自分の仕事は何か?が見えづらいのが栄養士の仕事

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料理をする女性

栄養士の業務範囲は見えづらいので注意が必要

僕はこれまでに社員食堂、病院、福祉施設での栄養士勤務を行ってきました。

 

その中で、病院では仕事の区切りが非常にしっかりと別れている反面、管理栄養士一人での切り盛りになりやすい福祉施設では仕事の範囲が非常に曖昧になりやすく、それがなんらかのトラブルにつながりやすいことを実感しています。

 

今回は栄養士の仕事範囲について書いていきます。

 

栄養士の業務範囲のそれぞれ

 

病院

基本的に管理栄養士や栄養士を配置している病院では、色々な職種が存在し、しかもそれぞれの職種についての人数もそれなりの規模であることが多いです。

 

このため、それぞれの業務で作業がマニュアル化されていることがほとんどです。

 

こうなると仕事の自由度は下がりますが、自分の仕事は明確なので、他職種とのトラブルは比較的抑えることができます。

 

迅速な対応の求められる病院という環境がこういったところからも見えてきます。

 

反面、こういった病院でありながらまだマニュアル化されていない場合は混乱が多くなっていることが予想されます。

 

社員食堂

社員食堂では主に食堂と厨房に関わる業務が範囲になります。

 

エリアでしっかりと分けられることが多いので、厨房作業のマニュアルだけあればあとは比較的何とかなる傾向があります。

 

販売、金銭のやりとりについてはそれぞれの場所で異なるので、この部分についてはしっかりとマニュアル化されていることが望ましいです。

 

基本的に社員食堂の厨房の評価

美味しい献立と調理による部分が大きいので、マニュアルは最低限であり、調理方法のマニュアルの方が充実しているところが多くありました。

 

このようにエリアでしっかりと担当が分類されている場合も比較的混乱は起こりにくいです。

 

また、エリアでの分担の分かりやすさから、給食委託業者を入れやすい点もメリットです。

 

福祉施設

ここでの福祉施設とは、高齢・障害の施設などを指します。

 

僕が現在法人の栄養士業務を見直す仕事をしている影響もあるのでしょうが、ここまで紹介した病院や社員食堂と比べると、なんとも整備されていないところが目立ちます。

 

この原因として、管理栄養士や栄養士が一人で切り盛りをするケースが非常に多いという部分があります。

 

このため、最低限の仕事(献立作成や発注というルーティンワーク)をこなせばあとは自由裁量で自分のやりたいようにできますが、この自由が人によって範囲が大きく異なる点などが課題になります。

 

基本的にルーティンである最低限の仕事は昨今では献立作成ソフトを使用しているところもあるので、そこまで課題になることはないと思います。

 

むしろ慣れてきて、自分の時間を作れるようになった頃に余分な業務を行いトラブルを起こすケースが散見されます。

 

僕が知っている範囲で分かりやすい例として

  1. 厨房が調理をしている午前中から外で草むしりをしていた
  2. 利用者のトイレ介助を栄養士が行った
  3. 栄養士が送迎車の運転を行った

こういったものがありました。

 

共通するのは、本来他職種の仕事であり、しかも栄養士が行うことが好ましくないという点になります。

 

この中で草むしりはギリギリ許せる気もしますが、その後厨房に入ってしまうとNGですね。

 

トイレ介助については食中毒の原因となることもありますが、そもそも食品を扱うという衛生的な仕事を行う栄養士は行うべきではありません。

 

送迎車については、事故が起こった際に「運転していたのは栄養士でした」という説明をするわけにも行かないでしょうし、施設や法人の責任問題にも発展しかねないので、人が足りないとして基本的に業務として取り入れるべきではありません。

 

どうして範囲外の仕事をしてしまうのか?

実はこれらの業務外の仕事を行った人達は栄養士として仕事ができないわけではなく、むしろある程度できる人たちになります。

 

余裕があって施設全体を見渡した時に、手が行き届いていない部分に気が付いて、栄養士が手を出すべきではない部分についても「良かれと思って」手伝ってしまいます。

 

きっかけは善意。

 

でも、手伝う部分はそこではなかったというだけです。

 

トイレ介助の人手が足りないと気が付いたなら、他の雑務を手伝って、トイレ介助に人を向かわせるなど、対応の仕方を誤ったとも言えます。

 

しかも、それらを手伝ったことが知られた際に、本来その仕事を行うはずだった部署が怒られてしまうということもありました。

 

実際にこういった行動を起こしてしまった栄養士はその後異動や配置換えということになっていますし、内容によっては管理職の人事にまで展開してしまうこともありました。

 

その行動が栄養士の行うべきものかどうか、実はこの判断は難しいところもあります。

一人仕事であるがゆえに誰にも相談せずに実行に移せてしまう身軽さの悪い面が出てしまいがちなので、栄養士の仕事はやはりある程度マニュアル化された方が良いと言えます。

 

その上で各栄養士が手持無沙汰になるのであれば、配置している栄養士の数や仕事について見直すことにつながるべきです。

その余裕やより良い食事や健康サービス提供の為に費やされるべきものです。

 

他職種が人が足りなそうだから・・・は心情的に分かりますが、それは他職種の方で解決しなければけない問題でもありますから、変に口や手を出すことは越権行為とも言えます。

 

まとめ

栄養士が明らかに自分の仕事外のことを行う際には、確実に施設で責任を負える立場の人の確認を取るようにしましょう。

 

この確認をしておけば、何かあった時の責任は栄養士一人が負うものではなくなりますし、相談しておくことで正確な判断をもらうこともできます。

 

実際に良かれと思ってやったことが相手からすると有難迷惑でしかなく、クレームがくることもあります。

 

栄養士が何でも屋になってしまうと、その専門的な価値も下がってしまうので、自分の安売りをし過ぎないようにしましょう。

 

ちなみに僕の今いるところは前任者が他職種とのトラブルを起こして異動になったところです。

 

このため、赴任後最初に言われたことは「栄養士業務に専念してください」であり、非常に快適に集中した環境で仕事をさせてもらっています。

 

その中で栄養士は出しゃばらない方が施設は上手く回ることも何となく見えてきました・・・

 

自分が何でも屋してしまうと、少し余裕を失ってこういった部分が見えなくなってしまうということも問題なのかもしれません。