ブルーライトと目の疲れは関連しない可能性
多くの人がスマホを持ち、仕事などでもパソコンを称する頻度が多くなってきた昨今、眼精疲労などは皆が抱える問題になりつつあります。
そういった目の疲れの原因としてブルーライトが挙げられていて、パソコンを長時間使用する人などには、ブルーライトカットの眼鏡やディスプレイが人気となっています。
ところが、このブルーライト
実際には目の疲れの原因とする科学的な根拠は一切なく、 この問題に対する専門家のデスカッションも今のところ行われていません。
実際に厚生労働省が定める情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインというものがあり、これは仕事上スマホ・タブレット・PCを使用する場合のアレコレが記載されていますが、その中にブルーライトという記載は一切出てきていません。
こういった機器を使用することが眼精疲労などの原因になるとはしているものの、その原因はブルーライトというように限定はしていません。
周囲の照明の状態などにもよりますし、ブルーライト以外に発せられるものもあるため、ブルーライトが悪いという限定にはならないということです。
そのため、定期的な休憩などを促す内容にはなっていますが、ブルーライトのような特定の何かをカットするというものは含まれていません。
実際アメリカなどの研究でも
眼精疲労や角膜を痛める原因となるのはモニターなどを集中して見ることでまばたきが減ってしまうという方に注目しています。
近年ではブルーライトカットの眼鏡をした場合とそうでない場合を比較した研究も行われていますが、現在のところ有意な差はないという結果のものばかりとなっています。
警鐘を鳴らす団体も
- 日本眼科学会
- 日本眼科医会
- 日本近視学会
- 日本弱視斜視学会
- 日本小児眼科学会
- 日本視能訓練士協会
上記の6つの団体が
小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見というものを提出しました。
その内容を抜粋すると
- パソコンなどから発せられるブルーライトは曇りの日や窓越しの自然光よりも弱い
- 心身の発育に好影響を与える太陽光もカットしてしまう
- アメリカの研究でブルーライトと眼精疲労に関連がないとされた
- 日中のブルーライトカットが体内リズムを狂わせる可能性がある
上記のような内容となっています。
少し補足すると
紫外線には様々な体に良い影響もあります。
紫外線を浴びることで体内でビタミンDが作られることなどもその一例です。
サッカー選手の中でも体のケアに特に気を使っているクリスティアーノ・ロナウド選手もユベントス時代の映像内で
「紫外線の浴び過ぎは良くないけれど20分くらいの日光浴ならばした方が良いんだ」ということを言って上半身裸で日光浴をしています。
ブルーライトカットの眼鏡がこういった体に有用な部分も取り除いてしまうことを懸念しています。
次に体内リズムについてですが。
皆さん寝る前にスマホなどを見ていると眠りが浅くなるので、寝る〇時間前からはこういったものを使用しない方が良い、と聞いたことがあるでしょう。
これはブルーライトを浴びることで体が「まだ明るい時間だ」と勘違いしてしまい、体内時計が狂ってしまうことを示しています。
そうなると日中の日が出ている時間からブルーライトをカットすることは、体が夜だと勘違いすることにつながるので、こちらもまた体内時計を狂わせてしまうことになるのではないかという形です。
上記にもあるようにブルーライトカットするメリットがまだ実証されていない上、リスクがあるかもしれないので、むやみにブルーライトカットしない方が良いのではないという内容です。
あくまで慎重意見ともしていますし。
ただ、これはある程度広く知られた上で本人や周囲の大人が判断するべきだと思うのですが、一般的に報道されたりしていないので、知られていないのが残念です。
ブルーライトカットで効果がある点
ではブルーライトカット自体には何のメリット(効果)も実証されていないのかというと
すでに書いた内容ではありますが、夜の時間のブルーライトカットによって体内時計が狂いにくくなるというのは科学的な根拠があります。
夜の時間にもどうしてもスマホなどをいじってしまう現代人としては、夜用のブルーライトカット眼鏡を用意しておくのは有用かもしれません。
ブルーライトカットが効果的を思われた理由
最後になりますが、ブルーライトカットの眼鏡などがこれほどもてはやされた理由として
実際に目の疲れが少なく感じるというものがあります。
僕が新調した眼鏡もブルーライトカットが入っているのですが、サングラスのように少しレンズに色がついていることもあって、明るいものを見てもまぶしくないんですよね。
モニターなどを見ても明るさが少なく見える
そして眼鏡を取ってこういったものを見るとまぶしく感じて目に刺激が来ている印象になります。
この感覚的な印象に引っ張られた結果と言えるでしょう。
実際に使い方自体では有用なこともありますから、自分の使い方やタイミングを考えてブルーライトカットのものを使用するかどうかなどは検討できれば良いと思います。