施設栄養士の業務 ⑨イベント・行事対応
施設で働く栄養士にとって恐らく一番大きな仕事になるのでは、というのが、今回の内容となるイベント・行事対応になります。
施設で行うお祭りや季節行事では、食事そのものを豪華にしてみたり、お祭り時には厨房が出展するような形で参加することもあります。
今回はそんなお祭りの際に栄養士が行う業務内容について書いていきます。
その他栄養士業務については
>>>施設栄養士の仕事【①献立作成】の冒頭部分にリンクを貼ってあります。
イベント・行事の事前準備
ベントは事前の準備半分、本番半分というくらい、準備の重要性も高いものになっています。
事前に準備が必要なことを挙げていきます
イベント・行事の事前準備1:他職種と情報の共有
例えば、厨房はお弁当の販売をするとして、お弁当だけを何となく作れば良いというわけではなくて、そのお祭りのコンセプトや他のところでどんな出し物などがあるのか、そういった全体的な雰囲気を踏まえて内容を決めることで内容が良いものになります。
お弁当の中身が和か洋か、そういった基本的なところから、お祭りのコンセプトに合わせて行くことで、全体的な統一感を出すことができます。
そして、周囲と連携をすることで、周囲からの手助けも得る事ができます。
基本的に自分達に何ができて、何ができないから手助けを必要としているのか
こういったことを全体で確認して、それぞれが手の届かないところをサポートし合うということを確認できると良いと思います。
イベント・行事の事前準備2:必要は書類の提出
通常施設の厨房は保健所(保健センター)の衛生課に届け出を提出して営業許可をもらっています。
このため、調理・製造から、隣接した食堂で食べるという分には通常の営業の範囲に含まれます。
一方お祭りなどでは、通常と異なる場所で食事提供や喫食が行われることがほとんどであることから、別途祭事用の書類提出が必要になる場合が多いです。
僕のいる地域ではやはり保健所に「いつ・どこで・どんなイベントで・何を提供するか」という事を記入して届け出る必要があります。
この書類作成を事前に行い、きちんと提出することは最も大事な仕事になります。
イベントの事前準備3:メニューの決定と発注
事前にきちんとメニューを決めておくことが大事なのは最初にも触れましたが、その内容で気を付ける点として、価格とのバランスがあります。
僕の施設はこういったお祭りを外部の方との関係性を築く場と考えているので、黒字にはあまりせずに、トントンになるように調整します。
この際に重要になるのは
食材料の価格、販売価格、販売数の見立てです。
基本的に数は例年の情報を蓄積しないと見えてこないので、把握しやすいところもあれば、全く読めないというところもあると思います。
理想は、イベントの終了間際に完売することです。
早く無くなっても困るし、たくさん売れ残っても困ってしまいます。
黒字にするかトントンにするかで販売目標などは大きく異なるので、事前にいくつ売れると想定するかなどはシュミレートしてみましょう。(数字を並べるだけの簡単なものでOKです)
発注を忘れると、前日にパニックになります。
厨房業務の基本でもありますが、いつに納品して、どのタイミングで仕込みに入るのか、きちんと考えて発注をかけましょう。
イベント・行事で当日気を付ける事
当日気をつけることとしましたが、前日までのうちにある程度形作ることはできます。
当日バタつかないように事前に決めておくことができるものについては前日までにある程度詰めておいて、当日イメージと異なる部分を擦り合わせて行くくらいにした方が良いです。
当日は案外余裕がありませんから、いかに余裕を作るかは大事です。
イベント・行事で当日気を付ける点1:販売方法
給食であれば食事を渡すだけで良いのですが、これが販売となるとお金や食券でのやりとりが発生します。
ここで手間取るとお客さんを待たせてしまったり、行列の原因になるので注意が必要です。
変に行列になると、「早くしないと」というプレッシャーにもなってミスの原因になります。
無難に捌いていくことこそが最も大事と言えます。
イベント・行事で当日気を付ける点2:人の動線
・購入に来た人が並ぶ場所
・食べ終わった人が片付ける場所
・食事場所から出て行く人
これらの動きの線がなるべく重ならないようにレイアウトします。
動線がごちゃつくことでのメリットはひとつもありませんから、しっかりと相手の目的に合せて動きやすいように考えます。
例えば、販売場所と片付ける場所を離す。
こうするだけで購入にする人と、片付ける人の動きが分断されます。
ゴミ箱の位置などもついつい販売場所のそばに置きがちですが、離した方が利用する人にとっては便利です。
動きがきちんと別れれば、購入時の誘導なども最小限で済みます。
これはイベントだけのテクニックではなく通常の給食でも、食堂に入ってくる人の流れと出て行く人の流れは分けられた方がスムーズです。
イベント・行事で気を付ける点3:販売個数の把握
正直紙に正の字をつけていくだけでも良いと思います。
何個売れたかが視えれば、あと何個在庫があるのか分かります。
そして、最終的にお金の計算をする時にも販売個数と販売価格から簡単にお金を合わせることもできます。
イベントの際はこういった情報を集める世湯を失いがちなので、手元で集計できる販売個数については把握して心のよりどころにしたいところです。
イベント・行事販売での注意点
近年、食事に関する様々なアレルギーを持つ方が増えてきています。
アレルギーに関わる食材仕様がある場合には、購入の列に並ばなくてもそれが分かるように大きく記載した紙などを掲げておくと気が利いています。
これをしておかないと、いざお金を払う所まできて
「〇〇は入っていませんか?」というやりとりが始まって、最終的にお断りするという事が起こってしまいます。
アレルゲンとなる食材の有無については大きく掲げておきましょう。
イベント・行事は栄養士も楽しもう!
ここまでお祭りに寄った内容になっていますが、僕の心に残っているのは、施設の新年会で食べるお弁当を頼まれたことです。
その施設では、毎年、新年初めに、施設職員、利用者、利用者のご家族で新年会という名目で外食を行っていました。
ところが、前の年に食べに行ったお店があまり良くなかったようで
「これなら厨房にお願いした方が良いのでは?」と、保護者の方から声が上がったというのがきっかけでした。
これが非常に面白くて、外食に回していた分の予算がついているので、普段の給食の5倍くらいは使っても大丈夫という破格の条件でのお弁当作りをしました。
あまりにも自由度が高かったので、厨房スタッフにも「何が作りたいか」など意見を聞いたりしたことを覚えています。
厨房のスタッフからの意見も非常に有用で
「おせちは食べ飽きた頃だろうし」など、どんどんみんなで意見を出し合って楽しくメニューから決める事ができました。
お弁当箱も木箱みたいな柄の使い捨て容器を買って、熨斗紙をつけて・・・
施設職員から新年会の後に褒めてもらえたことも良い想い出です。
疲れましたけど(笑)
このように、自分の経験にもなるので、イベントは「面倒だ」と思わずに、思いきり楽しむという気分で行ってもらいたいと思います。
施設栄養士の業務 ⑨イベント・行事対応のまとめ
栄養士の仕事で花形と言えるのが今回紹介したイベントや行事での仕事になります。
普段とは違った大変さも多くありますが、こういったイベントを上手に行うことができると周囲との関係性も良くなります。
自分にとっての勉強にもなりますから、楽しんで取り組んでいきましょう。
この他の栄養士業務については
>>>施設栄養士の仕事【①献立作成】の冒頭部分にリンクを貼ってあります。