老障介護の問題について

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介護

老障介護の現実

今回は食事や栄養からは話題が逸れるのですが、僕の働いている障害者福祉施設と関連する話題なので少し老障介護について書いていきます。

 

老障介護とは高齢の親が障害を持つ子供を介護する状態を指します。

これは実際に多くなっており、僕の勤める法人でも、利用している子供に当たる方が60代を超えるケースも増えてきています。

そうなると親御さんは80代以上という場合が多く、家で必要な支援や介護が難しくなってきて、子供が入所できる施設を探すということになります。

 

なぜ老障介護が増えたのか

どうして老障介護が増えたのかというと医学が発達したからです。

昔は障害のある子どもは20歳まで生きられないと言われていたのをご存じの方もいると思います。

それが、医療が発達し、薬も良くなることで障害を持つ方も長く生きる事ができるようになりました。

 

一方で、社会としてそれに対応できるようにはなっていなくて

  • 障害者福祉施設自体が不足
  • 高齢になった障害者が老人福祉施設へ移行する流れがまだまだ不十分

障害を持つ方の平均寿命が延びるという事は障害を持つ方の人口が増えるという意味でもありますが、それに対応するだけの仕組みができていないので、老障介護のような問題が出て来ます。

 

入所施設は少ない

老障介護状況を打開する方法の一つとして入所施設の利用がありますが、障害者入所施設は数が多くありません。

自治体によっては入所施設はその建物内ですべて完結してしまうので地域生活とは言えないという点から、入所施設をこれ以上増やさないことを明言していたり、実際に減らし始めているところもあります。

 

入所施設がダメならばどうするのかというと、地域生活を送りながら親元を離れて生活する場としてグループホームというところへ移るという方法があります。

グループホームとは少人数制の寮のようなところで、寮母さんに当たる「世話人」という職種の方が生活を支えてくれます。

 

ただ、世話人さんの仕事は非常に多岐に渡ります。

一般的な家事に加え、必要な支援を各自に行います。

その割にお給料が特に良いという仕事でもないので、なり手が少なく、人手不足に悩んでいます。

このため、グループホームは思ったほど数が増えず、結果的に行き場に困る老障介護の家族がたくさん出ています。

 

地域生活は理想

入所施設に閉じ込める事を良しとしないこと自体は人権的な配慮としても理解できます。

一方で、入所施設を必要とする家庭も多くあります。

この理想と現実のギャップがなかなか埋まりません。

 

地域生活、と簡単には言いますが、上記グループホームを建設しようとすると近隣からクレームが来て立ち消えになったり、立てた後も近隣との折り合いが難しく閉鎖したり

日本ではまだまだ障害についての理解が足りないですし、一時期流行したノーマライゼーションという言葉もめっきり聞かなくなりました。

このギャップが埋まる気配がないのに一方的に入所はダメ、という現状には無理があり、理想の押し付けになっている部分もあります。

 

実際、入所施設が良くないと偉い人がいくら言っても

入所したい、させたいという声がいくつもあり、入所施設に空きが一つ出れば100人以上の応募があります。

実際僕も入所施設で栄養士をしていた時期もありましたが、まるでプラチナチケットを奪い合うように応募が殺到し、自分達がどんなに困っているかを伝えてく電話が鳴りやみません。

 

僕のいる地域では施設だけの判断でなく、役所なども関わって入所する方を決めていたので、そんなにトラブルになりませんでしたが、そうでなければ「なんであの人が入れてうちは入れないんだ!」というトラブルが起こることが目に浮かぶような状況で、それを不要だと切り捨てるのはいささか難しいと言わざるを得ません。

 

理想である地域生活

一方で今にも家庭生活が破綻するかもしれないという状況に困られているご家族がいて、入所施設を求めている。

そして、その中間としての役割を求められているものの、こちらも数が足りないグループホーム。

理想を形にするためのピースがまだまだ揃っていないというのが実情です。

 

入所施設にどれだけ入りづらいのか

もう8年ほど前の話ではありますが、僕が当時いた入所施設で、一名グループホームに移ることができたので、空き枠が一つ出て、入所希望を募った時の出来事です。

たった一つの枠に募集は100名超

役所からワーカーの方が来て、自分の担当している方のうち、緊急度が高い人をピックアップして、(当然関係者は入所施設への入所を希望しているケース)誰を入れるべきかという検討を行いました。

 

そういったところに挙げられる方はどなたも障害が重く、更に生活環境的にもすでにご両親がいなくなっているなど、支援・介護を行う人が身内にいないなどが前提になっていて、正直枠があれば全員入れても良いのではないかと思うくらいでした。

でも、定員があるので入れられるのはたった一名です。

すでに昔からニーズに答えられるような状況はすでになく、それが改善される見通しもないというのが障害者福祉の現実だということです。

 

入所施設を求める場合、障害が特に重い傾向があります。

こういった方に支援の手が届かないという現状については改善んの余地しかないと言えるでしょう。