腎臓病とコーヒー
つい先日うちの職場で起こったことに
腎臓を悪いくしている人にコーヒーを飲ませた職員が看護担当の職員に怒られるというものがありました。
この際の看護職員の言い分としては
「コーヒーはカリウムが多いからダメ」というものでしたが
個人的にはそれだけだと色々な誤解を生むな、と思いながら聞いていました。
現在僕は今回の件に関しての簡単な資料でも作ろうかと思っていますが、その際のアイデア出しを兼ねてここに腎臓病と飲み物について書いていこうと思います。
腎臓病と飲み物
まず、腎臓病と飲み物の関連性について書いていきます。
腎臓は尿を作る機能を果たしますが、その機能が弱くなると
尿を大量に作れなかったり、尿として体外に排出するべきものを上手く外に出せなくなるという事が起こります。
このため、飲み物で注意するのは水分量とカリウムやリン、ナトリウムというものになります。
腎臓病で、ある程度腎臓の機能が落ちてくるとこれらを上手く体外に排出できないので、むくんでしまったり、高カリウム血症など病的な状態になってしまう可能性があるためです。
つまり、題名にコーヒーとなっていますが
- そもそも水分の摂取量に注意が必要
- そしてカリウムなどが多い飲み物を控える
こういった点についての配慮が必要になります。
これらをどの程度摂取して良いのかという問題については僕のような(管理)栄養士の範疇ではなくて、医師が腎臓の状態を見て判断することが原則です。
軽度であれば、口頭で「摂り過ぎないように」くらいで済むこともありますし、そこそこの配慮が必要になる程度であれば、水分などの具体的な数字基準を出されます。
コーヒーがダメと言われる理由
誤解の内容に最初に書きますが
コーヒーを飲むことをダメだと言われないこともあります。
コーヒー(特に缶やインスタント)には水分とカリウムが含まれるので、腎臓病の人は避けるべきと言われますが、実際にはコーヒー以上にカリウムを含む飲み物も少なくありません。
なぜ特別コーヒーだけがこういった話題に挙がるようになったのかは分かりませんが、医師によってはこういった背景も踏まえて、「1日1~2杯くらいなら」などの提示になることもあります。
こういった生活習慣にも関わる病気であれば主治医の先生との信頼関係は大事ですから、自分独りで判断してしまうのではなく、専門家である先生の意見を聞くということを大事にしたいところです。
カリウムの多い飲みもの
では、コーヒー以外にカリウムが多い飲み物を挙げていきます。
コーヒーよりも多くカリウムを含むもの
まず、同じ量を飲んだ場合にカリウム量がコーヒーよりも多いものから紹介していきます。
- 牛乳
- 飲むヨーグルト
- 玉露
- 野菜ジュース
- トマトジュース
- 100%オレンジジュース
- ミルクココア
- 豆乳
- 赤ワイン
こうしてみると
体に良さそうな飲み物にカリウムが多いことが分かります。
これは野菜や果物にカリウムが多く含まれるという点が関係しています。
通常であればカリウムの摂取はある程度行うべきなので、こういった一般的に健康的と思われる飲み物にも含まれているという感じです。
コーヒーだけが注目されるのがどうしてかは、こういった点から見ても不思議に感じる部分です。
ちなみに野菜は一度茹でこぼすことでカリウムをお湯の中に出すことができるので、カリウムを控える際には一度お湯で茹でることが効果的です。
カリウムがコーヒーよりも少ない飲み物
では、次にコーヒーと比較してカリウムの少ない飲料について
- 玉露と抹茶以外のお茶類
- コーラ
- サイダー
- 紅茶
- ウイスキー
- ブランデー
紅茶もお茶類と言えますが、あえて分けたのは
コーヒーの代わりに紅茶なら、という選択ができるためです。
また、スポーツドリンクはカリウムがそこまで多くない商品もありますが、ナトリウム(塩分)が多く、エネルギーも多い商品があるため、ここに挙げるのを避けています。
カリウムが少ない飲料で面白いのはコーラやサイダーといった体に良くないと言われるものが並ぶところです。
ただ、これらの飲料には糖質が多く、商品によってはリンも多く含むことから、カリウムが少ないからと言って「おすすめの飲み物というわけではない」という点には気を付けていただきたいと思います。
まとめ
腎臓病とカリウムについて今回は書いてきました。
コーヒーには健康であれば、体に良い効果も報告されていますが、体の状態によっては避けた方が良い場合もある
と、捉えることができる一方で、他の飲料にもNGなものがあったり、コーヒーでも絶対ダメかというと、時と場合によることなどが見えてきます。
巷で言われる話だけを真に受けるのではなく、きちんと情報を集めたり、主治医と相談しながら、自分の生活について考えるというのはどんな病気でも大切なことなので、ひとつの学びとして僕も頭に入れておこうと思います。