提供している食事については食事形態を含め記録をするべき理由

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書類作成

提供している食事内容についてはきちんと記録として残す

最近は病院だけでなく、福祉の分野である障害・介護の施設においても病気の治療食や誤嚥・窒息防止のための食形態を変更した食事の提要が行われています。

 

特に僕の勤める障害者福祉の分野ではこの部分について、栄養士の仕事としてないがしろになっているように感じるところがあるので、今回は提供している食事を記録することの重要性について簡単に書いていこうと思います。

 

提供している食事を明確にする理由

施設での食事でどんなものを提供しているのか?を書類にする

 

これは施設内での情報共有という目的ももちろん重要になりますが、最も大切なことはご家族へ提供している食事(サービス)内容をきちんと伝えてご理解いただくということです。

  

この数年で僕のいる法人で実際に起こった事例として以下ものがあります。

・自分の子どもの食べている食事が知らないうちに食形態が落とされていてクレームが入った

 

食形態はいわゆる軟菜食という、少し柔らかくして提供するものから、ソフト食、ゼリー食、ペースト食というように形を残さないものへ向かっていきます。

 

ご家族としては形の残ったものを食べてもらいたいという気持ちは当然あるので、ご本人の安全性とご家族の思いの間で葛藤があるのは当然のことです。

 

このため、こちらとしては食事形態の変更なども変更前にご家族に伝えて、きちんと承諾していただく必要があります。

 

しかし、以前のうちの法人では、この時口頭でのやりとりのみで実施してしまっていたようで、ご家族に提示する資料も、同意を得たことを証明できる書類作成すらもされていませんでした。

 

このため、家族からクレームが入った際に、誰かの記憶頼みの返事をするしかなく、当然言った言わないの水掛け論にしかならないため、施設への不信感を募らせてしまうということがありました。

 

こういった事態を防止するためにも、事前の説明をしっかりと行うこと、そしてどのような食事を実際に提供しているのを提示して了承(サイン)をいただくという行為は非常に大切になってきます。

 

食事提供を確認する書類運用

では、実際にどのような書類を用意すればよいのでしょうか?

実際に食数が多く、栄養ケアマネジメント加算の対象になっている施設においてはすでに実施している栄養ケア計画がそれにあたるものです。

記載するべき内容としては

・病気などを理由として治療食の提供の有無

・咀嚼嚥下能力の評価とそれに伴いどの食形態の食事を提供するのか

・除去食の有無(アレルギーま服薬との関係など)

・その他備考

こういった点について、実際に提供される食事と、その根拠が示される形にします。

できれば根拠については医学的な初見や書類が添付されることが望ましいです。

 

そして、その内容についてご家族や後継人が納得いただければサインをもらうという形が最も望ましいです。

 

ただし、理屈では分かっていても気持ちが納得できるのかは別問題です。

対話を重ねることでご理解いただくということも重要になってきます。

 

最近トラブルとなりがちなのは十分な理解を得られていないまま、相手を無理に説得した形になってしまい、その時に抱えていた不満が時間をかけて表面化したケースです。

 

栄養士はつい「正しさ」を追求してしまいがちになりますが、相手の想いを無視した「正しさ」には実はあまり意味がない場合もあります。

 

書類を作成するメリット

提供している食事についてきちんと書類を作成することは、サインをもらう目的以外にも栄養士にメリットがあります。

 

例えば異動がある職場の場合、「誰に」「どのような食事が」「どうして(理由)提供されているのか」という情報が書面上にまとめられているので、引き継ぎが非常にスムーズになります。

 

そして、医学的・科学的根拠を大事にすることで、他職種から良く分からない要望(意外と多い)が来た時にも、根拠がはっきりしないと書面にできない、家族に提示できないというルールを明確にしておくことで簡単に突っぱねることができるようになります。

 

こういった良く分からない職員の要望は利用者にとっても不利益なことが多いので、利用する方を守るという行為は実は栄養士自体を守ってくれる行為にもつながります。

他職種の要望を整理できる

以前、とある高齢者施設の食事がほぼ全員ソフト食になってしまったという話題が栄養士界隈で出ていました。

 

この理由としては、食事介助が楽ちんだからという介助スタッフの要望(都合)があったそうです。

本人の状態なんて二の次だったということです。

 

噛む必要のない食事をしていれば当然ながら噛む能力は衰えていきます。

介護施設の何たるかよりも日々の業務を楽にすることばかり考えてしまった現場と。それを突っぱねることができなかった以上、栄養士も加担していると言われても反論できないところです。

こういった本人にメリットのない提示を突き返すためにも、書類と医学的根拠のない変更は基本行わなというルールは非常に重要になります。

 

実際に僕のいる法人でこの書類づくりに注力するようになった理由として

若い栄養士がベテランの支援スタッフから無理難題をふっかけられて困ってしまったという経緯があります。

 

「栄養士が安心して働ける現場を作る」という目的も利用者へのサービス向上と同じくらい重要な点と考えての実施となっています。

 

書類を作成するその他メリット

福祉の現場は今後、権利について今まで以上に配慮が必要になっていきます。

 

人権ももちろんのことですが、そういった配慮が欠けてしまうと、時代の流れとして責任問題や裁判になるケースが増えていくことは容易に想像ができます。

 

このため、施設として提供しているサービスについてしっかりとまとめ、それに承認をいただくという行為は非常に重点を置くべきものとなっていきます。

 

そしてその書類と実際のサービスに乖離があることも問題になるので、何らかのチャック機構も検討しておく必要があります。

 

未来まで見越して安定した施設運用を行おうとする場合には、このような書類を始めとした仕組みづくりが必須となっていくでしょう。

 

今後の展望として

僕の法人で現在本部に提案しているのが、食事形態を(下げる方向に)変更する際にご家族に向けて発行する資料作りというものがあります。

本来施設の管理者、サービス管理責任者、栄養士といった当たりで行うべき業務なのですが、ここでご理解いただけず、施設との距離が広がってしまうことも少なくありません。

 

このため、それぞれの施設に丸投げするのではなくて、

うちの法人として

・どういった方に提案をしているのか

・食形態変更のメリット

・食形態を変更しなかった際に起こり得るデメリット

これらをまとめたパンフレット作りを行うことで説明のクオリティに差が出ないようにしたいと思っています。

 

噛む、飲み込むという機能についての知識というのは一般的ではないので、どうなるとリスクがあるのか、そのリスクとは何か、こういった点をご理解いただくのに、一回の面談などでは到底困難です。

 

無理に説得するのではなく、理解していただく。

この過程をしっかりと作っていきたいと思います。

 

まとめ

書類づくりと聞くと仕事が増えるというネガティブな感覚を持つ人もいると思います。

 

ただ、その書類を作ることは施設、栄養士、そして何よりも利用する方々にとってメリットのあるものです。

 

将来的な問題を大幅に削減できるものだと考えれば、書類の書式作りなど些末な問題ではないでしょうか?