先日2つほどの施設で試食会を実施しました。
その様子を個人的メモの意味も込めて書いていきます。
栄養士向けの内容と言えばそうですが、ちょっとした保護者会などがある職種の方は少し役に立ったり、あるあるとして納得してもらえる部分があるのではないかと思います。
試食会とは
利用者のご家族が施設で実際にどのような食事が提供されているのかを見て、食べてもらう機会として設けています。
どんな食事を食べているのかを知らないと、希望や意見も出せないので、必要な部分だと思います。
今回は日程を定めて、そこで何人かまとまった人数で参加していただく形を取りました。
試食会の進め方
会場セッティング
基本的には利用している方々と別の会場を使用することが多いので、その部屋を衛生的に使用できるようにします。
別会場になる理由としては
・食堂のキャパシティの問題
・通常利用している人への影響(特に障害者施設では気を使います)
衛生的に使用するために
出来れば朝のうちに部屋の清掃を済ませておく
→ギリギリに掃除をすると埃など舞ってしまう、そもそも待機する部屋としても使用してしまうことが多いので、ギリギリの時間では清掃が難しいと言った理由から
テーブルなどは除菌できればしておきます。
テーブルは僕は参加者の顔を見渡せる形が好きです。
食べながら「これがおいしい」「これは良くない」という意見交換をしてもらえるとそれ自体がとても参考になる情報になります。
あとで改まって「今日の食事はどうでしたか?」など聞いてみると、案外意見が出にくいものです。
そのため、参加人数にもよりますが、長方形のロの字にテーブルを並べることが多いです。
試食会の進行
普通は
①料理を運ぶ
②その日の献立の説明をする
③実食
④感想を聞く
⑤アンケート記入
というのが一般的です。
僕の場合は
①料理を運ぶ
②実食
③食べながら献立の説明をして、意見をドンドン出してもらう。
④食べ終わって話すことがあればドンドン話してもらう。
これで終了です。
後述しますがアンケートは取ってもあまり実際の献立に反映できないことが多いのでとりません。
そしてアンケートを書くのも意外と手間で、それがなければ参加しても良いのに、という方もいるので、排除しています。
おしゃべりに来てくださいという印象です。
食事に対する意見のもらい方
僕は食べている人に「どうですか?」とドンドン聞いてしまいます。
食べながら周りの人に広がるように聞いていくと結構みんなで意見を出してもらえます。
井戸端会議とか、和気あいあいと話を進めてもらう感じです。
これが一番本音が出やすいと感じています。
やはり世間話が一番大切です。
これは結構独特な方法みたいで、他の栄養士に話を聞くと、大体少しお硬めの進行することが多いようです。
僕がこの方法を続けるのは、以前偉い人(例えが雑)がこの形の試食会に同席した際に、ご家族の話が盛り上がって、食事以外の色々なことを話してくれる様子を目の当たりにして、「この方法を続けるべきだ」という意見をいただいたためです。
個人的には崇高な狙いがあったわけではなくて、「なんでもできることなら楽しいに越したことは無い」という考えでやっていたのですが。
食べに来たご家族だって、難しい顔して料理の批評に来たわけではないですし。
そして個人的に最も重要だと思っていることは、
たくさん意見が出ても
決してメモを取ってはいけない!!
これに尽きます。
メモなんて取り出そうものならば
相手側は「自分の意見が書き留められる」という警戒感から、本音が出にくくなります。
そして食事以外の話をたくさん聞くようにします。
栄養士を相手に献立が悪いとか味付けが・・・という話はしにくいものですが、他のことは話しやすいし、施設の愚痴も食事以外であればむしろ専門職には言いやすい場合があります。
そういった、一見食事とは関係の無い話題でも、いずれ役に立ったり、一周回って食事そのものに関連する情報になったりします。
急がば回れですね。
そのため、試食会と銘打っておきながら、他の職種への情報提供量が多くなったりもします(笑)
試食会にアンケートは不要
栄養士にもよるのですが、個人的にはあまりアンケートを取りません。
アンケートを取って、そこでたとえば「もっと量を多くして欲しい」「嫌いなピーマンは入れないで」と書かれた場合に、それを実行するのかと言えば、施設の方針にもよりますが、反映できないことの方が多い訳で・・・
そうなると
「アンケートは何のために取るの?」
「あるいはアンケートに書いたのに!」
となってしまうので、個人的にはアンケートよりも、試食している傍らで、どんな意見が出るのかを聞いていることの方が有効だと思っています。
もちろんアンケート内容を反映できる条件が整っているのであれば実行すべきですが。
アンケートを取る注意点としては、アンケートを取って、集計すると、仕事をした気になれてしまうので、その満足感を得るために取ってしまうという点になります。
実際に出る質問など
うちの子の分はもっと多くしてもらう事ができるか?
嫌いな食材は取り除いてもらえるのか?
この2つが良く聞かれる内容です。
この2つをどうするかは基本的に施設の方針によります。
栄養士が勝手に決めて良いという場合はあまりないと思います。
そのため、事前に上司にどこまで対応するか、できないことについてやって欲しいと強い要望が出た時にはどう話をするかを確認しておくことも大切です。
あらかじめ施設として食事についてどのように考えているのか伝えることを責任者からしてもらうことなども有効かもしれません。
単純に食事を食べてもらう会とは言っても、作る側にも想いがあり、食べる側のご家族にも想いがあるので、すべてが上手くいくとは限りません。
そうだとしてもご家族の想いはきちんと受け止めておくべきだし、まして拒絶してはいけないと考えています。
厳しい意見だとしてもすべて受け止めて今後の糧とさせてもらうくらいの気持ちで取り組んで、できればみんなが楽しいものにできると良いと思います。