いわゆる腹筋運動が腰に悪いのではないかと言われるようになって久しく、代わりにプランクなど体幹トレーニングというものが導入されるようになってきました。
今回は腹筋運動と体幹トレーニングの違いなどについて簡単に書いていきます。
腹筋運動が推奨されなくなった理由
一般的に言われる腹筋運動とは
こんな感じの上体を寝た姿勢から起こすものを表します。
このトレーニングが推奨されなくなった理由は
・腰を痛めやすい
脊柱への負担が大きくヘルニアなどの原因にもなりえること
背中側への負担が大きいので腰を痛める原因にもなることから、安全面で中止されるケースも多くあります。
日本バスケットボール協会が(特に背が高い人の)腹筋運動は腰を痛めやすいので推奨しないと公表していますが、これは一般的にも言えることです。
・姿勢が悪くなる可能性
身体を鍛えると鍛えた筋肉に少し引っ張られる部分が出てきます。
ウエイトトレーニングを習慣的に行っている人の多くは腕を脱力してまっすぐにしたつもりでも少し前側に「くの字」になります。
これは上腕二頭筋によるものです。
これが腹筋でも同様のことが起こります。
鍛えられた腹筋に引っ張られるといわゆる猫背の上体になります。
姿勢を良くしたくて腹筋を鍛えたのに・・・という結果にならないようにしたいものです。
この辺りは腹筋と背筋のバランスも絡むので、簡単に猫背というほどにはならないはずですが、アンバランスに腹筋ばかり鍛えると起こる可能性が上がりますし、ケガのリスクも高まるので、背筋との兼ね合いも大事です。
・体幹の強化につながらない
腹筋を鍛えたら安定感が増して体幹が強くなりそうです。
でも、実際にはそうはならないということが分かってきました。
腹筋運動で鍛えられる腹直筋は、上体を曲げる時に使用される筋肉です。
つまり、体幹を鍛える=上体の起きた姿勢を維持する力の向上とは異なる働きがある筋肉を鍛えていたということになります。
腹筋で期待できるのは、寝た状態から起き上がる動作のある競技などになると思います。
寝技のある武道や格闘技、地面に倒れる機会の多いラグビーなどは必要な動作とも言えますので、効果がないというわけではありませんが、一般的な体幹を鍛えるというイメージとは少し異なることを知っておくと良いでしょう。
体幹というとサッカー長友選手で一般にも広く知られるようになりましたが、体制を崩されない、あるいは倒れにくいという意味で、姿勢を維持する力というニュアンスになると思います。
この体幹を維持するための運動は次に紹介する体幹トレーニングになります。
体幹トレーニングが流行した理由
最近腹筋運動の地位を奪った感のある体幹トレーニング
その有効性から書いていきます。
まず、腹筋運動は体を曲げる際に使用する筋肉を使用するので姿勢維持には不向きという話を書きましたが、体幹トレーニングは
こういった姿勢を長時間維持するもので、見ての通り腹筋をまっすぐに保つことで、姿勢維持する筋肉を鍛えることができます。
まさに体幹を鍛え姿勢維持する力を伸ばす運動です。
その他にも腹筋よりも多くの種類の筋肉を動員できること、腰への負担が小さいことなどから、広まってきています。
流行のきざしは米軍が体力トレーニングから上体を起こす腹筋運動を削除したことに始まります。
腰への負担もありますが、体幹を鍛える目的で行っていた腹筋に意味がないと見るやバッサリと切り捨てる潔さは見習いたい部分でもあります。
流行の理由は体幹をきちんと鍛えられるから、という他にもあると考えています。
最大のものは、腹筋とは辛さの質が違うこと
腹筋は辛い、体幹トレーニングも辛いけど、体幹トレーニングなら続けられるという人も多いのではないでしょうか、腹筋はお腹をピンポイントで使用するので、一定以上の負荷で行うとお腹が辛いではなくて「痛い」になりますが体幹トレーニングでは多くの筋肉を動員しているからか、腹筋が痛いという感じにはなりにくいです。
もちろん長時間行うと全身疲労困憊になりますが・・・・
こういった、辛さの分散からとっかかりやすいというのは流行の理由としてあると思います。
更に、姿勢を良くすることで立ち姿などを良くすることもできるので、美容目的に始める女性にも取り入れられたということも背景にあります。
腹筋運動と体幹トレーニングでは優劣をつけるというよりも、目的そのものが異なり、現代人の求める要素が多かったのが体幹トレーニングだったという捉え方もできます。
体幹トレーニングも絶対に安全というわけではない
僕もプランクなど行いますが、疲れている時に行って、姿勢がまっすぐに保てない時などは普通に腰に負担がかかっていることを感じますし、腰も痛くなります。
姿勢をまっすぐにすることで、姿勢をまっすぐにするための筋肉を鍛えるので、その姿勢が崩れていては目的が達成されないばかりか、変なところに負担が集中してしまい、思わぬケガをすることもあります。
予防するためには、正しい姿勢を保ち続けること、それが可能な負荷に調整することが挙げられます。
辛ければ膝をついて負荷を下げるなどしてケガを防ぎつつ、正しく体幹を鍛えていきたいものです。
たまにプランク中の僕に子供がふざけて乗ってきますが、軽く天国(地獄かな?)が 垣間見られます。
(僕が)危険なので乗らないように注意していますが、どうにも乗りたくなるような姿勢に見えるようです(笑)
皆さんもケガに気を付けつつ、体幹を鍛えてみることをお勧めします。