献立作成時のこだわり
栄養士が献立を作製する際には、実は各栄養士なりのこだわりや癖が隠れています。
今回は僕のこだわりや周囲の栄養士の癖、評判などを合わせて紹介していきます。
施設や会社の形態によってこだわり方も異なる
僕は以前病院、入所の福祉施設で勤務をしていて、現在は昼食のみを提供する施設で勤務をしています。
病院や入所施設では基本的に3食ともこちらの提供する食事を食べていただくことになるので、自分の考えた献立がすべてになるため、こだわり方は旬の食材の積極的な利用などで季節感をしっかり出すことや、行事食を入れることになります。
一方、昼だけを提供する場合は、朝と夜に何を食べるのかを少しイメージする必要があります。
具体的に言うと土用の丑の日だからウナギを提供しようと考える(最近高価で出しにくいですが)
でも、家庭でも同じことを考えたとしたら、昼も夜もウナギを食べることになってしまう・・・こういったバランスを考える必要が出てきます。
自分の出す食事以外のところを意識することで、それぞれの施設や会社においてどんな献立を作成するかがイメージできるようになります。
僕の献立に対するこだわり
現在、僕は平日の昼食のみを提供する施設で勤務しています。
そこで意識していることは以下の点になります。
カレー、麺類は週初め、週末を避ける
カレーや麺類は週末の家庭での食事の定番となっているところが多いので、「昨日もカレーだった」などを避けるためにこのようにしています。
これはご家族からも好評です。
毎月目新しいメニューを一つ入れる
僕の勤務している施設では、日常生活で変わった食事をする機会の少ない人が多いという特徴があるので、普段家庭では出てこないような食事を出すようにしています。
これで人生を幅が広がったなら嬉しいという感じで。
献立名だけでは何か分からないこともあるようで質問が来ますが、こういったやりとりも必要なものだと思っています。
特別意識しているのはこのくらいです。
あとは調理法が連日重ならないようにするなど、どの栄養士も意識している程度のものは無意識に行っていると思います。
栄養士ごとの考え方も千差万別
僕はイベントメニューの日はカロリーをはじめとした栄養素をあまり気にしません。
週や月の中でバランスを取れば特に問題はないと考えているためですが、栄養士の中には毎日の食事がきちんと基準内に収まるべきだという人もいます。
楽しみ優先か、マニュアルベースかという感じです。
もちろんこれらはどちらが良いというわけではないですし、僕のようなタイプも普段は数字を遵守していますし、数字にこだわる方も、その範囲でできる最大限の楽しみの提供はおこなっています。
食べる側からの評価をどう捉えるか?
例えば洋食であれば、バターが多く入る方が基本的に美味しくなります。
味も薄いよりもしっかりしている方が評判は良くなるというのは外食業界の味付けからも見えてきます。
でも、美味しさばかりを追求すると、栄養士が献立を立てている意味がなくなってしまいます。
健康的でありながら美味しいものを提供するというのは難しいものです。
でも、食べる人からの評価は基本的に見た目と味で判断されてしまいます。
栄養素は食べる時には見えないので、評価対象になりにくいのです。
このため、現場で「あの栄養士のごはんはおいしい」「こっちの栄養士の食事はそれほどでもない」と評価されていたとしても、栄養面では真逆の評価になることは珍しくありません。
もちろん美味しさも健康的な食事も両立したいところではありますが。
美味しさと健康的であることのバランスも難しくて
実際に偉い人から「もっと美味しくできないのか?」と聞かれて「これで健康的なバランスなんです」と答えるのか、それをニーズと捉えて「もっと美味しくします」と答えるのかでも変わってきます。
食事は食べる人が評価を決める部分がある、というのがなんとも難しいところです。
それぞれの個性を楽しむ感覚は大事
ここまで書いてきたように献立には栄養士の特徴が反映されます。
自由な献立作成が許されているのに毎年同じ献立しか実施しない人もいれば、自由を謳歌して、給食とは思えないメニュー名を並べる人もいます。
これも一見変わったメニューの方が素晴らしく感じますが、定期的に同じメニューを行うことで、その献立の精度を上げて美味しくすることにつながることもあります。
実際、僕は修正が必要なメニュー程1~2カ月後に反省点を踏まえて再チャレンジをします。
献立を提出する際に、「この前のリベンジです」と伝えることもあります(笑)
何にこだわるか、自分のスタイルはどういったものかを確立すれば献立作成はとにかく楽しい仕事になります。
栄養士の仕事で最もクリエイティブなものとも言えるでしょう。 楽しく献立作成をして、仕事や家庭のメニューを充実させていきましょう