PFCバランスの時代による変化
三大栄養素とは
- 糖質(炭水化物プラス食物繊維)
- たんぱく質
- 脂質
この3つのエネルギーになる栄養素のことです。
以前は1日のエネルギーの比率として
- 糖質を60%
- たんぱく質を15%
- 脂質を25%
という比率で摂取しましょうという基準がありました。
これがようやく変わってきて(実際には少し前に変わっていましたが)
- 糖質50~60%
- たんぱく質13~20%
- 脂質20~30%
という幅のある考え方に変わってきました。
今回は僕がこの変化が必要なものだと思う理由など書いていこうと思います。
現状と数値の不一致への疑問
以前の基準が現代日本人の抱える問題と乖離してきたという点があり、基準に幅を設けるという所まで来たと考えています。
その理由として主立つ2つを書いていきます。
糖尿病が増える一方
まず、時代の変化により生活習慣病が増えました。
中でも糖尿病は増え続け、40代男性の糖尿病とその予備軍は40代男性全体の30%になっています。
実際には一番ひどい時期は抜けた感じもありますが、思いの他この数字が改善されないまま来ているという方がしっくりくるかもしれません。
血糖値を上げるのはその名の通り糖質です。
そして、増え続ける(減らない)糖尿病
にも関わらず、糖質の摂取割合は一向に減らそうとしない基準のまま・・・
個人的には変更によって幅が設けられたとはいえ糖質60%という数字を譲らなかった当たりには健康面よりも食料自給率を下げたくない(米や小麦など糖質源の摂取量が増えると困る理由がある)などの社会的・経済的理由が優先されているように思え、この基準は栄養士でありながら信用しておらず、僕は自前の基準を策定して今もやっています。
フレイルの顕著化
高齢になった方の課題としてフレイル(虚弱)が顕著化してきています。
足腰が弱くなってしまって日常生活に支障が出たり、寝たきりになってしまうことのリスクが改めて指摘されたという形です。
その原因のひとつに
たんぱく質摂取量の不足があります。
立つ・歩くという動作一つとっても筋肉がなければ行うことはできません。
その筋肉を維持・増進するためには運動とたんぱく質の摂取が重要なのですが、以前のたんぱく質摂取量ではそもそも少なかったこと
そして高齢になると肉など硬いものが食べにくかったり、子供が独立して自分の分、あるいは夫婦二人分だからと食事が質素になってしまったり・・・
そういった層に対して、たんぱく質の摂取が重要であることを伝えるという意味でも、こういった変更は非常に重要だと思います。
そもそも比率なので参考程度に考える
栄養士は数字と睨めっこする時間も長いで、ついついこういった数字に縛られがちです。
でも、比率は特に3つのバランスでしかないので、どこかを増やすと自然どこかは減ってしまいます。
そこでたった数%に踊らされることでみんなが健康になれるなら良いですが、給食などは月間の数字上で見ることが多く、そこでの1から2%よりももっとこだわるところはあると思っています。
そもそも比率上にも栄養と健康の問題以外の社会的な問題が含まれる以上、栄養士的には少し無視するくらいの自分やり方を確立ておいて、いざ保健所などに質問されたら堂々と
「自分のいる現場にはこういった背景あるので、この数字に設定しています!」くらいの説明できるようにしておいた方が、ただただ既存の数字に従うだけよりも良いではないでしょうか?