毎日の過剰な運動が子どもの成長を止めてしまうかも
一昔前は「運動は毎日続けて行うことが大事」で、「1日休んだ分を取りもどすのには3日かかる」など言われてきました(実は科学的な根拠はまったくない)
ところが、最近ではこういった毎日の過剰な運動によって子どもの成長や、将来的な可能性にネガティブな影響が出るのではないかという事が示唆されてきています。
今回はその例を二つほど挙げていきたいと思います。
強制的に運動できない期間に成長した子供が多い
感染症拡大防止のために数ヶ月外出に制限がかかり、運動量が大きく制限されました(2020年春から夏)
その間は様々なクラブや部活動等に制限がかかっていました。
そして、少しずつ制限が解除されて活動再開してくると、特に小中学生を対象にしている指導者から「子供が大きくなっている」という声が少なくない量で聞かれるようになってきました。
この大きくなっているは「身長が伸びている」という意味です。
実際にうちの長女もダラダラしている間にすごい勢いで身長が伸びました(ダラダラしていたので横幅も伸びましたが・・・)
これは単純に成長期だから、とか、久しぶりに見たから、という問題ではありません。
多くの指導者達は今までも毎年同じくらいの年代の子どもを見続けているわけですから、今年に限り特に成長した子が多いという形になります。
理由としては十分な休養、そして体が消耗しないので摂取した栄養が成長に回せるという点が体の成長にプラスに働いたと考えることができます。
逆の見方をすると、今までは運動量や負荷が多すぎて、体が成長する余裕が無かったという事もできるので、成長期には運動の量と質について真剣に考える必要があることを感じさせられます。
有名な大型ピッチャーは高校時代に休んでいる
これは以前の記事などにも書いていますが、ダルビッシュ投手や大谷投手という日本を代表する高身長のピッチャーは高校時代にケガなどをして、一定期間休んでいる場合が多いです。
このことから考えられるのは下記の2点
- 身長を伸ばすためには運動のし過ぎはマイナス
- 肩も消耗品なので成長期に酷使しない方がプロになった後の伸び代がある
上記の二人のピッチャーはメジャーリーグでも通用するどころかチームの要となるレベルの選手です。
休んではいけないという昔の言葉に信用性が無いことがこういったところから見えてきます。
知らないうちに体を酷使しているケースが多い
自分は、あるいは自分の子どもはプロを目指すわけではないから・・という場合には更に体を酷使する必要性が無いのできちんと運動量を考える必要性があるはずです。
ところが、日本ではどういうわけかエンジョイの習い事や部活動は少なく、そんなにそのスポーツで有名でない学校に行っても、勝つことを目標とし、大会での好成績を目指して厳しい練習をしています。
まるで全員がプロを目指すことが当たり前であるかのようです。
この弊害として 学生時代の過度な体への負担があり、本来得あればもっと身長の伸びるはずだった人も多いのではないかと予想がされます。
休むことで体が成長する理由
では、なぜ休むことで身長が伸びることがあるのでしょうか?
これは単純で、運動で消費した分のエネルギーや栄養の補給が十分でない
子どもと言っても運動で体は消耗します。
筋繊維は使えば切れるし、関節にだって負荷はかかります。
こういった体の修復にもたんぱく質を始めとして様々な栄養素が投入されます。
しかも、消化器官の成長もまだ十分でないうちには、量を食べることが困難であったり、無理に食べても、消化・吸収ができないという点から栄養が不足した状態に陥りやすくなります。
つまり、体に大きな負担をかける上に、それを修復するための栄養の摂取は難しい傾向があります。
こうなれば体を大きくする余裕など生まれません。
今回運動などの活動自粛によって身長の伸びる子が多かった背景には、「体への負荷が減ったことで、成長に回すだけの余裕ができた」と考えることができます。
成長の速い子もいる
成長の速い子は、小学生のうちに大人のような身長とがっしりとした体格を手に入れることもあります。
こちらは単純に成長期が早く来ている事、それに伴い消化吸収機能の成長も速いことなどが背景にありますが、こういった人は少なく、日本人は基本的に成長期を迎えるのが遅い人が多いと思っています。
成長の速度はその時々の運動機能の差にもなることから、コンプレックスなどになってしまいがちです。
成長の速い子は運動機能の成長も速く、成長の遅い子は、成長するタイミングまでなかなか足が速くならないなど、年齢だけで比較すること難しさもあります。
基本的にこれらはどちらが良いという問題ではありません。
むしろ成長が遅く、子どものころ選抜チームなどを背の低さを理由に外された人の方がプロになってみると息の長い活躍ができたりします、
何でも長い目で見て、判断する事が必要というように感じています。