厨房は時間に追われながら作業を行う上に、刃物を扱うので、いわゆる労災になる事故が起こりやすい現場です。
その他にもたくさんのリスクが潜んでいるので、そういったリスクの紹介と僕が行っている防止法などを書いていきます。
①時間に追われる
厨房の仕事はとにかく時間に追われています。
提供時間に間に合わせるために、あるいは提供時に多くのお客がなだれ込んでくる戦場のような状況を捌くために。
提供時に関してはこちらだけではどうしようもない部分があるので今回は割愛しますが、作業に追われる状況を少しでも解決する方法として僕が行っているのは
必ず合間に5分の休憩を入れることです。
この休憩の目的は
- 今の仕事の進捗具合の確認
- この後誰がどの仕事を行うことで時間に間に合うかの見立てを作って共有
この2点です。
時間に追われるにも色々ありますが、どうしようもないのは
どうしても間に合わないとい場合だけです。
そういう場合には責任者や管理者などに食事が遅れるなどの対応を頼むしかないと思っています。
むしろそれを早めに伝えることで迷惑は最小限に留めることができるので、厨房のチーフ格の人間にはこれを見極める目も重要です。
一方で、どうしようもない状況というのは僕の経験上そんなに発生することはなくて、大きなトラブル(機材的、マンパワー的)などがなければそうそう起こりません。
つまりは、何とかなる前提で組み立てて、その通りに仕事をすれば時間に間に合う・大丈夫という見立てを共有することで、不要に慌てることを防止していきます。
何を急ぐべきか、何を急がなくても良いか、作業の優先順序、同程度時間的余裕があるのかなどを確認すると、「実は余裕で間に合うのにみんなで慌てていた」なんて日も少なくありません。
そういう日には
「あんまり急ぐと僕の仕事がなくなるのでゆっくりやって下さい」くらいの軽口を行って肩の力を抜いてもらいます。
急いでいるとこういったちょっとした休憩も取りたがらない人もいますが
「コーヒー淹れたので」などきっかけを作ってあげるのが良いと思います。
②イライラ防止
僕は時間に追われると共に、イライラも重なった際に事故が起こる可能性が高いと思っています。
このイライラ防止は非常に難しいです。
なぜなら人間関係が絡んでくるからです。
それも気が合わないだけでなく
あの人の仕事の取り組み方が気に入らない、とか私だったらもっと上手くやるのに、などの苛立ちや嫉妬なども絡んでくるので完全解決はかなり困難です。
僕もこの手の問題は解決自体は諦めていて
必要以上に仲良くする必要はないからビジネスライクにやって欲しいと伝え
揉めそうな状況では早めに中に入るなど、対処療法的なやり方をとっています。
どなたか上手いやり方があれば教えてください。
間に入る際に注意することは
- 誰にも得手不得手があること
- 誰かを悪にしないこと
- その状況だけを見て、どうすれば良かったかだけを伝える
この点を意識しています。
Aさんは切りものや調理は上手いけど、臨機応変な対応は苦手
Bさんは新しい仕事を覚えるのは得意だけど、切りものや調理が苦手
こういった場合に気の強い方が相手のできない部分に強く出ることがあります。
こういった時、強く出た方は相手が悪い、自分が正しいという立ち位置を取ろうとします。
でも、僕は間違っているとか正しいとかは一切口にしないようにしています。
言ったとしても「ここはこうした方が良かったですね」くらいまでです。
その人が正しい、間違っているではなくて、事実としてもっと良い方法があったならその方法を示すだけです。
もちろん怒ったりもしません。
ここで怒ったり、「間違っている」なんて口にしてしまうと、その人は次に自主的に何かに取り組むことがなくなってしまう為です。
ここまでのやり方だけだと不十分です。
なぜかというと、強く言った方の意見が全く吸い上げられていないからです。
「私は正しい指摘をしただけなのに、強く言ってくれなかった」という思いについて、相手の性格などを考慮してフォローをすることも大事です。
ここでももちろんもう一方の人を悪く言ってはいけません(たとえ本人がいないところでも)
こうして全体のパワーバランスを上手くとることで、イライラを起こりにくくしていきますが・・
さすがに完璧なコントロールは難しいですね。
事故防止の環境設定
ここからはメンタル面ではなく、少し具体的な事故防止について書いていきます。
厨房では上記の急いでいる以外にもケガのリスクはたくさんあります。
- 床が濡れやすい、油が跳ねるなどで足元が滑る
- 物が多いのでつまづいてしまう
- 重いものも多いので腰痛など関節痛になる(腱鞘炎も)
- 熱いものを使う為火傷のリスク
ざっと思いつくだけでもこれだけのものがあります。
これらを防止するために整理整頓や清掃が重要です。
床がきれいで乾いていれば転倒のリスク軽減ができます。
物が片付いてしてば足を引っかけてしまう可能性も少なくなります。
重いものは重ねずに分散する、あるいは腰に負担をかけないように高すぎる・低すぎる場所に保管しない
熱いものは使用する際に余裕のある時間設定や周囲の環境設定を行う(ここは厨房によってやり方が千差万別なので表現がややあいまいですみません)
こういった、基本だけど時間に追われている中では後回しや、おざなりになってしまうところをきちんと行っていくことで事故は防止できます。
その為にも時間管理やメンタル面のケアなど上記の内容が大事になるとも言えます。
掘り下げて行くともっと書けそうですが、ちょっと長くなり過ぎるので、今回はこの辺で区切りたいと思います。