目次
施設や食堂で給食のルールが守られないことが多い
栄養士が守るべきルールというのは、基本的に衛生面に関するところと、運営面(金銭面)に当たる部分になります。
こういったルールは守ることで、食中毒などを防止することにつながり、金銭的な部分にしても守ることでお客さんとの信頼関係を構築することにつながります。
そうでありながら。昔から行っていることなので悪い事だという自覚が無かったり、なぁなぁになってしまうケースは多くなっているという現実も目にしてきました。
今回は意外と見落とされている、守られていないルールについて書いていきます。
守られていないルール ①余った食材は廃棄する
予定していた食事が急にキャンセルになった、必要なくなった場合など、余ったものは確実に廃棄する必要があります。
このルールができた背景は2つ
- 余ったものを持ち帰ったりすると調理後2時間以内の喫食という大量調理マニュアルのルールを守ることができず、食中毒のリスクが高くなる。
- 余ったものを持ち帰って良いというルールが昔は多くの職場であったが、これを悪用して、わざと余るように発注する・余るように盛り付けるということが横行し、会社に損害を与えることがあった。
1番目は安全性を考慮したものです。
給食現場にとって食中毒は天敵です。
ルールを破ってまで、そのリスクを負うということはいざ食中毒が起こった際の責任を取るということを意味しています。
本来栄養士はそんなにリスキーな職業ではありません。
良かれと思ってやったことで自分の首を絞めてしまうことがないように注意が必要です。
2番目の余り物を持ち帰ることは、以前は当然のように行われていました。
ただ、こういった食材費は厨房の職員が一切負担していないケースがほとんどです。
そうなるとお金を払って食事いる人や会社に対して不誠実であるとされたり、信頼関係に響いてしまうことがあります。
人のお金で買ったものをタダで持ち帰ってしまうわけですから・・
余ったから持ち帰ることがいつの間にか、持ち帰るために余らせえるになってしまうこともあります。
こういった状態になると、発注量が本来必要な分に対して上乗せされたものになります。
このため、不正な運営として責任を追及されることもあります。
守られていないルール ②平等な対応がされていない
実際に僕の知っている現場で、一部の職員にだけ多く盛り付けしていることが問題になった施設があります。
食費の負担はみんな平等であるのに、こういった区別があることについて「差別ではないか?」という声が上がりました。
厨房のベテランの方からすると多く食べられる人は食べる様子を見ていて気持ち良いし、多く食べさせてあげたいという思いがあるようですが、食べる側の負担が一律である場合には好ましくないと言わざるを得ません。
もちろん「+50円で大盛り」のような対応があるのであれば話は別ですが、こういったことが問題になるケースはそういったルールのない中で厨房が勝手に良かれと思って余計なことをしてしまっているということが非常に多いようです。
ルールが守られない理由
なぜこういったルールが守られないのか?
その理由は下記のようになります
栄養士が先導して行っている
栄養士が先導している場合には、それは現場のルールとなってしまい、不正が堂々と行われてしまうことになります。
それをおかしいと注意してくれる調理スタッフがいれば幸運ですが、立場上言いにくいことも多いようです。
調理スタッフの行動を栄養士が注意できない
調理スタッフがベテランで栄養士が若手というケースに多くあるのが、栄養士はおかしいと思っているが注意できない、というものです。
相手の方が現場を知ってるので、というリスペクトは分かりますが、これで何かあった場合には当然おかしいことを指摘できなかった栄養士にも責任はあるわけですから、ある程度勇気を持った対応が必要になる場合もあります。
どこに行っても調理スタッフの言いなりにしかならない栄養士では、困ってしまいますし
昔からやっているので誰も悪いことだと自覚していない
これは昔から当然のこととして全員が受け入れてしまっているケースです。
昔ながらの現場に多く見られます。
企業としてはこれを防止するために定期巡回や職員の異動による入れ替えなどを行う努力をしていますが、最終的には今のルールのおかしさなどを現場に理解してもらわないと改善が困難である場合が多いです。
ルールを改善していくために
ルールを新しくする際に僕が現在行っている方法として
そのルールを守るとどんなメリットがあるのかを説明
食中毒が起こりにくい、何かあっても調理スタッフの責任にならないなど、働く上でのメリットを分かりやすく説明します。
今まで守れていなかったことについては追及しない
新しいルールの徹底をぼやかさないために、今まで守れていなかった点についてはあまり追及しません。
追及するのは新しいルールを受け入れるつもりが無かったり、いつまでも守れない場合になります。
会社(法人)全体での決まりごとだと周知する
大量調理マニュアルに基づいたルールが各会社や法人ごとにあると思います。
自分一人で判断したことでなく、「会社として、法人として明日からこういうルールで行うことになりました」ということを伝えます。
要は現場の栄養士一人で責任を負うのではなく、会社としての判断であることで相手にそのルールの重さを伝えていきます。
厨房のルール まとめ
家庭だったらこんなにルールを守る必要はありません。
でも、僕たちの仕事は家庭料理の範疇とは異なっていて、たくさんの人に安全で美味しい食事をしてもらうことです。
その為に作られているルールを守れないということは食べてくれる相手に対する誠意が欠如していると捉えられても仕方がありません。
若い栄養士が「調理スタッフが言うことを聞いてくれない」と言いますが、これにも見方が2つあって、本当に言うことを聞いてくれない困ったスタッフである場合もあれば、栄養士が単純に自己保身のため、注意すらできていないという場合もあります。
これらをしっかりと判断して対応していくことが、マネジメントとして必要な時代にもなってきました。