健康食品の継続性や効果についてのアンケートは信用できない
健康志向の高まりと共に、運動を行う方や食べ物にこだわる方など、自身と家族の健康を高めるための工夫を行う割合が増えてきています。
そんな中、サプリメントを始めとする健康食品を利用している人の実態はどのようになっているのでしょうか?
健康産業新聞という業界誌のアンケート結果が納得できないと感じたので、こういったアンケートについての個人的な見解を書いていきます。
健康食品を継続する人の割合の疑問
この健康産業新聞ではサプリメントなどの健康食品を週1回以上利用する人で、それを1年以上継続する人の割合は6割というアンケート結果が出たと発表しています。
3年以上継続できる人は全体の4割となっています。
この結果だけを見ると、1年続けられる人の多くはその後も継続する傾向が高いと言い換えることができます。
これらについて個人的には
実は1年継続している人は6割もいないと考えています。
体感的にもそんなに一つの健康食品を続けている人がいないというのは皆さんも周りを見れば感じることができるのではないでしょうか?
では、どうして6割もの人が継続できているという結果が出るのでしょうか?
アンケートは取り方で数字が変わってしまう
こういった調査はほぼアンケート方式となっています。
最近はネットでのアンケートも増えているので、だいぶ手軽にはなっていますが、そういったものに敢えて答えてくれる層は、こういった継続性のあるものを続けやすい方が多いと考えています。
飽きっぽい人や健康食品への興味が低い人はこういったアンケートにあまり答えないという感覚です。
実際ネットアンケートは登録制で、どのアンケートに答えるかは本人が選ぶことができるものが大半です。
こうなると、そのアンケート内容に沿った物に好印象を持っているか、悪い印象を持っている方は飛びついてくるものの、中間層や興味の薄い層は比較的答えてくれない可能性を考慮しなければいけなくなります。
これを上手く利用すると、興味のある人からの意見を引き出すことができます。
正確な情報を引き出すためには。アンケートに答えてくれる人を無作為に抽出して答えてもらうくらいしないといけませんが、こういった調査は正確性よりも大事なものを求めていると言えるでしょう。
実際に国の行う重要な調査などは無作為に調査対象を抽出しての方法を取っています。
都合の良い数字を引き出すことのできるアンケート
では、どうしてネットでのアンケートなどを行うのか
これは単純に手軽だからという点と、実は自分達にとって都合の良い数字が出やすいことがあるという点があります。
今回の健康食品のアンケートでは恐らくサプリメントに関する調査(アンケート)というお題目で、アンケートの詳細までは受けるまで分からなくはなっています。
一方で、サプリメントについて、という内容のアンケートに参加しようとする人は少なからずサプリメントについて知っている、興味がある、すでに使用しているという人に偏ります。
全く興味がない人でも答えに来る人はいるでしょうが、興味のある人が答えるよりも少数になるでしょう。
こうなるとサプリメントを継続して使用している人の割合が実数よりも多いという結果が出やすいことが分かります。
実際、アンケートを取る側は健康食品関連でしょうから、「サプリメントを継続して利用している人は6割もいるよ」という結果はかなり望ましいものではないでしょうか。
健康食品を継続する人が多いと発表するメリット
では、どうしてこうした数字のマジックを利用してまでも健康食品を継続利用している人が6割もいるということをアピールしたいのでしょうか?
健康食品継続者を多くするメリット1:消費者へのアピール
購入する側からすると、そんなに継続利用している人が多いのであれば、効果があるに違いないと感じることもできます。
その結果として、サプリメントなどの健康食品を購入してみようと思う人を増やすことにつながる可能性はあります。
健康食品継続者を多くするメリット2:業界が元気である事のアピール
健康食品業界はこんなに元気ですよ、ということをアピールすることで、新規参入を試みる業者を増やしたり、新しい商品開発に積極的に投資するきっかけになったり。
業界を更に活性化するための一つの手段ともなります。
ドンドン新しいサプリメントが開発される背景にこういったところもあるのかもしれません。
これを努力と呼ぶかは・・・・ですが。
一方で信用できそうなアンケート結果も
そんな中、これは信用度が高そうだというものに
・サプリメント購入者の多くが中年以降の方である事
・若者はドラッグストアでの購入が多く、高齢になるほど通販での購入が多くなる事
この2点があります。
本当にコアな購入者であれば、ネットで吟味し、さらに一番安く手に入るところを探し、ネット通販で購入することが年齢問わずなのですが、さすがにそんなにコアな人ばかりではなく、年齢によるフットワークの軽さなどが数字に表れています。
こうなると、通販番組に登場する各サプリメントが中高年を対象とした、関節に効くもの、疲労回復を促すもの、目のピントを合わせるものに偏りがちなのも頷ける話です。
アンケート結果が業界や会社にとってマイナスにならないものは正確なことが多いですね。
実際正確なデータを出した方が、販売する側がターゲットを絞りやすいなどのメリットもある部分ですし。
健康食品とアンケートの信用性についてまとめ
このように、健康食品関連のアンケートなどの調査は鵜呑みにしないことが大切です。
売る側に有利な内容については少し差し引いて考えるなどしないと、相手の都合の良い調査によって数字が捻じ曲げられていることもあります。
結局商品を売る企業としては、消費者への効果の高さよりも、「どうすれば売れるか」の方が大事な事になってしまっている部分も現在は否めません。
これは健康食品の効果が、数字ではっきりと出るものが少なく、個人の感想や体感に依存しがちであることなど、良いものを作ったから認められるということに直結しにくいことも背景にあります。
このため、悪徳業者がこれを利用すると、対して効果のないものをさも効果のあるように見せて売るということが発生して、サプリメント自体が胡散臭いものに成り下がってしまいます。
サプリメントに拒否感を持つ方の多くはこういった部分を感じられているのではないかと思います。
業界の正常化のためにも、こういった調査などはしっかりと行って欲しいところです。