従来の栄養士業務のほとんどは必要性が低くなっている
栄養士の仕事と言えば、昔は栄養の足りない人への指導であったり、きちんと栄養価のある食事のメニューを組み立てるものでした。
その後は病院などでも治療効果を高めるための環境づくりとして入院している患者さんへの治療食などの提供も行っていくわけですが、この場合の多くは過剰なものに制限をかけるというもので
糖尿病であればエネルギー制限、腎臓関連の疾病であれば塩分制限など、栄養失調を気にする時代とはこの時点で大きく向いている方向が変わっています。
栄養失調自体をすでにあまり聞かなくなっています。
新型栄養失調といって「偏食が過ぎると食べていても栄養失調になる」というケースが話題になったこともありましたが、その話題の持続性が無かったことからも、栄養失調の件数自体が大きく減少していることが分かります(貧困がある限り無くなることは無い問題ですが)。
そして病院での食事提供や栄養指導については、病気の具合と共にどういったものを提供されるのかがある程度マニュアル化されています、
これは病気のガイドラインに沿ったものが存在しているからで、やはり病院にもなるとこういった仕組みがしっかりしているという印象を持っています。
栄養不足が大きく減り、病気に関する対応はマニュアル化されている・・・
こうなってくると栄養士が行う業務が今まで通りで良いとは言い切れないことが見えてきます。
ダイエット関連については取り組むべきも・・
ダイエットのアドバイスなどは需要もあるし、食事に関する知識も役に立つので、今後も栄養士の取り組む価値のある分野ではあると思います。
ただ、この分野は
- ライバルが多すぎる
- 実はそこまで知識がなくても良い
この2点がネックです。
ライバルが多い
栄養士でなくてもダイエットのアドバイスを行うことができる業種はたくさんあります。
特にウエイトトレーニングのトレーナーの方などは、ボディビルでの体を絞るという専門性を生かしてこういったアドバイスをされている方もいます。
「痩せる」という一点については栄養士よりも経験のある業種もこのように珍しくありません。
更に、こういった資格などを持たずともダイエットについて特化した知識を身に付けてアドバイザーをしている方もいます。
実はそこまで知識がなくても良い
ダイエットは実はそこまで詳細な専門知識を必要としません。
基本的に肥満の方は食事などを過剰に摂取しているので、それを適正にすれば良いわけですし
最終的には摂取エネルギー<消費エネルギーにさえなれば体重は減るので、独自のメソッドを掲げる人も少なくありません。
栄養のバランスは整っていることに越したことはありませんが、栄養失調になるような極端に間違ったダイエットをしていなければ、大きな問題にまでなるケースも少なく。実際に栄養士であることがアドバンテージになるかというとそんな感じはしません。
肩書に栄養士や管理栄養士を名乗る事ができるくらいが関の山という感じです。
ダイエットは知識よりも寄り添う姿勢
ダイエットは栄養士が取り組む内容ではあるけれど、専門知識がそこまでなくてもできてしまう・・・
では、ダイエットを成功させるためにはどんなファクターが重要かというと
以前にも書きましたが、本人が自分の生活を変容させる覚悟です。
食べるものを変える、生活習慣を変えるということは人によっては大きなストレスであったりするため、拒否反応が現れることも少なくありません。
でも、結局ダイエットを永続的に続ける、成功させるためには、本人がダイエットについて理解し、自分で生活を変えるという事が必要です。
栄養士が24時間365日付きっきりで監視しているわけではありませんし、そもそもそんな生活は気が滅入ってしまいます。
この行動を変容するための理由や方法を納得してもらえるまで寄り添うという姿勢こそが求められるものだと思っています。
栄養士特融の正しい根拠やデータを差し出したところで相手が興味あるのは自分の体と体重なので、見向きもしません。
本人の考え方が変わるように少しずつ知識を自然と身に付け、それを実践しようとすることを見守れることこそが求められるものです。
こうなると栄養士であるアドバンテージは皆無ですね(笑)
もしかすると専門知識が足を引っ張るかもしれませんし。
栄養士にはオリジナリティと共にルールが必要
ここまでの理由で、栄養士はその独自性を失いかけている職業だと思います。
一方で、給食現場を始めとして、不特定多数の人の為の仕事ではまだまだ専門性が生かせる環境が隠れているようにも感じます。
ただ、オリジナリティが暴走すると自分や厨房などに過剰な負担がかかることもあるので、仕事の線引きについてはきちんとルール化しながら、その中にオリジナリティを生み出すことが今後は求められてくるのではないかと思います。