相撲取りはなぜ太っているか 太る事のメカニズムと合わせて
相撲の力士はほぼ全員太って見えます。
実際には体脂肪率は1桁の力士もいる(いた)ので、何を基準に太っているというべきかについてはなかなか難しいところもありますが、あんなに体を大きくする理由とその方法について考えていきます。
太る、体を大きくすることでのメリット
これは簡単で、まず地面との摩擦は体重が多いほど大きくなります。
そのため、土俵の外に出す、あるいは投げる事が重要な競技の特性上、地面との摩擦を増やすことで、動かされにくくすることは非常に重要です。
次に立会いに有利であること
立会いはあの巨体がすごいスピードでぶつかり合います。
単純に発揮される力とは速度と体重は速く、大きい方が強くなるので、体重を増やしておいた方が有利です。
そして、プチポイントとして、まわしの上にも肉が載っていないと、直ぐにまわしを取られてしまう部分も無きにしも非ずと僕は睨んでいます。
では、脂肪をつけずに筋肉だけで体を大きくするのは有りかというと、有りなのですが、そこから更に脂肪を付けて重くすれば更に競技の特性上強くなれる(摩擦が増える)訳ですから、鍛えつつも脂肪を付けるのが強くなるのに合理的だという面が、あの体型の秘密です。
相撲取りが太るために行う事
有名なのは1日2食しかしないこと
昼寝をすること
この2点です。
太る方法1:1日2食の食事
体は食事と食事の間の時間が長くなれば、「次の食事まで時間が空くからしっかり溜めこまないといけない」という学習をします。
そのため、脂肪として体内に取り込む活動が活発になり、体重を増やしやすくします。
ボディビルダーはたんぱく質を3時間おきに摂取したりしますが、正反対とも言えますね。
ちなみに、たんぱく質の摂取回数も少なくなりますが、最近ではたんぱく質については1日の総摂取量の方が大事であるという研究内容も多く出ているので、案外大丈夫なんでしょう。
僕は心配性なので回数多く摂取したくなる派ですが。
食べるものについてはほぼちゃんこ鍋。
肉たっぷり、野菜もたっぷり。
みそ味、醤油味、キムチ味など、飽きないように工夫するそうですが、大変ですね。
まさに食べる事も練習のうちといった感じ。
こういった食習慣で、まずは身体に十分なエネルギーと栄養を摂りこんで体を作ります。
太る方法2:昼寝
稽古→食事→昼寝の流れが重要です。
食事の後は消化器官に血液が集まります。
これは食べたものを効率よく吸収する為で、その間は運動は控えた方が良いです。
そう考えると、悪く言えば食っちゃ寝になるのですが、非常に体を大きくするのに効率の良い方法だといえます。
相撲取りもウエイトトレーニング
最近は力士でもウエイトトレーニングを取り入れている方が増えて来ています。
これは、できるだけ脂肪よりも筋肉で体重を増やすことで、健康状態を悪くしない(現役引退後に体を悪くする方は非常に多い)こと、脂肪だけで体重を増やすと膝などはじめ各関節を壊しやすくなってしまうこともあって、取り入れているようです。
少しでも長く現役でいるための工夫は、引退後の暮らしの保証にもつながりますし、大切だと思います。
命を削って戦うことも心を打ちますが、国技と言われていますからね。
親方になっても健康が一番です。
一般人もこの太る知識を利用する
力士が行っている体重を増やす工夫は理解すれば僕達のような一般人にとっても有意義なものになります。
・1食事の回数は少なければ脂肪に変換されやすいので、量は1日3食の時を維持して回数を細目に分けると太りにくいという訳です。
・食後については動かない方が良いですが、「食べてすぐ寝ると牛になる」のことわざ通り、完全に動かないで横になるのは控えた方が良いかもしれません。
あとは、食事を細かく分ける事で、1回の消化吸収にかける時間は短く済みます(回数増えますが)から、食後1~2時間を見て、少し家事をする、歩くなど行うと更に太りにくくなります。
脂肪だけで体重を増やさない、老後も健康に、という目標の為には、トレーニングはスポーツをしていなくても行った方が良いと思います。
筋肉は大事
おまけ知識
ちなみに筋肉がある≠トレーニングが上手いというわけでもありません。
相撲の力士は腕立て伏せや懸垂の出来ない人の方が圧倒的に多いです。
でも、あの脂肪の下には相当の筋肉が隠れています。
これはもちろん、体重と筋肉のバランスによって起ることです。
だからあまり運動して無くて、ヒョロヒョロの人の方が腕立て伏せや懸垂はスイスイできることも良くある話です。
要は筋肉と言っても何に使うか、その目的に合っているかが大切という事ですね。
例えば一般の方は上半身よりも下半身を鍛える事で、階段の昇り降りや、自分の足でいつまでも歩くという目標を達成しやすくなると思います。
いくら胸の筋肉を大きくしても日常生活で「胸の筋肉を使って何かを強く押す」という場面はほとんどありません。
目的をはっきりさせると、自分に必要な物が見えてきます。