箱根駅伝は年始の恒例イベントとして日本に定着しています。
そんな箱根駅伝の起こすドラマの一つにブレーキと呼ばれるものがあります。
このブレーキには明確な定義や基準はなく
- そのランナーの実力通りのタイムに大きく及ばなかった
- 順位を大きく下げた
- 体調不良などで止まってしまった
これらのいずれかに当てはまる時に臨機応変に使われています。
前評判の高いランナーだと区間順位が少し悪いだけでもブレーキと言われたり、元々注目度の低いランナーであれば、何位になろうともブレーキとは言われなかったり。
そんなブレーキの中で、今回話題に挙げたいのは体調不良によるブレーキです。
これはかなり見ていても悲惨というか残酷な光景で、僕は辛く感じてしまい思わずチャンネルを変えてしまったりしますが、実際には視聴率は上がるらしく、箱根駅伝の名物のひとつとなっています。
箱根のランナーともなれば走り慣れているのはもちろんの事、長距離の世界ではエリート中のエリート
そんな彼らがどうしてブレーキを起こしてしまうのでしょうか?
メンタルに関する部分はやはり大きい
箱根駅伝ともなれば全国的な注目も高く、ランナーとしても最高の舞台と位置づけている人も多い大会です。
そうともなるとプレッシャーや緊張感も他の大会より大きいのは間違いないところです。
そうなると
- いつも通りの食事が喉を通らない
- 前の日に眠れなかった
このくらいは良くある話になるでしょう。
しかし、こういった事が
エネルギー不足
脱水
故障
こういったブレーキの原因になってしまうことがあります。
原因① エネルギー不足
エネルギーが不足するともちろんいつもの力は出ません。
ただ、箱根のランナーともなれば、大会前から食事の計画を立ててしっかりと炭水化物を貯めていると思うので、よほど無計画でなければ前日に食べられないくらいで大きなトラブルになることはないと思います。
ただ、そのくらい繊細な部分でトラブルが起こってしまうほどのギリギリの戦いをしている舞台ということもあると思うので、原因になりうるという感じで入れておきます。
低血糖は可能性少なめ
ある大会でブレーキを起こしたランナーの原因が低血糖と言われたことがあるのですが、個人的にはこの意見には否定的です。
確かに駅伝は相当なエネルギーを使うのでエネルギーとして糖を消費していきますが、長距離であれば代わりのエネルギーに脂肪や筋肉を分解(糖新生)して血糖値を保つはずです。
これは本能的な機能維持を目的とする行為なので。
特に箱根のランナーはその機能も優れているはずなので、低血糖があったとしたら箱根駅伝の何日も前から食べられていなかったなど、とても最高峰のレースに臨めるコンデションではなかったということになりますし、そういった状況を監督や周囲も気がつかなかったり何もしなかったという可能性は低いと思います。
原因② 脱水
恐らくこれが今までの箱根駅伝のブレーキで最も多い原因ではないかと思います。
正月のレースとは言っても、走れば汗をかきますし、1月にしては気温が高くなることもあります。
そういった状況で限界近いレースをすることで、脱水症状が出てしまう・・・
実際、体の水分の数%を失うだけで人の運動機能は大きく落ちてしまいます。
ある時から箱根駅伝でも区間の途中での給水が認められるようになりました。
それ以降は大きなブレーキは確実に減ってきています。
これは水分補給の重要性を教えてくれるもので、ランナーの安全性を高めるためにも今後も継続して欲しいし、もっとルールに柔軟性が出ても良い部分だと思います。
原因③ 故障
残念ながらレース中にケガをしてしまうということもあります。
筋肉系のトラブルや関節への負担によるものなど
駅伝のトレーニングはかなり負荷の高いものになります。
毎日こういった高い負荷にさらされるとケガのリスクも高くなります。
もちろん疲労などもコントロールしているでしょうが、毎年放送を見ていると「疲労骨折で走れない時期があった」というアナウンサーの発言が聞かれるように一筋縄ではいかない問題のようです。
ブレーキの減った理由
では、ここからはレースを棄権しなければいけないような大きなブレーキが減ってきた点について
すでに書いた通り給水の影響は大きいです。
次に栄養などの知識も高まっているので、レース当日までの食事計画などもおそらく各校きちんと整えているでしょう。
そして、個人的にはシューズの影響もあると思います。
厚底のシューズが賛否両論あるようですが、足へのダメージの少なさで言えば底の厚さはメリットです。
昔はシューズの底は薄いほど軽く素足に近い感覚だということで良いものとされえていましたが、初心者ランナーはケガの原因になるので履くべきではないとされていました。
今はシューズも良いものがどんどん出てきて、タイムも良くなりましたが、ケガの少なさの方が個人的には注目したい点となっています。
まとめ
限界に挑む競技ほどケガや競技中のトラブルは多くなります。
それを避けるためには事前にしっかりと準備をして、不足の自体にも備えられるだけの余裕を持つことが大事です。
そして、あまりにも調整が上手く行かなかったり失敗してしまったという時には、本人はどんなコンディションでも大きな舞台には立ちたいものなので、公平に判断して決断してくれる監督なり第三者がいることが望ましいです。
名物と言えども、僕個人としてはブレーキをして棄権してしまう様子は見たくないので、参加者を守るためのルールや準備に関してはもっともっと進歩してもらいたいと思います。