熱中症予防のスポーツドリンクで太る?
夏場といえば熱中症というくらいに、熱中症が一般化してきました。
特になる場であれば、曇っていても、室内であってもリスクがあるので、何とも言えない状態となります。
そんな夏場の質問で多いのが、「自分や子どもがスポーツをしているので、その際に熱中症対策としてスポーツドリンクを飲ませているのですが、その影響で太ってしまう」というものです。
これについて今回は簡単に書いていきます。
スポーツドリンクは低カロリー
いきなりですがスポーツドリンクと括られる多くの商品は飲んでも太りません。
これは最近のスポーツドリンクが、昔ながらの「運動中に失われる成分の補給」ではないからです。
昔は、運動中に失われる水分やミネラル、更には糖質も含んでいました。
ところが、一時期のダイエットブームに乗って、カロリーを控えることを良しとしる風潮が広がり、ミネラルや糖質は減っていき、代わりに人工甘味料とアミノ酸を含む低カロリーなものにスポーツドリンクは変容していきました。
このため、スーパーなどで購入できる多くのスポーツドリンクは低カロリーであって、運動時に飲んで痩せるようにデザインされています。
人工甘味料でカロリーを抑えて、痩せるというイメージの強いアミノ酸(主にBCAA)を加えたものがほとんどになりました。
流行に合わせて商品が変わっていくという一つの例だと思います。
スポーツドリンクで太る理由
では、実際にスポーツドリンクで太るというケースはどうして今でもあるのでしょうか?
この理由は非常にシンプルで、昔ながらのアスリート向けの商品であれば今でも糖質を含んでいて、一定以上のカロリーを摂取することができるからです。
特に子供は喉の渇きを覚えれば、1回の水分補給の適量と言われる150ml程度で我慢することはできずに多めに摂取しますから、大人よりもオーバーカロリーになる可能性は高くなります。
スポーツドリンクで太ったという相談を受けるケースのほとんどがポカリスウェットなどの本格的な商品を利用している方です。
ポカリスウェットの販売主である大塚製薬の商品はきっちりアスリート仕様にデザインされているので、運動時以外の水分摂取などにも利用すると、カロリーの過剰摂取から太りやすくなります。
ただし、運動時の水分補給で最強なのはポカリスウェットを水で半分に薄めたものです。
ポカリスウェットほど汗で失われる成分の多くを補給できるスポーツドリンクはありません。
そのため、「飲む点滴」などとも言われます。
ポカリスウェットは水で割る
ポカリスウェットを水で半分に割る理由としては
1.糖質が多いので、口当たりのべたつきを抑えて飲みやすくする
2.糖質の過剰な摂取を抑える
3.浸透圧のバランスを整え体内への吸収を早める
こういった飲みやすさ、糖質とのバランス、吸収スピードの上昇という利点を享受することができます。
ポカリスウェットはしっかりした作りのためか、他のスポーツドリンクよりも少し高めの価格設定になっていることが多いですが、水で割ることを考えれば、むしろ他のスポーツドリンクを飲むよりも安価になります。
熱中症予防飲料の注意点
最近は夏場=熱中症という構図が確立したことで、飲料業界がこぞって「熱中症対策」というラベルを貼った商品展開を行っています。
ここに落とし穴があるので注意が必要です。
熱中症予防飲料の注意点1;ミネラルがナトリウムしか入っていない
ミネラルが含まれます、とラベルに記載されていても、それがナトリウムだけという商品が非常に多くなっています。
ナトリウムもミネラルなので嘘ではないものの、それだけでは熱中症予防には不十分です。
こういった商品は従来の飲料に塩を入れただけ、という感じです。
熱中症予防飲料の注意点2:ミネラルの量が足りない
これは某ミネラル麦茶のことになります。
今までにも商品名に反してミネラルの含有量が少なすぎるので、消費者庁から商品名を変えるように言われていますが、注意書きなどを変えるなど、上手いこと立ち回ってそのまま販売し続けています。
この影響で麦茶で熱中症予防ができると勘違いしている人もいるくらですが、基本的には麦茶では水分の補給はできてもミネラルは補給できませんから、熱中症の対策としては十分ではありません。
熱中症予防飲料の注意点3:スポーツドリンクは過信できない
スポーツドリンクの多くは、上記の通りダイエット方面に偏っているので、ミネラルが含まれていない物が多いです。
このため、スポーツドリンク=スポーツの時に飲んでおけばOKと言う時代ではなくなってしまいました。
夏場の運動時に飲む飲料としては、きちんとミネラルを補給できる飲み物を選ぶ必要があります。
運動時に補給したいミネラル
運動時にスポーツドリンクなどから補給したいミネラルとしては
Na(ナトリウム)
Mg(マグネシウム)
K(カリウム)
Ca(カルシウム)
この4種類になります。
これらを含んでいる商品を選択することで、熱中症のリスクを減少させることができます。
市販されているスポーツドリンクでは見当たらないという場合には、プロテインなども手掛けているメーカーから販売されているスポーツドリンクを探してみる事もおススメします。
そういったメーカーの商品を購入する方の多くはシリアスアスリートなので、そういった方にも満足される商品を作っています。
番外:ポカリスウェットは本当に太るのか?
ポカリスウェットで太ったという話は耳にするけれど、本当なのかと思った(疑った)ことはないでしょうか?
実は僕も数年前までは、疑っていました。
考えを改めた出来事として
ある方が風邪になってしまった、という場面から話がはじまります。
この方の風邪が治って以降、体重が増え続けるということがありました。
食生活は変わっていない(施設を利用されている方なのでこれは確実)、さらに以前は体重は横ばいをキープできていたにも関わらずです。
原因を様々な職員で探ったところ
看護師から風邪の時の水分補給に食欲がないこともあり、ポカリスウェットを勧められていて、それが本人の中でポカリ=身体に良いとなり、風邪が治った後もすべての水分補給がポカリスウェットになってしまっていたことが分かりました。
本人に、常日頃の水分補給はポカリスウェットである必要はないことを説明すると、その後体重は再び横ばいに落ち着きました。
僕はこの時、ポカリスウェットの力強さを痛感するに至りました。
たかが水分、されど水分という感じです。
夏場の熱中症予防のスポーツドリンクと肥満の関係 まとめ
ここまで読んでいただくと、スポーツドリンクで太る理由は
①従来のスポーツドリンク(ポカリなど)は運動時に飲む設定なので糖質も多くカロリーも意外と含まれている。
その分、ミネラルなど熱中症に有効な成分も多く含まれる。
②現在のスポーツドリンクの多くはダイエット用にデザインされているので糖質の代わりに人工甘味料が使用され、低カロリーになっている。
反面、熱中症対策となるミネラルの種類や含有量は少なく、十分な対策にならない。
この2点の商品の特徴を知っておくことで防ぐことができるものだと思います。
登山をする方であれば、水分は何でも良くて、ミネラルの多い岩塩を他に携帯するという方法もご存じかもしれません。
自分に合った商品・方法探しが、熱中症予防と肥満防止の第一歩であり、最も大事な所になると思います。