糖尿病に新名称という試みは成功するのか
糖尿病という言葉にネガティブな印象があるという事で
日本糖尿病協会が数年後の名称変更を提唱していくという記事が出ています。
このブログを書いている2022年現在では、まだ小さいニュースで扱われる程度ですが、今後の進捗も注目していきたいので、その内容を簡単に書いておきます。
変更した名称の定着は難しいかも
個人的に例え名称を変えたとしても、かなりしっくりするものを選ばないと定着が難しいのではないと思う点があります。
例えば、糖尿病と同じく生活習慣病の1つである脂質異常省
これは2007年に高脂血症から名称変更されていますが、未だにあちこちで「高脂血症」という言葉を耳にします。
この名称変更はすごく納得出来る内容があって、脂質が低い場合の課題もあるので「高脂血症」だとおかしいという現実的な理由によるものです。
そんな状況でも完全に定着させるには至っていないので
糖尿病もかなり病状などに対してしっくりくるものにしないと、新しい名称をつけたとしても定着は難しいだろうと考えています。
本当に糖尿病はネガティブか?
今回糖尿病協会が名称変更を検討する理由として
インターネットでのアンケートに答えた方の9割が糖尿病という名称にネガティブな印象を感じている、という背景があります。
恐らくこういったアンケートに答えてくれる方がそもそも糖尿病に対し思う所のある方なので、結果として順当だとは思います。
ただ、難しいのは
- 体にとって良い状態ではないので、ポジティブな印象をそもそも持つ名称はそぐわない事
- あまりにも定着してしまった糖尿病という分かりやすいワードを変える難しさ
こういった点があります。
糖尿病であるために差別を受けたという方もいるようですが(自分に甘いと思われる、ローンが組めない、保険に入れないなど)個人的にはこういった状況への対策としては名称を変えて誤魔化すよりも、糖尿病への理解を高めることの方が効果があるように思います。
結局糖尿病の名前を変えました!
だけでは新しい名称での差別を受ける可能性もあるので
実際、糖尿病予備軍を含めれば中年男性数人に聞いてみれば一人はいるくらいの確率となっています。
それなのに差別があるというのは、理解が不足しているに他ならないでしょう。
実際僕の職場では、血液検査で血糖値が高い場合でも
「この年齢ならこんなものでしょう」という言葉が飛び出すこともあります。
もちろん必要な対応は行いますが、それが何も特別なことではないから出てくる言葉です。
名称への思いはそれぞれ
糖尿病にはネガティブなイメージがある
それは否定しませんが、既出の高脂血症は脂質異常症という名称変更です。
これは状態を正確に表すことに主眼が置かれていて、名称はどちらかといえば「異常」という言葉が入ったのでポジティブな変化を望んでのものではないでしょう。
脂質異常症も生活習慣病の1つであり、糖尿病と同じく、食べすぎが原因のこともありますが、代謝が原因だったりすることもあります。
協会が違えば考え方も違うということでしょうが、名称変更が本当に糖尿病に困っている人達にとってプラスになればと思いますが、そのあたりは名称変更して満足することのないように協会にがんばって欲しいところです。