健康診断が通院につながっていない
健康診断は雇用主が従業員に受けさせる義務があります。
そのため、多くのところで健康診断までは受診できるようになっているものの、その結果によって本来は通院が必要な方についても病院への通院にはつながっていないという現状があります。
今回はこの健康診断の現状と課題などを簡単に書いていきます。
健康診断の目的
健康診断については、様々ありますが、ここでは生活習慣病などの一般的な健康診断について書いていきます。
健康診断では血液検査を始め、レントゲンや心電図などを行います。
この結果から、病気の早期発見・早期治療につなげると共に、今後病気になる可能性の高い人を抽出するという目的があります。
日本の増大する医療費の事を考えると、重い病気になって医療費がかかるようになってから病院へ行くのではなく、病気になる前の予防に努めて行くことが現実的な健診のもくてきになります。
病気が予防できることのメリット
ここで紹介していくメリットには主に健診から通院がスムーズに行われることで起こる物になります。
このメリットには個人的なものと国レベルのものがあります。
個人的なメリット
個人としてのメリットは病気を未然に防ぐことによるものです。
・病気になって通院回数が少なくて済む、入院しなくて済む
・医療費が少なくて済む
・病気による苦痛を受けなくて済む
簡単に書きだしましたが、病気にならないことで健康的である事、経済的・時間的負担が少なくなる点が大きなメリットとなります。
国としてのメリット
・病人が減るので医療費が少なくて済む
・病院の混雑が解消される
・医師の負担を減らすことができる
国としてのメリットも個人のものに似ています。
ただ、医療保険などの金額は膨らむばかりなので、個人よりも深刻な問題です。
そして、日本の大きな病院はいつ行っても大変混雑しています。
病気を未然に防ぎ、通院する人を減らすことが出来れば、病院にしても、患者にしても待ち時間の軽減、職員の負担減などのメリットが出てきます。
このため、本来であれば、健診制度はもっときちんと整備・運用されるべきものになります。
健診から通院に繋がらない理由
では、どうして健診結果が良くないとしても、それが通院につながらないのでしょうか?
この理由は勿論人によるのですが
・単純に通院が面倒
・現状特にどこかが痛いというわけではない
この2点に集約される部分が大きいです。
予防がメインだと、その時には特に痛みなどの自覚症状はないわけです。
そうなると本人としてはどこも悪くないのになぜ病院に行かなければいけないのか?
という感じになるためです。
この検査結果が悪いけど放置する結果がいずれ病気につながるのですが、人は自分に対してこういう不幸が起らないだろうと思い込む傾向があるので、むしろ「自分は大丈夫」と思いながら生活をしていきます。
そして、いざ病気になると「なぜ自分が」「同じような生活をしている人はたくさんいるのに」とその行いではなく、不運を恨みます。
こういった考え方が検査結果が悪くても通院につながらない背景にあります。
また、検査に引っかかる生活をしている人がそうでない人より健康に対する意識が低いということもあります。
検査結果に対する取り組みも徹底されていない
ここまでは個人がどうして検査結果に基づいて通院しないかという点について書いてきましたが、本来は個人の意思を尊重しつつも制度として通院につなげていく必要があります。
ところが、現在のところ結果が悪くても通院や相談などは義務になっていません。
ここをどうにかしないと、せっかくの健康診断がスクリーニングの役割を果たせなくなってしまいます。
今後はこの点について少し踏み込んだ対応が必要になってくるのではないかと思っています
健康診断が通院に繋がらない現状について まとめ
僕の職場でも毎年35歳以上の職員対象に生活習慣病健診を受けるようになっています。
この健康診断を受ける人はほぼ100%ですが、それが通院につながったかをアンケート調査したところ、元々通院していた人以外に、新たに指摘項目について通院したという人はほとんどいませんでした。
この状況改善のための方法も考えていますが、本人の意識改革をしないといけないので、困難極まっています。
やっぱり法で決めてもらえませんかね(笑)