知的傷害者施設における肥満

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肥満

知的障害者の肥満対策

僕はかれこれ20年ほど障害者施設で栄養士をしています。

入所施設・通所施設・近隣施設への配食など、様々な形で食事に関わらせてもらう中で、障害者における「肥満」というものが世間一般的なものと異なるという印象を受けています。

今回はこういった異なると思う点、取り組みなどを思いつく範囲で書いていきます。

 

肥満の原因が異なる

知的障害者における肥満の原因は、一般的な食べすぎや運動不足を含みつつ、他にも複合的な原因で起こり得ます。

食べ過ぎなども、空腹を紛らすためではない理由で起こることも少なくありません。

 

服薬が関わる肥満

特にリスパダールやリスペリドンといった、興奮状態やパニックを収める薬を飲む方は過剰な鎮静状態になるので、代謝なども落ちるようで、これらの薬を飲み始めた人の多くは太っていく傾向があります。

 

リスパダールなどは古い薬の本や時点だと副作用に痩身(やせる)と書いてあるものも診ましたが、最近では過鎮静によるデメリットが理解されてきています。

 

リスパダールやリスペリドン以外の向精神薬と言われるものは似たような作用を示すことがあり、食事や生活習慣に変化がないのに急に体重が増えた時には病気と共に服薬の変化も確認する必要があります。

 

こだわりによる食習慣

特に自閉傾向の強い方の場合には、お腹が空いたから食べる、時間が空いているから食べるという事ではなくて、こだわりとして食べるということがあります。

 

そのルーティンが崩れてしまうと精神的に不安定になる場合が多く、こういった間食についてはある程度許容するという姿勢も必要になってくる場合があります。

 

パニック防止の為の食事

「食べている間は大人しくしてくれる」

このフレーズは親御さんからそれなりに聞くものとなっています。

 

何かしらのきっかけで物を投げてしまったり、攻撃的になる場面のある方に対し、特に家庭で食べ物で解決することもあります。

この方法が良いかというと難しいところですが、子ども(という表現が正確か微妙ですが)が2~30歳代の場合、両親は若くても50歳代以上になるので、体力的になんとかすることが困難という実情も理解できるので、この部分についても栄養士が変化を求めるのは酷と言えることが多いです。

 

施設における運動量確保の難しさ

肥満が課題になるとすぐに栄養士に対して「食事で何とかなりませんか?」と言われることが多いと感じています。

この理由として、「施設での活動で運動することが困難である」というものがあります。

 

どうして運動が難しいか、これには様々な理由があります。

身体的な障害による場合もあれば、本人にまったくその意思がない場合などもあります。

 

でも、一番多いのは「運動プログラムに人員を割けない」だと思います。

多くの福祉施設はいまだに人員不足や十分な体制が整えられない状況です。

 

このため、運動をしておくことは肥満対策以外にも機能維持などの面でも重要だと理解しながらも、日常生活を無事に送ってもらうだけで精一杯になってしまっています。

 

積極的な職員がいる一部施設でのみ行われているのが現状と言えます。

このため、食事で何とかならないかという悲痛な叫び厨房に届くという感じです。

 

肥満の改善は最優先ではない

障害があるかないかではなく、本人に「痩せたい」意思があるかないかという問題も重要です。

痩せるためには、本人の痩せたいという意思があるに越したことはありません。

 

でも、痩せる事のメリットよりも今の生活を続けることの方に多くのメリットを感じる場合もあります。

 

特に障害者施設にいると家庭にあまり要求することが上記の様々ン理由から難しい場合が多くあります。

こういった場合に痩せさせたいが為に家庭生活を崩壊させる可能性すらあるわけです。

健康も大事ですが、その人の人生において、何を優先するのか、どんな人生プランを描くのか、関わる人達できちんと議論を行い、対応することが求められると思います。