障害者の食事形態判断は難しい点が多い

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ミキサー

知的障害者の食事形態についての困難さ

僕は知的障害者福祉施設で仕事をしていますが、利用される方の食事形態についてはまだまだ対応で難しいと感じるところが多くあります。

半分愚痴のような部分もありますが、こういった難しさがどうして残っているのかという点についていくつか簡単にまとめていこうと思います。

 

障害者を専門にする医師の少なさ

食形態とは、昔で言うときざみ食など、近年ではソフト食やペースト食などと言われるものが増えているように、食べる機能の低下などに対応して誤嚥(ごえんや窒息を防ぐという安全面での配慮がされている食事のことを言います。

 

食形態を判断する際に歯科医師などの見解を求めるのですが、老人福祉施設で見るのとはワケが違うようで、引き受けてくれること自体が稀だったりします。

 

老人施設で対応が必要になるケースは元ある機能が衰えるという共通点がありますが

障害者のケースではそもそも機能を身に着けていない場合など、状態が一律ではなく、そこにさらに障害特性が絡んでくるので、難しいそうです。

 

うちの法人でも歯科医師に診てもらえる施設はお願いしていますが、そうでない場合には言語聴覚士(ST)・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)などの方に見てもらいつつ対応するというのが現状の方法になっています。

ただ、仕事の分類でいえば歯科医師か言語聴覚士が専門ということになり、本来はそういった方にお願いすることで食べる人にとって安全性のより高い食事提供を行うことができるようになります。。

 

施設での理解度が低い場合

僕が何回も経験していることに施設の職員から下記のようなことを言われるというものがあります。

「〇〇さんの食事形態を見て欲しい」

「〇〇さんが食べにくそうなのできざみ食(ソフト食など)に変更して欲しい」

栄養士は実際には咀嚼(そしゃく)嚥下のスペシャリストではありません。

食事形態について「専門家に相談するべき」などの助言くらいならできますが、診断を下すことは越権行為ですし、そもそも栄養士のカリキュラムにこういった「食べる人の状態」についてはあまりありません。

食事に関することだから・・・となんでも栄養士に頼ってきてしまうという施設は今でもそれなりにあると感じます。

 

次に専門家でも何でもない職員(支援や介護に当たる職員)が自分の主観で@「食べにくそう」と感じるから変更をして欲しいというもの

気持ちは分かりますが、栄養士が専門でないように、こういった職種の方も専門ではありません。

 

こういった行動について

できないことを伝えたり、専門家に相談するように伝えても

「前の栄養士はやってくれた」とか「あの人は何もしてくれない」という感じに言われることもあるのも難しい所です。

 

こういった問題について個人的には無理に良い顔をするために引き受ける事はしません。

もしも僕のアドバイス通りの食事形態で誤嚥や窒息などが起こった際に僕には責任を取ることができず、そういった無責任な行動はあまりとりたくないからです。

まぁ、それで逆に無責任なヤツだと思われたりするのですが、利用する方の安全を担保するためであれば他所嫌われるのも止む無し、と考えています。

 

マンパワーや設備の不足

実際専門家の意見を聞けても、それを実践し続けるだけのマンパワーや設備が十分という厨房はまだまだ少ないのではないでしょうか? 

決められた人数で働く厨房ではこういった食形態の多様化に合わせた出来上がった料理の二次加工がかなりの負担になります。

 

最近はソフト食の冷凍なんてものも充実してきましたが、それらを購入すると手作りよりは価格が高くなってしまうので、毎日使用することは難しい等の点も頭を悩ませるポイントになります。

でも、既製品であれば口当たりというか固さの統一は間違いないので、こういったものに頼るのも一つの方法なのは確かです。

 

実際、ミキサーにかける作業は食材のコンディションや温度湿度などの影響も受ける部分がある上、作る人の感覚に頼る点も多く、毎日均一のデキにするのは非常に困難で時間もかかってしまいます。

 

こういった作る側の苦労についても運営する立ち位置の人には伝わりにくいので声を大きくして「大変だ」というのも実は大切だったりします。

厨房は他の職種からは見えにくいので、自分達の現状をきちんと伝えるというのも栄養士の仕事の一つではないでしょうか。

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