栄養士を20年やって思ったこと

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がんばる

栄養士はがんばり過ぎに注意!

栄養士をそこそこ長く続けてきて、この年齢や経験年数になったからこそ思う事を書いていきます。

 

正しくがんばるという割り切りが大事

僕の働いている法人で辞めていく栄養士は真面目な人が多いです。

僕のように割り切って適当に働く人が長持ちするという印象。

どうしてこういうことになるのかというと

 

真面目な人はがんばり過ぎているから

これはがんばれない自分ががんばれる人にジェラシーを感じている部分もあるかもしれませんが(笑)

 

僕でもごはんは美味しく提供したいと思っています。

でも、給食は

  • 予算
  • 時間
  • マンパワー

これらについて他の飲食業界よりも厳しい傾向にあります。

だから、どこまでやれるのか、という点については線引きが必要になることもあります。

 

真面目な人ほどこの線引きを嫌う傾向があります。

もっと手の込んだものを

もっと時間のかかるものを

気持ちは分かりますが、大事なのはそれを決められた時間内で自分のスキルと見合わせてバランスが取れているかということです。

 

例えば、すごい速さでできる仕事があり、他の人なら1時間かかることが30分で無理なくできる

こういった強みがあるなら、そこでできた30分を他に費やしても良いでしょう。

ただ、無理をして速く行ったり、時間がかかる分をサービス残業(早出)で補ったりする人も栄養士にはそれなりにいます。

結果的に美味しいものや良いものが提供できることもあるのですが、代償となっているのはその人の健康とメンタルです。

まさに身を削って作っている。

 

さらに、そういった栄養士の苦労を正しく評価してくれるシステムのある会社はあまりありません。

せいぜい、栄養士が変わってから「前の栄養士は手の込んだごはんが出て良かったな」など話に上がる程度です。

 

このため、がんばるのは大事だけど、がんばり過ぎないのは同じくらいかもっと大事

というのが最近の僕の持論です。

自分を潰してまで仕事をする人が多すぎる

 

給食現場ではスペシャルになり過ぎない

僕は前任者が凄いがんばっていた、という現場に異動したこともあります。

そうなると、僕は同じようには働けない(できたとしてもやらない)ので、給食の質は下がります。

実際にはできる範囲でベストは尽くしますが、命を削ってまでやらないという感じです。

僕は切りものなど下処理系には自信があるので、社内の他の栄養士より早く仕事ができるのですが、その範囲でできるギリギリまで追い込んで仕事をすることはあまりありません。

  

というのも、いつか僕もいなくなるのですが、次の栄養士が「こんなんできるか!」となることをあまり快く思わないためです。

これが外食店なら他との差別化は重要ですが、給食ではこういった特別よりも標準化が大事な面があります。

 

なので、他の栄養士との差別化も細かいところで行うようにしています。

まぁ、怠け者なだけなんですけど。

 

同業者とのやりとり

同じ法人内の栄養士とのやりとりですが

ここも

がんばるがキーワードです。

 

がんばっていない、というか一定の評価に達していない人にはさすがの僕も

「がんばれ」と言います。

 

でも、すでにがんばっている人には上記の理由から

「そんなにがんばる必要はない」と言います。

がんばった分給料の上がる職場なら言わないかも。

でも、栄養士個人がそういった形で評価を受けることって、フリーランスの方でもない限り
なかなか無いのではないでしょうか?

 

そう考えるとがんばり具合って案外難しいものかもしれませんね。

 

がんばり過ぎの弊害

次は実際によくあるがんばり過ぎによる弊害を紹介します。

ある現場で職員が辞めて欠員が出ました。

でも、食べる人に迷惑をかけられないので、残った人たちでがんばっていつも通りかいつも以上の内容の給食を提供した。

 

本来ならよくがんばりました。 

となるのでしょうが、数字大好きな偉い人達は

「なんだ人が少なくてもできるじゃないか」と判断して、人を減らそうと画策しました。

 

また、他の現場では

栄養士が本来見る施設以外の所もサポートを頼まれました。

そして、サポート以上に取り組んだ結果として

「なんだ栄養士1人で2つの現場を掛け持ちできるじゃないか」となりそうに・・・

 

がんばった結果が良い方に転がらないというのも、この数年で学んだ知識です。

 

日本人は苦手な部分なのですが

がんばったら、「僕がんばってます!」と表現することは大事です。

それが苦手なら「しんどい」「楽ではない」とアピールをすること。

周りに「問題なくできるんじゃないか」と思われないようにしないといけないし

その大変さは言葉にしないと察してくれません(これも昔は分からなかったこと)

 

そして、そういった状況で増えてしまった仕事の影響はのちの後輩などに降り注ぎます。

「自分ががんばれば良い」がいつか誰かを傷つけないようにしないといけません。

 

仕組みを変える

仕事をしていると

「こんなの絶対おかしいよ!」

と思うことがしばしばあります。

  

若い頃はこういった愚痴を同僚とするのも楽しい部分があるので、言っているだけで良いと思うのですが、それなりの年齢になったり社内でそれなりの経験年数を積んだのであれば。

仕組みがおかしいと思うなら愚痴ってないで仕組みを変えることをするべし!

 

だって、誰もやってくれないからその仕組みは変なままなんだし、それが気に入らないんだったら変えるしかない。

あとは回りの人にも影響することなので、きちんとコンセンサスを取ったりして味方を増やしてから行います。

仕組みを変えるには偉い人に掛け合う必要性も出てくるので、こちらが如何に合理的なことを言っているのか、同じ立場の人たちがどのくらい同意しているのかは大事です。

 

僕も仕組みを変える時には相手がぐうの音も出ないほどに僕の言っていることが正しいと納得させるくらいの準備をして取り掛かります。

中途半端だと上手くいかないですね。

 

あと、仕事で相手を説得するには

相手を言い負かせてはダメです。

最近は「論破」という言葉も出回っていますが、相手をねじ伏せた場合には必ず相手は反感を持っています。

相手に納得をしてもらうことが最も重要です。

勝ち負けではなく共に進んでもらう必要があるので。

ここを間違えて相手を言い負かして満足してしまう人も多いので注意が必要です。

 

なんというか、勝つ必要はあるんだけど相手に負けたと思わせないという感じ。

 

僕は「こういう風にしたいので協力して欲しい」ということをはっきり言うことにしていて、これは相手にあまり悪くとられたことがないのでお勧めです。

 

ここもおかしな仕組みにがんばって合わせて働くんじゃなくて、合理的にがんばりましょうという点ではがんばり過ぎないの範疇かもしれません。