シジミ何個分かのオルニチンに意味はない
最後にオルニチンとシジミについても少し触れたので、今回はその内容について書いていこうと思います。
まず、オルニチンについてですが
どんな食品に多いのか調べようとしても見つかりません。
それもそのはずで、食品成分表にオルニチンの記載はないからです。
付け加えるとオルニチンはアミノ酸の一種であるにも関わらず、アミノ酸成分表にすら載っていません。
これはオルニチンが非必須アミノ酸で、食べ物などから摂取しなくても体内で十分な量を作り出すことができるからです。
ん?
そうなると外から敢えて摂取する必要がないことが分かりますね・・
どうしてそんなものを僕たちはありがたがるのでしょうか?
オルニチンが不足するとなんたらかんたら~と載せている情報はサプリメントや健康食品メーカーがほとんどで、商品を売るためのこじつけ位の感覚です。
僕はそれなりの期間栄養士をしてきていますが、こういった背景もあり「オルニチン不足」というワードを聞いたことがありません。
なぜオルニチンが良いと言うのか
二日酔いにはシジミのみそ汁が良い
これは耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか?
お婆ちゃんの知恵袋的な感覚です。
二日酔いにみそ汁が良いというのは本当で
二日酔いは脱水症状でもあるため、水分と塩分を摂取することで楽になるというのはあると思います。
ただ、そこにシジミはなくても大丈夫でしょう。
この民間療法を利用したのが、シジミ何個分のオルニチン入りみそ汁です。
予想としてはこれを商品として売り出すに至った流れとしては
- シジミのみそ汁が二日酔いに聞くのであれば、シジミに多く含まれる成分がきっと体に良いのだろう
- おっ、シジミにはオルニチンが多いらしいぞ
- じゃあ、オルニチンがたくさん入っていて体に良いと言えば売れそうだ
こんなところでしょう。(自分で書いといてなんですが、悪意を感じる書き方に・・・)
実際オルニチンが二日酔いに効くかどうかの根拠としてきちんとしたものはありません。
オルニチン商法のここがすごい!
オルニチン商法(今勝手に名付けました)のすごいところは
摂取量が定められていないので、その情報が嘘か本当か知識がないと調べることが難しい
これに尽きると思います。
実際、本当にシジミが一番オルニチンが多い食品なのか調べようとしても、成分表に載っていない栄養素なので調べようがありませんし、ネットでも拾うことができません。
言いたいように言えるわけです。
ただ、ネットでオルニチンを調べていて面白かったのは
シジミがオルニチンを最も含むと語るサイトでは
比較対象が魚介類だけですし、可食部100gでの比較で、シジミ100g食べるのは結構大変だよ!?という要素などは無視されています。
そして、きのこで有名なHOKUTOさんの情報では
シジミよりもしめじの方がオルニチンを5~7倍多く含んでいると発表しています。
しかも、こちらは日本食糧新聞などでも取り上げられているので、信頼性がシジミよりは高めです。
しめじのみそ汁で良いんじゃん、と思わずにはいられません。
まとめ
- オルニチンは体内で十分に作ることができる
- オルニチンはシジミよりもしめじに多い(多分)
今回はとりあえず上記の2点より、シジミとオルニチンを語る商品を購入する必要が特にないということが理解されるとその役割を果たしたと言えます。
難しいのは、こういった商品をネット販売で見かけるだけならまだしも、スーパーで誰しもが知っている大手食品メーカーが堂々と販売しているという現実です。
知っていて、その上で味が好きだからなどの理由から購入するなら良いのですが、効能に期待して買う人に対しては不誠実な商品だと言わざるを得ません。
現状では、購入する僕たち側が知識を付けて自己防衛するしかないので、注意していきましょう。