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NHKスペシャル「食の起源」 塩を見ての感想など
HNKスペシャル食の起源、第2回は塩について放送していました。
内容は全般にわたって興味深いものでしたが、今回はその中でも以下の3点に絞って簡単な内容と感想を書いていきます。
・牛乳だけで生活するマサイ族の話
・人類が4億年前、まだ海中で生活していた頃から今に至るまでの塩との関係性
・高血圧と塩の関係 ナトリウムの濃度調整を行う腎臓について
抜粋しただけでも面白そうな感じ出てます。
実際個人的には1回目のごはんの話よりも引き込まれました。
牛乳だけで生活するマサイ族の話
マサイ族にも色々あるようですが、今回取材したグループは、ほぼ牛乳だけで生活しているというマサイ族でした。
朝、牛から乳を搾りそれを飲む、次は夕方に同じように牛乳を飲む
1日の食事はこれだけ、大人で1日2リットルくらい飲むこともあるということでした。(肉などはたまに食べるという程度)
ここで、今回の主題である塩の話。
塩(ナトリウム)は過剰摂取では高血圧などの原因とされて減塩減塩と言われていますが、一方で生命維持のためには必要不可欠なものでもあります。
このマサイ族は塩を摂取せずにどうして問題なく生活できるのでしょうか?
この答えは彼らが飼っている牛が舐めている石や岩。
ここにナトリウムが含まれていて、その乳を飲むことで間接的にナトリウムが摂取できているということでした。
このマサイ族の摂取するナトリウム量が1日2g、WHO(世界保健機構)が目標として掲げている1日5gの半分以下の数値です。
この現実を見ると、塩分の取り過ぎという言葉の重みを痛感することができます。
実際日本の食事摂取基準ではWHOのこの基準すら達成は困難だと考えています・・・
そんなマサイ族に塩を舐めてもらったら、大半の人が吐き出していた映像も印象的でした。
「舌がピリピリする」「毒ではないか」「嫌いだ」など、みんなが嫌な顔をしていました。
一方で、一度塩味に慣れてしまうと、それがないと「何か足りない」と感じるようになってしまうということも分かっています。
マウスの実験では高塩分の餌を一定期間続けた後、塩分を含まない餌に切り替えると、麻薬中毒患者と同じ脳内分泌物は分泌されたという報告があります。
塩中毒と言える現象が私たちの身近にあるということを痛感させられました。
人類が4億年前、まだ海中で生活していた頃から今に至るまでの塩との関係性
人類も元々は海中で生活する生物でした。
この頃は海中の塩分で簡単にナトリウムが摂取できるので問題なく生活していました。
その後、陸に上がった際に問題が発生します。
陸上では海中程簡単にナトリウムが摂取できません。
このため、人類の祖先は舌を進化させてナトリウムを感じやすくしました。
味を感じるため舌にある味蕾
魚類は400程度に比べ人類は10000程度ということでした。
この能力を使ってナトリウムを含むものを積極的に摂取することが重要であったことが分かります。
ただ、塩を自分たちで製造できるようになり、摂取に困らなくなると、塩に敏感になってしまった人類は塩のない生活に不足感を持つようになってしまいました。
結果として、食生活において食塩は非常に重要な調味料となり、これだけ普及することになっています。
最初のマサイ族などは、塩の製造などと地域的にも関係なかったので独自の食文化が定着したと言えそうです。
高血圧と塩の関係 ナトリウムの濃度調整を行う腎臓について
日本でも問題になっている塩、ナトリウムと高血圧の関係
この番組では腎臓についての切り口で話を進めていましたが、これが非常に興味深かったです。
腎臓は体内のナトリウム濃度を調整する働きがあります。
その腎臓は高齢になるにしたがって機能低下します。
ここまでは理解していた部分ですが、20代の頃の腎臓の体積を100とすると50代では90になる、その後も体積は減り続けるので、腎臓の機能は低下していく、若いころのままの食生活を続けると高血圧になりやすいのはこのため。
腎臓が小さくなる!
というのは非常に言葉としてのインパクトを持っていて、個人的には刺さりました。
今後の栄養相談などでは使わせてもらおうと思っています。
番組内では、病気になってから減塩するのではなく、病気になる前から、自分に見合ったように減塩していく必要があるとしていました。
減塩の方法として、表面に塩分を付けるという方法の紹介がありました。
ほうれん草のお浸しなら、ほうれん草だけをお皿に盛りつけて、小さなスプレーで醤油を一吹きするだけで十分美味しく食べられるというもの。
人間の舌は食べた瞬間の塩分をしっかり感知するので、それを利用した減塩法です。
スタジオでも減塩食だと思えない絶賛されていました。
まとめ
塩分も糖質も人間がここまでの歴史の中で、無ければ生きていけないものだったことから、摂取するための進化をしてきましました。
ところが、それらが簡単に手に入る状況になった時に、そういった機能が過剰な摂取を招いてしまうというのは少し皮肉な話です。
幸いなことに人間には理性あるので、上手にコントロールすることで、健康的に生活していきたいものです。
次回、第3回は脂、こちらも楽しみです。