八訂食品成分表でエネルギーは大きく変わった。
八訂食品成分表が2020年の終わり頃に登場しました。
食品成分表とは、それぞれの食品について
100g中の栄養価を示したものです。
お米100gには何㎉のエネルギーがあって、ビタミン、ミネラルなどもそれぞれどの程度含まれているのかなど記載されています。
この項目についても時代ごとに見直されたりしていて、反映された項目や数字から色々な要望や必要性が考慮されたことを想像するだけでも個人的には興味をそそられるものになっています。
今回出た八訂の食品成分表がこれまでのものから大きく変わったのはエネルギーの算出方法です。
他にもいくつかトピックとなる変更はあるのですが、やはりエネルギーに関するものが一番栄養士にとっても、一般的にも興味を惹かれる所だと思います。
今までは
炭水化物(糖質)は1gあたり4㎉
たんぱく質も1gあたり4㎉
脂質は1gあたり9㎉
こういった基準だったことは知っている方も多いと思います。
これでもそんなに問題はないですし、個人的には今後も手軽に使えるこちらを使う場面もあると思いますが、八訂の食品成分表はこれらの項目を特に炭水化物の項目で更に細分化する事で、より正確な数字を出しています。(世界的な基準に合わせたという感じ)
例えば炭水化物は下記の3つに分かれます。
利用可能炭水化物1gあたり3.75㎉
糖アルコール1gあたり2.4㎉
食物繊維総量1g当たり2㎉
これによって様々な食品のエネルギーが変化しています。
中には100gあたりのエネルギーで100㎉以上増えたもの、100㎉以上減ったものもあります。
ただ、こういった大きな変化は元々重量の軽いココア粉末(増えた方)だったり、せん茶(減った方)で、そもそも100gも摂取しないものやそのまま摂取するわけではないものに多くなっていて、多くの食品についてはそこまでの変化はない方が多くなってはいます。
そして、今までは糖質ゼロなどを謡っていた商品の中にはこの変化によって「記載に偽りアリ」の状態になってしまうものもあります。
今後こういった商品がどのように対応していくのかも興味深いところです。
そんな中で気になるのは日本人の主食であるお米です。
精白米 うるち米は100gあたり36㎉程度少なくなりました。
(炊いたご飯で同100gで七訂と八訂で-12㎉くらい違います)
これが栄養相談やダイエットにとってどのように作用するのかは興味深いと共に誤解されないようにこちらも準備しておく必要があると思える部分でした。
変わったのは数字だけ
なぜお米のエネルギーが下がったことに注意しているかというと
これを知った人から「お米のエネルギーが減ったのだからもっと食べても大丈夫なのでは?」と言われる可能性を考えてのことです。
数字は変わったけれど、これはより正確な数字になっただけであり、お米のエネルギーは八訂以前のものから成分的に変わったわけではありません。
このようなエネルギーが下がったからもっと食べられる、という誤解は多分出てくると思います。
ただ、ごはんのようにエネルギーが減ったものがある一方で、エネルギーの増えた食品もあるのでその部分を強調しながら納得してもらうようにしようと思っています。
その他の変更点
八訂の食品成分表で個人的に感じたことは
チルドや冷凍品など加工品の取り扱いが増えたことです。
この辺りはまさに時代を反映した変化であり、手作りの割合が減少してきている状況を表しています。
個人的には手作りや既製品で差別する気はありませんし、時短することで生まれるメリットも大きいと思っています。
こういった時代ごとにニーズの増えてきた商品を取り入れてくれるのは非常にありがたいです。
作成に関わった方々に感謝。
八訂の食品成分表についてはこれからも触れていくので、その中でまた感じる部分もあると思います。
何か大きな気づきなどあったらまた書いていきたいと思います。
最後に、数字は基準として大事ですが、あくまで基準であり、数字に踊らされるようなことはないように気を付けていきたいと自戒を込めて書いておきます。