施設栄養士の仕事 ⑤食材費合わせ
食材費とは、食事の材料を仕入れる費用のことです。
通常の飲食店であれば、収入に対して、食材費だけでなく、人件費は光熱費までを考えて経営していく必要があります。
一方、給食を提供している施設の場合、食堂で働く人の人件費や光熱費については、別途施設から出ているので、食材費の収支を合わせるだけで良い場合がほとんどです。(その分収入は少ないですが・・・)
今回はそんな食材費の管理について書いていきます。
この他栄養士業務については
>>>施設栄養士の仕事【①献立作成】の冒頭部分にリンクを貼ってあります。
食材費の集計方法
僕は表計算ソフト(excelやスプレッドシート)に計算してくれるシートを作っています。
どの業者から何日にいくら仕入れたかが分かればOKですから、そんなに難しいものではありません。
そして月の最後にはその業者の仕入れがいくらになったかを合計してくれたら良いわけですから、計算式を打ち込めないという人でもSUMなどをクリックすればあっという間に表は作る事ができます。
こうしておくと業者から月ごとの請求書が来た時にも、簡単に数字の確認ができますし、仮に合わなかった時でも、何日分がどれだけ合っていないかすぐに合わせる事ができます。
栄養士にありがちな仕事の方法として、伝票だけを集めておいて、請求書が来てから、電卓で合計を出すというものがありますが、伝票の枚数が多くなる程間違えやすくなります。
表計算ソフトに毎日の数字をポチポチ入れ込んで、後で目で追うだけの方がはるかに楽ちんです。
食材費の見方
例えば、自分の施設が1日に100食くらい出している、そして食材費は300円であるとすると、1日に使用できる食材費は30,000円になります。
単純にその日のうちに使い切る、野菜・肉・魚は分かりやすいのですが、乾物や米などが数日に1回の納品で、それを数日に分けて使用するので、そういったものも大体で良いので1日でいくら分になるのか計算しておくと便利です。
そういった計算をしていくうちに
価格の安い献立
価格の高い献立
こういった部分が見えるようになってくるので、献立をまとめて作成する際にも、食材費の高い日の次には安い献立を持ってくるなどのバランスがとりやすくなります。
食材費は安ければ良いというわけではない
これは施設だけの問題ではありませんが、食材費が単純に安くなれば収入が増えるからと言って、食材費を下げるばかりが良いとは言えません。
安すぎる食材費の問題点1:質の低下
安かろう悪かろうという言葉がある通り、価格だけで仕入れ先や食材を選んでしまうと、美味しくない食材が届く可能性が高くなります。
もちろん同じ品質である場合には安いに越したことはありません。
この辺りは品質と価格のバランスを適正に見定める必要があります。
安すぎる食材費の問題点2:サービスの低下
うちの施設は食材費で儲けをを出さないことを基準に考えています。
これはいただいている食材費を正しく食材に使用するという面で、施設的な感覚です。
飲食店ではさすがにここで儲けを出す必要があります。
この違いは施設の収入としては利用料などの方から出ているので、不要に食事でも設けるという行動に走らないようにという考え方があります。
特に施設では食材費が飲食店よりも予め低い設定になっているので、そこでケチってしまうとみすぼらしい食事が提供される恐れもあります。
飲食店だって儲けだけを考えてケチり過ぎて貧相な食事を出せば流行らなくなってしまいますから、提供するサービスとのバランスも重要になります。
食材費を考慮すると仕入先はいくつかある方が楽
僕は総合食品業者さんをいくつか利用しています。
実際には1社と取引をしていれば、そんなに給食で使用する食材には困りません。
では、どうして数社と取引をしているのかというと
それぞれに得意な部分が違う業者と取引をしているからです。
分かりやすい所では、
そこそこの品質で安い業者
高品質でやや高い業者
これをその時その時の食材費のバランスや、この献立の時はこっちの方が美味しいから譲れないという感じで選択していきます。
1社の方が選択の幅は狭くなりますが、選ぶ手間は無くなるので仕事上は楽になりますが、サービスという点を考えると、やはりいくつかと取引をしておきたいところです。
特に業者側に何らかのトラブルがあった時にも、他にも取引先があるという事は強みになります。
施設栄養士の仕事 食事費のまとめ
食材費は予算と相談しますが
それによって品質やサービスが低下しすぎてはいけないという面もあることから、バランス感覚の求められる仕事になります。
特に行事食などを行おうとすれば大きな出費のある日ができるため、その分を他で如何に補うか、しかも補いすぎて他の日が寂しくなる事も避ける必要はありますから、ここも栄養士の腕の見せ所となります。
バラエティのある献立も、食材費計算がまったく行われていなければ意味をなしませんから、栄養士としてはしっかりと取り組んでいきたい内容です。
この他栄養士業務については
>>>施設栄養士の仕事【①献立作成】の冒頭部分にリンクを貼ってあります。