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栄養相談・指導の方法や対象も時代によって変化する
僕が栄養相談をする上で、最近は昔と違うな・・・と感じることは以外に多くあります。
例えば個人個人の考え方や使用する食材の変化など。
こういった変化を知ることで相手への情報の発信の仕方などが異なってくるので、ある程度準備しておくことは有用です。
角砂糖〇個分は通用しない
まず最初に角砂糖のたとえ話です。
昔はペットボトル一本の清涼飲料水には角砂糖がいくつ分含まれているのかを紹介していました。
ペットボトルの隣に角砂糖を摘んだりして視覚的に「こんなにたくさんの砂糖が含まれている」ということを認識してもらいやすい方法として、長らく栄養士や保健師が利用していた方法です。
ですが、最近はめっきり角砂糖自体を目にする機会がなくなってしまいました。
喫茶店に行っても袋に入った砂糖が個別包装されているものに変わっているので、角砂糖1個分の甘さや量が認識できなくなっています。
特に若い世代になると角砂糖自体を見たことがないということも少なくないので、この方法はもう使えないと考えた方が良いでしょう。
5gくらいのスティックシュガーを並べた方がイメージしやすくなっていると思います。
本数を増やしてインパクトを出したい時には2.5gのものもあるので、たくさん並べると、特に主婦層からの反応が高くなります。
相談対象の知識量の違い
最近は健康番組などの影響で、誰もがある程度健康関連の知識を持っています。
このため、相手の知識量について探りを入れておかないと相手に不満感を覚えられてしまったりということがあります。
「そんな当たり前のことは知っている」という感じですね。
でも、相談に来るということはその情報自体に誤りがあったり、誤解があったりするということにもなるので、こちらとしてはその軌道修正をお手伝いするという感覚になります。
昔はこういった知識のない方を対象に、正しい知識を詰め込んでいくという感じに近いものでしたが、最近は相手の持っている知識を引き出しながら、勘違いのある所を正しく認識してもらう、そのためのすり合わせの場という感じです。
情報を勘違いしている人も多い
体に良い食品は、自分の体の悪い所を治してくれる、食習慣の乱れている部分を帳消しにしてくれるという勘違いが多いように感じています。
血圧が高い人はそれに効果があるというお茶などを飲めば食習慣を改善しなくても何とかなるのではないか・・・というようなリセットの感覚です。
実際には食品はあくまで食品であって、薬ではないので、それ単体で摂取することで劇的に改善する可能性は非常に低いです。
そしてAさんに効果があっても他の人に同じ効果が望めるかというとそうではありません。
これはその他生活習慣・食習慣の影響を大きく受けるためです。
こういった薬と食品の混濁したイメージも栄養士としては頭を悩ませられる要因となっています。
体に良い食品を取れば良いという感覚にも注意
体に良いので朝はヨーグルトに果物に、卵に、○○に・・・・・
テレビで体に良いと言っていた食品を片っ端から並べて食べている方から、太ってきたという悩みを受けたことがあります。
本来は食べるものを減らす必要があるにも関わらず、体に良いというものを足し算していってしまうことでこういった状態になります。
こういった感覚が冷静に考えると笑い話のように感じてしまいますが、実は世の中に溢れています。
食べ過ぎが原因でダイエットの必要性がある方の多くが
「何を食べたら痩せるだろう・・・?」と口にします。
でも、実際には不要な間食などを減らすことが大事なわけで、本来何かを削ることを考えるべき場面であるにも関わらず、食べたら痩せる食材があるかのような発言が出てしまいます。
僕が栄養士をしていると話すと、かなりの確率で「何を食べたら痩せますか?」を聞かれます。
このため、職業をあまり言いたくない人になりつつあります(笑)
関わりの深い相手であれば「何も食べなければ痩せる」くらい言うのですが。
相談相手の言い訳も進化
相手に健康についての知識が加わっているので、言い訳についても進化をしています。
こちらからの提案に関しても「○○だから・・・」とすかさず気の利いた返事が来たりします。
恐らく、身内からも同じような指摘を受けることで。それに対する防御を作り上げているのだと思いますが、栄養士目線で言うと相手が手強くなってきています。
そういった際に重要になってくるのは栄養士として知識量とコミュニケーション能力です。
こちらの知識が大したことがなければ相手の言うとおりにするしかなくなることもありますし
コミュニケーションがスムーズでなければ相手に納得してもらえないこともあります。
栄養士も教科書通りの内容だけ覚えていればよい時代は終わったと言えます。
世間で流行している健康法や新しいダイエット方法については、一般の方よりも敏感になる必要があります。