子どもの成長は同い年でも大きく異なる
自分の子どもの成長具合やできること・できないことについてはどうしても同級生の他の子と比較しての判断になりがちです。
ところが特に若い世代においては生まれた月が違うだけでも大きな差があることが分かっています。
一例を挙げると
・とある学年(小学生)に絞った陸上競技の大会で、どの種目でも優勝者が10月までに生まれた子だった
・ある程度有名なサッカーチームのセレクション合格者がやはり夏までに生まれた子で占められていた
このように、生まれたタイミングが1年も違わないといった場合にも、成長には差が出ることが多くあります。
更にここに個人ごとの早熟型・晩成型も違いが現れます。
このため、4月に生まれていても、本人の体が晩成型である場合には秋以降生まれた子よりも運動機能で負けてしまうということがあります。
生まれたタイミングと本人の成長特性を見極めてあげることは非常に大切です。
基本的に小さいころから頭角を現す子どもの多くは早めに生まれつつ、早熟型ということが多く、その後伸び悩むことが多くあります。
そして晩成型は他の子よりも小さく、それに伴って運動機能もそこまで高くないので、自分が運動をするのに向いていないと勘違いしてしまうこともあります。
実際、ウエイトトレーニングは成長期が一段落し、身長が止まってから行うことが推奨されていますが、身長の止まるタイミングは晩成型では自然と遅くなるので、ウエイトトレーニングを始められる時期も遅れます。
ここで無理に早めに始めると、効果を最大限に得られないばかりでなく、成長中の骨や関節に多大な負担をかけてケガの原因になってしまいます。
晩成型は本人にコンプレックスがある
そんな僕も夏に生まれましたが明らかに晩成型で、小学校を卒業するころの身長は143㎝しかありませんでした。
このころ、自分よりもみんな足が速く感じ、持久走以外ではあまり良い成績を収められなかったので、「自分は運動が得意ではないんだ・・・」と思っていました。
今にして思えば器械体操以外では体育の成績はいつも通知表での最高評価だったのですが、トップレベルとの差にあきらめていたのだと思います。
つまるところ、自己評価が低くなってしまう
回りがどう思うかは関係なく、とにかく自分より優れた人の多さにあきらめてしまう印象です。
では、いつ頃からこの差を気にしなくなったのかというと、身長が伸び始めた中学生時代からです。
卒業時には170㎝を超えました・・・
さらに小さくて運動機能の劣る頃にした工夫の数々も大きくなってから更に生かせるようになってきました。
僕はサッカーをしていたので、相手より遅いのであれば素早く動かなくても良い位置取りや技術面でのレベルアップなどは今の僕を支える骨格となっています。
晩成型はゆっくり見守る
今回の内容で最も言いたいことは
晩成型の子どもが諦めずに自分を信じることができる環境づくりの必要性です。
周囲の大人が、「この子は必ず今後伸びるんだ」と信じ、本人も「僕はこれから伸びるんだ」と自己肯定感を持つことができれば、もっと運動が好きな子、得意な子は増えると思います。
これが日本のあらゆるスポーツの成長にもつながると思います。
日本人は成長が遅い傾向
特に日本人は成長の遅めな民族だと感じる場面が多くあります。
サッカーのオリンピック代表は23歳以下の選手中心になりますが、日本人は見た感じ華奢で若者という雰囲気が強くありますが、ヨーロッパの選手などは、すでにラグビー選手のような体つきをしていて、同じ年齢のようには見えません。
そういった意味では日本はオリンピックでの結果にこだわらず、A代表という年齢制限のない、トップチームでの結果にこだわるのも良いと思います。
早熟のデメリット、晩成のメリット
では、早熟の方が早いうちから結果が残せるので有利なのかというと、そうだと言える部分と、そうではないと言える部分の両方があります。
例えば、早い時期に有名になり、選抜チームなどに選ばれれば、優秀なコーチから指導を受ける機会に恵まれます。
ここで良い指導を受けてその後も成長を続ければ、早く成長するメリットを十分に生かせていると言えます。
デメリットとしては、早くに運動機能が高まるので、同級生より優れた足の速さや背の高さだけを前面に出して活躍している場合に起こる「運動機能で並ばれた時に、差をつける武器を持っていない状態になってしまう」事があります。
サッカーで小学生年代では敵なしと思われた選手が、その後急に名前すら耳にしなくなるということが実は少なくありません。
これは、小さい頃は他の人より早く成長した強みである足の速さや背の高さを生かしていたものの。いざ他の子どもが成長期を迎え、そのアドバンテージが失われた時に、他よりも優れている部分を持たなかった、早く成長したメリットだけでプレーしていた子に多くあります。
このため、最近では小学生時代に全国大会などで名前を馳せていても、その獲得したトロフィーなどで個人を評価することはせず、将来性という部分が大きくクローズアップされるようになってきています。
その一つの証明として、全国大会などで結果を出して有名なチームよりも、大会などで結果を残せなくても、将来的にプロになった選手を輩出したチームを選択するチームを選択する保護者の方も増えてきています。
晩成型のメリット
では、次に晩成型のメリットについて書いていきます。
海外のプロサッカー選手は40歳までプレーできる人はほとんどいません。
ですが、日本ではキングカズこと三浦選手は50歳オーバー、中村俊介、中村憲剛選手、遠藤選手と、才能に恵まれていれば40歳オーバーでも活躍しています。
特に両中村選手は成長が遅かったというエピソードが有名です。
ですが、成長が遅いということは、衰え始めるのも遅くなるという一面も併せ持っています。
特に成長が遅いタイプは身体機能で相手に負けている場合はどうすれば良いかという方法を小さいころに身に着けています、
これらの能力は自分が衰えてきて相手の運動機能が優れているという場合にも同様に利用することができます。
選手寿命の長さという面では晩成型も捨てたものではありません。
実際僕が40歳を超えても大学生とサッカーができるのには、この部分があると実感しています。
まとめ
成長速度やピークは個人差があります。
どれが良くて、どれが悪いではなくて、その個人の成長のタイミングや速度に合わせて、「今何が必要か」ということを見極めていくこと、それを本人に理解してもらうことが大事だと思います。
成長が遅い子は自分が運動することを苦手だと感じてしまいます。
でも、そうではなくて、いずれ他の子に追いつけるし追い越せるということをしっかりと伝えることができる必要性
早熟傾向の子には、他の子が伸びてきた時にも武器になるものを身に着ける必要性、今の優位性がずっと続くわけでは無いことを伝えて天狗にならないようにする。
あるいはその子がすでに上級生並みの体格と運動機能を持っているのであれば、成長年齢に合わせて上の学年の子と競わせる必要性なども出てきます。
こういったそれぞれのタイプに合わせて、本人のサポートをしていくことが大切ということを特に大人に知っておいてもらいたいと思います。