病気を括る名称の話 生活習慣病・成人病
生活習慣病と言えば、糖尿病・高血圧・脂質異常症など、専門的な勉強をしたことのない方でも知識として知っているという世の中になりました。
一方で、これらを生活習慣病という行政。医療的な用語で語ることにより、心に傷を持つ方も存在しています。
今回は生活習慣という名称についての疑問点などを中心に書いていきます。
生活習慣病=成人病
昔は生活習慣病と言わずに成人病と言われていました。
これは元々成人に見られる症状だったためですが、食事が豊かになったことで成人前にこういった状態になる方も増加してという社会的背景を踏まえて、生活習慣病という名称に変更になったわけです。
高度成長期前は食べることに困る人も多かったことから、贅沢病などと言われたこともありますが、どれにしてもやや印象の悪いネーミングになっています。
生活習慣病という名前の裏側
生活習慣病は食事習慣や運動習慣に基づくということから名称として扱われるようになりました。
悪く表現してしまえば
「あなたの生活習慣が乱れているからなってしまうのです」
と解釈することもできます。
たしかに生活習慣病の多くは食事摂取や運動習慣と密接な関係があります。
一方で遺伝や体質など先天的なものであって本人の生活とは全く関係なくこういった生活習慣病になってしまう方もいます。
そういった本人の意思や生活が全く関連しない場合にでも現在は生活習慣病とう括りになってしまい、まるで「本人の生活習慣に何らかの問題点がある」ように聞こえてしまうようになっています・・・
特に高血圧に至っては、過剰な塩分摂取や運動不足によるものよりも原因がはっきりしない本態性高血圧の割合がかなり多く、原因を生活習慣に限定してしまうこと自体疑問に思います。
糖尿病などは読んで字のごとく、尿に糖が混じるものですから、病態を表現していますが。生活習慣病の中には生活習慣に全く関連のないものが多く含まれているという意味では、名称については疑問の余地があります。
実際に遺伝的な要因で生活習慣病になってしまった人の中には、かなりストイックな生活をされている方もいて、生活習慣はバッチリということすらあります。
成人病が状況に合わなくなったことで生活習慣病と呼ばれるようになったのであれば、その言葉が実情に合っていないケースがそれなりにあるということが分かった今、更なる名称変更も検討するべき時期にきているのかもしれません。
栄養指導も個別対応に
生活習慣病にしても、本当に生活習慣に課題があってなってしまう人、遺伝的なもの、体質的なものでなってしまう人で対応が変わってきます。
栄養士としては生活習慣病という括りに惑わされずに相談に来られた方の状態をシッカリと傾聴しながら対応に当たり、オーダーメイドの対応が求められる時代になっていると感じます。