給食で不足するカルシウムについて

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カルシウム

日本人に不足しがちな栄養素と言えばカルシウム

他の栄養素と比較しても、このミネラルだけは簡単に基準を満たすことができないので、栄養士の頭を悩ませてくれます。

 

今回は現在うちの法人でも、カルシウムについてどのように考えるのか少し揉めているので、その様子などを書いていきます。

と、いうわけで解決方法などが提示できるわけではないので、そういったものを探している方にはごめんなさい、さらに愚痴っぽくもある内容も相まっているので先に謝っておきます。

 

カルシウムが不足しやすい理由

カルシウムが不足しがちな理由は様々に言われますが、個人的に最大の理由は

主菜にカルシウム源となる食材が少ないこと

だと思っています。

 

肉や魚、豆製品にカルシウムがもっと含まれて供給源として優秀であれば、カルシウムの摂取にこんなに悩むことはなかったでしょう。

 

葉物や乳製品に多く含まれるカルシウムですが、それらはメインとして大量に摂取する食材ではありません。

さらにそういった食材は好き嫌いも絡んでくるので、たっぷり使うメニューをたまに入れたとしても油f団できません。

 

例えば、学校給食はカルシウムを満たすために毎日牛乳を出します。

でも、牛乳は好き嫌い以外にも乳糖不耐症でお腹の調子を悪くする人もいます。

特に胃腸が十分に発達していない小学生はお腹を下しやすく、牛乳をつけることで献立・栄養計算上のカルシウムは満たされたことになったとしても、実際の摂取量は異なるということもあります。

  

このように特定の一食品に頼ることは非常にリスキーと言えます。

学校給食が牛乳に頼る部分の大きさについての疑問は以前にも書いていますので、興味のある方は参考にどうぞ。

 

カルシウムについて考えるきっかけ

うちの法人でカルシウムについて考えるようになったきっかけは

障害者施設なので、運動量など少ない人が多いことから、計算上のカロリーやカルシウムの必要量を以前は低めに設定していました。

 

ところが、とある栄養士が

「そこの基準も厚生労働省が出しているのだから障害者だ、健常者だと分けずに同じ運動量になるようにして同じ栄養基準にするべきだ!」と発信したことに始まります。

 

この人のいうことは非常によく分かる。

差別や区別をしないというのは平等という点でも分かりやすいですし。

 

ただ、どうしても運動が難しい、あるいは健常者と同じように何かを行うのが難しいという方もいるわけです。

そういう人に対しても、カロリーとカルシウムを引き上げるために運動を強要するのかというとかなり難しい話になります。

 

そもそも栄養士だけで考える範疇を超えているのですが、この部分について上手く進めていけていないことも、現状の混乱につながっているでしょう。

運動する場面に栄養士が中心でいるというわけではないので。

 

そして、今までの栄養基準はそれぞれの施設で、運動量など考慮して作成したものなのですが、そういった積み重ねをすべて投げ捨てて、一律の基準にしようというやや乱暴なスタートラインが、周囲の反対を招いたという部分もあります。

これが今までは何の基準もない中でやっていた、など異なる条件であればまた様子も違ったでしょう。

 

カルシウムを満たすために

そんなカルシウムを増やすために出された案として

  • 乳製品を増やす
  • ご飯を炊くときにカルシウム剤のようなものを加える

 この2つが出されました。

 が、個人的にはどちらもすっきりとしないという感じです。

  

牛乳・乳製品については前述した通りの理由です。

カルシウム剤については、効果的ではあるのだろうけれど、それだと食事にカルシウムのサプリメントをつけることとそんなに変わらないので、なんとなく違和感があります。

 

これがアスリートの食事などであればサプリメントをむしろ有効に使うべきと提案するくらいですが・・・・

 

このやり方に反対する栄養士もいたのですが、その栄養士に向かってある栄養士(最初に出た人と同一人物)が「数字を満たせないのは栄養士として怠慢だ!」と言ったらしい(僕はいない場所で)ことも問題の複雑化につながっています。

 

すでに書いたように、現在使用している数字には、その施設の利用者に合った運動量を見立てて計算された栄養価、という根拠があります。

それを守ってきて大きな問題もない状況で、急に数字の変更を迫って、できないというならそれは怠慢だというのは性急な話です。

  

むしろこれまで使用してた数字は一般的な基準に合わせておけば良い、よりも実情に即した良いものである可能性も高いです。

なんというか、自分の案を通したくて無理をしている人がかき回している印象は拭えないところです。

 

特に障害者施設では、他にはない特性もあります。

服薬の多さ、障害特性に基づいた支援、本人のこだわりや成育歴なども他とは異なる形であることが多いです。

なんでもかんでもフラットにすれば良いという話でもないでしょう。

 

そう考えると、最大の問題点は話し合う時間の絶対的な不足、というのが見えてきます・・・

栄養士といえど考え方や、同じ事例に向かい合ってもアプローチの方法などは千差万別です。

共通理解を得ることを怠って、いきなり行動を促したことが今回の混乱につながってしまったのでしょう。