運動する人は糖質が必須
糖質制限がダイエット法として紹介されて以降、糖質自身が悪者扱いされることが多くなっています。
ですが、一定以上運動を行う方については積極的な糖質の摂取を行わないと運動パフォーマンスに悪影響が出る場合があるので、きちんとした摂取をする必要があります。
糖質はエネルギー源
どうして糖質を摂取しなければいけないのでしょうか?
糖質はご飯・パン・麺といった主食に含まれるエネルギーの素となるものです。
こういった食品を避けたり、量が不足することで体はエネルギー不足に陥ります。
エネルギーが足りなければガス欠を起こすので、十分なパフォーマンスを行う事ができなくなるというのが簡単な原理になります。
このため、アスリートなど継続的に強度の高い運動を行う方に対してはエネルギーの調整は脂質を減らうことの方に重点を置き、糖質を減らして痩せさせようとするケースは少なく成っています。
代用できるエネルギー源
では、糖質制限ダイエットはどうして成り立つのかというと
体がエネルギー不足になった際には
体の脂肪と筋肉を分解してエネルギーを作ることができるからです。
これは糖新生と言われるもので、人間が生きていくうえで必要なエネルギーを絞り出すための方法とも言るものです。
ただ、糖質が足りなくなった際の脂肪と筋肉の分解については都合よく体脂肪だけを使用するということはできず両方が行われるため、運動を行う人からすると必要な筋肉を壊してエネルギーを作り出すという行為自体が効率が良くありませんし、必要な筋肉が不足すれば運動パフォーマンスそのものの低下にもつながるので、糖質を大幅にカットするのは手段としてはあまりお勧めできません。
ボディビルダーの減量は
ボディビルダーの方々はコンテスト前には筋肉のカットを出すために体脂肪を極限まで落とします。
この際の減量としては、食事量を抑えて摂取するエネルギーを減らしますが、下記の点に注意して行っています。
- たんぱく質は十分に摂取する
- 筋トレを継続的に行う
この2点が重要になります。
筋トレを継続することで体に「筋肉が必要な状況である」ということを認識させ筋肉の分解を最小限に抑えつつ、その原料となるたんぱく質は十分に摂取します。
こうすることでなるべく脂肪をエネルギー源として使用するように方向づけています。
ただし、これをスポーツに応用できるかというと、難しいです。
減量中、多くのボディビルダーは重量をマックスにしてのトレーニングを行っていません。
これは単純にエネルギー不足で挙がらなかったり、無理をしてケガをしてしまう事の防止のためなのですが、やはりパフォーマンスは落ちてしまっています。
これを競技スポーツに当てはめると、体重制限がない限りはしっかりと糖質も取って良いパフォーマンスでの練習を行うことで実力も向上する方が重要だと思います。
注意するべきは小麦
ここまで運動する人にとって糖質が重要という話を書いてきました。
ではそんなに運動しないという場合は糖質を制限した方が良いかというと、個人的には糖質というよりも小麦粉・小麦製品の摂取に気を付けるという感覚の方が良いと思います。
小麦粉や小麦製品は食べてから血糖値を上げるまでの時間がかなり短い食品です。
このため、急激な血糖値の上昇による血糖値スパイクを起こしやすい面などがあります。
実際ご飯よりも、小麦粉を使用しているパンの方がGI値が高くなっています。
主食でお勧めはこういった点からご飯類が最も高く、その後にうどんとそばが消化しやすいので運動前でも食べやすいことからそれに続くという形になっています。
パン、中華麺、パスタは脂質との兼ね合いがあり、パンの多くはバターなど多く使用されていること、中華麺とパスタはスープやソースに脂質が多いことから、消化吸収に時間がかかると共に、アスリートは脂質は控えめにすることで摂取エネルギーを調整することも多いので少し序列が下がります。
そして、スーパーやコンビニで販売されている
お惣菜・冷凍食品・お弁当・お菓子・合わせ調味料類のほとんどに小麦粉が含まれています。
これは商品の原材料表示を見れば分かることですが、「こんなにも多くのものに小麦粉が含まれているのか」と驚くほどです。(外食も同様)
つまり、小麦粉による糖質摂取は無意識に摂取している量がかなりあるという事。
砂糖や果糖ブドウ糖溶液などは、食べたり飲んだりした時に甘いので、大体入っていることを自覚できますが、小麦粉は存在感をそこまで出さないのも、知らないうちに過剰に摂取してしまう理由の一つです。
買い物をする際などには小麦粉を意識することで、適正な糖質の摂取に近づけることができます。
一時期ダイエット方法として糖質制限が流行し、また成功する人が多かったのも
糖質が悪いのではなく、運動していない人にとっては過剰でしかなかったであろう、無自覚に摂取している糖質が多かったので、それが糖質を控えることで適正に近づいたというのが正解であって、本来の糖質制限の方法や効果を出すための理論とは違っていたと言えます。
(本当の糖質制限は糖質を控えた分たんぱく質と脂質を増やしますが、日本人はそこまでやっていない)
糖質でしっかりとエネルギーをチャージ
話が逸れたりもしましたが
運動をするのであればそのためのエネルギーとして糖質をしっかりチャージするのは必要なことです。
実際スポーツ栄養を専門にしている栄養士がプロアスリートに栄養指導する際に
肉などは好んで食べるのでたんぱく質は足りているが、糖質が運動量からすると少ないという点を課題に挙げることは少なくありません。
もちろんあまりにも多くの糖質摂取は体脂肪の合成につながるので、体重や体脂肪率などを参考にしながら自分のパフォーマンスは体重がどの程度、体脂肪はどの程度の時に良いのかなど把握して、一定に抑える必要もある場合はあります。
ただ、日本のアスリートを見ると体重などを気にし過ぎて線が細いという場合も多いので、どちらかというと不足の方から疑って入ることが多くなっています。
血糖値の問題も
糖質を摂取すると血糖値が上がります。
糖質を食べない、あるいは明らかに不足した状態で運動をすると低血糖を起こします。
低血糖状態では初期でも頭がボーっとするなど集中力が著しく低下するのでパフォーマンスは低下しますし、酷くなると運動どころではなくなります。
こういった面からも運動の糖質は切っても切り離せない関係と言えるでしょう。