食材の値上がりが厨房を直撃する
食材の値上がりはこのところ毎年恒例になってきていますが、特に近年は感染症や燃料の高騰などの影響で、輸入に頼っていた食材が軒並み値上がりしています。
「この前値上がりしたばかりなのにまた上がるの?」なんてものも出てきています。
こうした食材などの値上がりにより、給食現場も苦しくなっています。
今回はこの部分について書いていきます。
給食費は簡単には上げられない
給食費を上げれば、その分仕入れ価格が上がっても大丈夫なのではないか?
と思われる方も多いと思います。
実際、外食店でしぶしぶではあるものの、販売価格を上げることで食材の値上がりに対処しているというところもあります。
ところが、給食費に関しては簡単には上げられないことがほとんどです。
僕の施設では、通っている方は基本的に給食を食べてもらうことになっています。
こういった強制力のある中では、生活に余裕がある人もいれば、苦しい人もいるので、簡単に払う金額を増やしてくださいとは言えないものです。
外食店なら価格を見てお店に入るかどうか選択できるので、食べる側に選択の権利がありますが、それが基本的にはない状態なので、簡単に上げられないという感じです。
実際値上げするのであれば
「だったらお弁当を作ります」
「何か買って持たせます」
という思いの方もいるでしょうし、給食しか選択肢がないという状況を変えて欲しいという方向にも行くと思います。(むしろそれが自然です)
栄養士が献立を立てているというメリットについて説明しても、興味のない方からすれば特にメリットと感じられなかったりする(安いことの優先度が高い)ので、この問題の難しさに拍車をかけています。
給食内容を吟味する
給食費を上げなくて済むように、献立や仕入れを吟味します。
- 高い食材について栄養や見た目など似ている代用品がないか
- 同じ食材でも、より安く仕入れられるところはないか
実際、どこの仕入れ先でも値上げラッシュなので、見直し時にほんの少し安いくらいだとすぐに逆転したりするので、仕入先の変更も実際にできることは少ないですが。
加工品も検討する
自分で作るよりも冷凍食品や加工食品を使う方が安くなることもあります。
そういった場合には上手く加工品などを使いながら、他のおかずは手をかける、ソースは手作りにするなど、工夫して取り入れることも増えてきまた。
また、冷凍品や加工品にも値上げは起こっていて
人件費を浮かすためにこういったものを多く使用している場合には、手作りで人を増やした方が安く収まってしまうという逆転も起こり得る状況になりつつあります。(日本の人件費って安いと思う)
できないメニューが増えてきている
予算を大幅にオーバーしてしまう
あるいは食材そのものが品薄
こういった理由でメニューから姿を消すものもでてきています。
特にそのメニューは赤字だけど、他の日の黒字で補填していたようなちょっと豪華なメニューは実施が困難になりました。
そもそも、例年と大きく変わらないような献立で調理しているにも関わらず、食材費だけがどんどん上がっています。
ちょっと豪華なメニューはできなくなる日も近いのではなかと危惧しています。
周りの理解は低い
さて、費用以外の問題として
給食の見た目や量が悪くなれば、食べている人達からの評価は悪くなります。
そこに予算的に仕方ないよね、という理解はあまり入り込みません。
だから、努力をしてもそれが評価されない、評価されにくいというのは実際に働いていて辛いところです。
質を下げないように努力していますが、
より良くするではなく現状維持が精一杯という状況で、それを評価してくれる世の中でもない・・・
実際には値上がり自体よりもそういったやりがいの低下や周囲からの評価などの影響の方が厨房にとっては難しいと言えます。