員食堂と病院に同じアンケートをお願いすることはあんまりないですよね。

これなら近隣の施設を2~3か所尋ねて、直接話を聞いた方が余程参考になると思うのですが。

今回はきっと障害者の食事の大変さを集めたかったのでしょうが、期待通りの返答はできないかもしれないですね。