低ナトリウム血症とてんかんの関連性
僕の働いている施設で先日低ナトリウム血症で倒れ、救急搬送される方が出るということがありました。
最初はてんかんの発作が過去にもにあった方なので、てんかんの発作が久し振りに起こったのだろうという感じで見立てていましたが、大きい発作のような状態で救急対応から入院となり、医師の診断の結果としては「低ナトリウム血症」というものでした。
症状に共通点がある
低ナトリウム血症とてんかん発作は症状が似ているので勘違いしやすいというのはあるそうで
病院側も血液検査の結果や本人の様子を聞き取った結果として、てんかん発作ではなく低ナトリウム血症と判断した、という旨を後日書面でくれました。
似た症状としては
様々なものがありますが、嘔吐や脱力、意識の消失などが目立ちます。
当日も急に意識を失って崩れ落ちる様子が確認されていて、同時に嘔吐も見られていました。
診断の理由
では、どうして低ナトリウム血症という診断がされたのかというと
血液検査結果でナトリウムが低く、付き添った施設職員や家族からの聞き取りで
当人の様子が水中毒であると判断されたためです。
低ナトリウム血症の多くはナトリウム摂取量が極端に少ない場合や汗などで多くナトリウムを失った場合、そして水分を多く摂取した結果体内のナトリウム濃度が薄まるというものに起因しています。
最後の水分の過剰摂取により体内ナトリウム濃度が薄まっての低ナトリウム血症は水中毒と言われます。
水中毒を起こす方の多くは、周囲から制限されないと水分を摂取し続けてしまう傾向があるので、再発の可能性も高く、改善が難しいのも特徴です。
この方は普段から蛇口を見つけると直接大量に水を飲んでしまい、都度注意を促すという方でしたが、この日は朝から嘔吐が見られており、医師の見立てでは「その時にはすでに5ℓは飲んでいたと思われる」ということでした。
今までは体調が悪くなるほど飲んでしまうということはなかったのですが、おそらく本人の中では何かしらいつもと違ったのでしょう。
対応について
栄養士の自分にできそうなことは食事を通じてナトリウムの摂取量を増やすことくらいなので、医師に聞いてみたのですが、そういった対応は必要ないということでした。
基本的に一日の飲料を2ℓ、食事などを含めての水分摂取量を3ℓまでにすれば何も問題ないためだそうです。
医師からすると、ナトリウム不足が原因ではなく、水分の過剰摂取が問題なので、そちらのコントロールさえできれば良いということ。
一方で水中毒の方の水分摂取について管理や把握をすることは簡単ではありません。
水はどこにでもあります。
特に僕の働いているような障害者施設で聞く話としては
お風呂のお湯を飲んでしまう。
すべての水道を使えなくしたらトイレの水を飲んだ。
このような行動も色々な施設で聞いているので、水分量の把握も一筋縄ではいきません。
このため、施設としては今後も内科などに定期的に通院してナトリウム値をチェックすることを継続しながら、何かあれば医師と相談して対応を練るということにしました。
課題としては栄養士の関わるところよりも生活を構築する人たちのやるべきことが多いというケースになりますが、個人的に今回の件はてんかん発作がある方が倒れた=てんかんとは言い切れないという点で非常に学びになりました。