食品添加物表記ルールの変更について
2020年7月 食品表示基準の改正を消費者庁が行いました。
その内容は人工甘味料、合成着色料のように
人工・合成とつくものについて、その表記をしなくて良くなるというものです。
どうして変更が行われるのか
では、どうして人工や合成といったフレーズが消えるのでしょうか?
・人工や合成という言葉がネガティブな印象であり、購入する際にそれらを避けているという消費者が多い
・天然というフレーズが体に害のないイメージ、人工や合成は体に悪いイメージがあるが実際と異なる
こういった点がメインのようです。
実際天然のものでも人体に害のあるものは存在しています。
そして、人工的なものでも安全性が確立されているものも多くあります。
こういった点の誤解によって販売が伸びなかったり、また、その誤解を
販売する側が都合良く利用して「天然」という言葉前面に押し出して売りつけてしまおうということを防止するという目的があります。
こういった面からみると消費者庁だけあって、僕ら消費者にとってのメリットを考えていると言えます。
問題点もある
ただし、表記しなくて良いとなると問題も生じます。
人工甘味料はただ「甘味料」と書けば良くなります。
合成着色料・合成保存料などもそれぞれ「着色料」「保存料」だけ記載すれば良くなります。
天然だから安全、人工・合成だから危険というわけではないので、分ける必要がないというのは理屈としてわかっているものの、そうなると食品添加物そのものを避ける可能性も出てきます。
これは今でも食品添加物に対しネガティブな印象を持つ人はそれなりにいるという点
消費者に提示される情報量としては少なくなってしまっているという点から、起こってしかるべきだと思います。
販売する方も添加物不使用などのように、「添加物をしていないことが良いこと」と感じ取れるような表示をして販売していることがある以上、この問題はすぐには解決しないでしょうし、販売する側が人工や合成を記載しなくなったというメリットを受けるだけのものと判断されることもあるでしょう。
なかなか難しい問題です。
さらなる問題点
僕はこれまでに書いた仕組み上の問題よりも大きな問題としてあるのが、周知不足だと思っています。
この話題、スーパーやコンビニなどに並ぶ商品も対象であるため、一般家庭にも大きな影響があるにも関わらず、あまり大きな話題になっていません。
僕もこういう仕事していなかったら知らなかったかもしれません。
もっと大々的に周知して、一般からの意見を吸い上げるべきだと思うのですが、今のやり方だとちょっと意地の悪い見方をすれば
消費者にとって都合の悪いところがあるから人知れずやってしまおうという意図があるのではないか、と勘繰られても仕方のないところです。
- なぜ行うのか?
- 消費者のメリットとデメリットは?
この2点についてはもっと宣伝する方が良いと思います。
もちろん時期的にコロナ禍など、ニュースなどで話題になりにくかったなどのエクスキューズもありますが、それらも後から聞かされたら言い訳に過ぎないので、こういったデリケートな問題については時期なども重要だったかと感じます。
食品添加物は使うことで食品が長持ちしたり、美味しそうになったり、実際に美味しくなったりとメリットもあるので、きちんと理解してもらう、という努力は国としても怠らないで欲しいところです。