栄養士業務はテレワーク可能か
感染症拡大防止のために自宅待機などが推奨され、テレワークができる場合には切り替えが進んでいる業種もあります。
そんな中で栄養士はテレワークが可能かどうかという点について考えていきます。
栄養士のテレワークは仕事によっては可能
栄養士業務で現場にいることが必須になる範囲は限られると思います。
これはうちの現場がそうなのですが、国から営業を継続する旨を伝えられた施設などは、利用者数を制限するなどの対応は行いながらも、調理を行う必要があります。
こういった場合には栄養士自体が調理を行っていない場合にも、日々起こる変化に対応するために数日に一度は顔を出さないといけないという事になります。
個人的には週に1度の出勤でも対応できそうだとは思っていますが、法人内でルールを揃えたりすると、週に1度の勤務で歯仕事が終わらないという人もいるようなので、自主的にできる範囲で更に自粛をしています。
では、実際にどういった部分は在宅でも問題なく仕事ができるでしょうか?
現在僕が家で行っていたり、職場で行っているけれども家でも可能だと考えている業務については下記のようなものがあります。
- 献立作成
- 文章作成(書類作成)
- 発注
- 栄養相談
一方で、現場でないとできないこととしては
- 味見(検食)
- 食べている人の様子伺い
このくらいしか思い浮かびません。
納品などは栄養士である必要性がそもそも低いので割愛しました。
できないこととして部分にしても、どうしてもできないのかというとそんなことは無くて、究極的には緊急時なので厨房をクローズして宅配弁当などに切り替えるなどの方法をすれば調理自体を省略することも可能です。
この辺りは法人などの価値観などもありますが。
食べている人の様子にしても、栄養士の仕事の範疇外である場合も少なくありません。
つまりは上手くやれば多くの栄養士が在宅ワーク可能というわけです。
※しかし、病院など日々の対応があまりにも変化に富んでいる職場かつ緊急時にこそ更に忙しくなるというケースには当てはまらないので、フル稼働になるでしょう。
具体的にどう在宅で行うか
では、上記の在宅でできるとした仕事について具体的にどう行っているのかを書いていきます。
僕の職場は少しITに弱くて、外部から職場のPCにアクセスして仕事をすることを嫌います。
それでも家で行うことができる仕事は多くあります。
献立作成
献立作成については紙にカレンダーを書いて、主菜と副菜を書き並べておきます。
似たような名前の料理は基本的に材料も似ているので、栄養ソフトや献立作成ソフトが触れない環境であっても案外おかしな献立はできなかったりします。(ある程度経験は必要なのかも)
それを出勤日に打ち込むだけ。
本来ならいきなり打ち込みしたいところですが、案外この二度手間のおかげで、献立のダブルチェックができたりして、良い献立ができたりするのも面白いものです。
そして家にいるとテレビやパソコンから刺激が入ってくるので、「これ作ってみたい!」という献立を取り込むきっかけにもなります。
たまに忙しすぎて昨年とあまり変わらない献立を立てて激しく後悔することもありますが・・・
案外在宅ならではの良さもあると感じています。
文章作成
文章やら資料やらの書類は基本的にPCがあればどこでもできる時代になったので、在宅であれ何であれ問題はありません。
なんならスマホでも仕事できますからね。
時代は変わったものです。
発注
発注書の打ち込みは献立を持ってきたり、データとして参照さえできれば家で行えます。
僕は出勤日にこなしてしまいますが、「家でも全く問題ないぁ」と思いながら行っています。
実際の発注については作った発注書をどのように業者に渡しているのかで多少異なります。
- 納品時に手渡している
- FAXで送る
- メールなどでデータを送る
基本的に手渡しとFAXの場合にも在宅だと問題が出てきます。
実際にはコンビニの複合コピー機を使用すれば相手に送ることも可能ですが、個人的には手渡しやFAXはこれを機に辞めるのが理想的だと思います。
実際僕も手渡しやFAXでやり取りしている(法人内はすべてこの方法)のですが、きちんと送れたか確認が困難であり、メールであれば送信記録はキチンと残るので自分で発注したか自信がないときにも調べるのは一瞬で済みます。
今やPCやスマホを全く持っていないという業者さんもいないでしょうから、これを機に本部に掛け合ってみたいと思います。
実際PCがあれば、必要なのは仕事専用のアドレスくらいなので金銭的なデメリットも少ないし、発注書も紙として打ち出す必要がないので、ペーパーレスにしてコストダウンも狙えます。
今回のようなトラブルでむしろ先送りしていた様々な問題が表面化したという点では、これを今のうちに改善することで、後々この状況も悪くはなかったと考えることができるようになるかもしれません。(そうしないといけない)
仕組みを見直すチャンスです。
後で楽ができるかも
栄養相談
今やLINEでもビデオ通話ができます。
直接場所を決めて時間を決めて、移動してまで会う必要性は無くなってきています。
今ではビデオ会議のツールなども充実しています。
栄養相談もオンライン上で手軽に行える時代になったと言えるでしょう。
LINEというと文字でのやり取りでも良いのではないかと思われることもありますが、文字だと細かいニュアンスや表情、声のトーンなどから分かる雰囲気が感じられないので、基本的には顔を見るやりとりが大事だと思っています。
オンラインでの栄養相談がもっと一般的になれば、栄養士の新しい仕事としても更に開拓されると思います(今でもあるにはあります)
在宅ワークを阻害するもの
栄養士もかなりの範囲で在宅でも業務がこなせるという話を書いていきました。
では、なぜ僕の職場のようにもっと勤務日数を減らせるところが、これだけ出勤するという現状になっているのかというと
- 出勤日数が多い
- 仕事時間が多い
この2つが「あの人は仕事がんばっているという指標」になっているためです。
大手企業ではすでにこの判断基準を撤廃しているところも少なくありませんが、まだまだ働いている時間そのものを評価基準にしていて、その内容やどれだけの業務をこなしたか自体は二の次とされていることもあります。
実際、僕は認められている休み以外も子どもの休校などに伴って在宅で仕事をさせてもらっています。
これは上司に恵まれていて、特別に許可してもらえたのですが、同じ法人内では今でも週5日職場に顔を出す形で勤務している栄養士も多くいます。
この場合、休んでいる事がサボっていることのように思われる風潮があります。
僕はもう良い年齢なので、今の仕事にはすっかり慣れていることもあり、誰かに何か言われた場合には「じゃあ、毎日職場に出ている人と僕の仕事量を比較してください」と言い切る覚悟があるので気にしていませんし、出世欲もそんなにないので、家庭優先で仕事していますが、周囲の目を気にする場合には、大した仕事がなくても自粛できずに出勤してしまい、感染リスクを自分で高めてしまっている場合もあります。
この古い価値観が在宅ワークを浸透させない大きな理由であるのは間違いないと思います。
実際在宅では仕事しているか監視できないという話も聞きますが、成果さえ出せば、途中で何していようと構わないと思っています。
実際に通勤時間が無いだけで仕事に使える時間は一気に長くなります。
むしろIT系の仕事では在宅勤務の時間中でもゲームしている人の割合が多いというデータもあります。
でも、それが気分転換などになって仕事がむしろはかどるのであれば、それを止めるメリットが企業側にあるでしょうか?
コロナウイルスにより強制的に訪れたこの変化の機会は、実は古い価値観を捨てるための大きな機会なのだと思います。
栄養士も時代に残されないようにしていきたいですね。