施設栄養士の業務②【発注】
栄養士の日常業務の一つである発注
これは各業者に食材を頼むことなのですが、調理自体材料が揃わないと始められないため、発注をミスすると大事になります。
食材は揃って当たり前である反面、揃わないと大事になる面からも発注がいかに大切かという事が見えてきます。
この他栄養士業務については
>>>施設栄養士の仕事【①献立作成】の冒頭部分にリンクを貼ってあります。
発注の方法
現場でもネットで何もかも済ませてしまう所は増えていますが、その反面、昔ながらの手書き伝票で発注をかけているところもあります。
発注方法1:ネットで全て連動
これは最近増えているすべての管理を栄養ソフト1本で済ませてしまう方法になります。
栄養ソフトで献立を入力すると、栄養価が出て、発注書も勝手に入力されます。
最先端になると、ネットでそのまま業者まで発注を飛ばせるという方法もあるのですが、業者さん側でそこまでの設備を持っていないことが多く、(特に地域の小売店)便利でも導入には至らないという話を良く聞きます。
そのため、献立作成時にできた発注書をプリントして、各業者に配布するという方法が一般的になります。
納品時に手渡ししたり、FAXしたり
この辺は少しアナログです。
栄養ソフトで全て完結する方法は非常に便利で簡単ですが、導入時の手間はかなりのものがあります。
一番手間がかかるのは
その食材をどの業者に発注するのかを振り分ける作業です。
いつも使う食材だけならまだしも、たまにしか使わない物を振り分けたりすることは非常に面倒です。
専門業者の1社に全て依頼しているというのであれば簡単かもしれませんが、給食の現場では地産地消や地域の小売店をなるべく使おうという流れもあり、最初の1年は振り分けに追われます。
すでに完全に導入期を過ぎている現場に行けたならばラッキーという感じです。
発注方法2:施設独自の書式をPCで作成
うちの法人でも、エクセルに表を作っていて、そこに食品名が並んでいて、頼むものだけ数量を入れ込むという形を取っている施設があります。
これは栄養ソフトの発注書の数字の表記が見づらくて困るなど、業者さんからの希望があったためです。
新しく栄養ソフトの振り分けを行うくらいなら、こっちの方が手軽だという人もいるので、使う栄養士の好みという面もあります。
発注方法3:手書きの伝票
一番昔ながらの方法ですね。
僕が社会人になった頃はまだまだこちらが主流でした。
何が困るかというと、まとめて何日分も発注書を作成すると、書く量が多すぎて、手首が腱鞘炎のような状態になることでした・・・
手書きすると、いつ何を頼んだか丸暗記しやすいというメリットはありますが、肉体的なダメージから発注書を書く時期は憂うつになったものでした。
発注のタイミング
これは施設や会社によって大きく異なります。
発注のタイミング1:業者の希望ギリギリ
一番多いのは、相手業者の希望に沿ってギリギリのタイミングでの発注です。
相手が「3日前には発注をして欲しい」というのであれば、常に3日後の分を発注し続ける方法です。
一番のメリットは直近の発注なので、食数の把握・予想が付きやすく、予想と実際の食数の開きが少なくなることから、無駄な食材を発注する確率が減少します。
食材費が高くなりすぎている場合は、直前で高い食材を安いものに変更するなども可能です。
デメリットとしては、毎日の発注になるので、発注業務を毎日のルーティンの中に組み込まなければいけないという点です。
発注のタイミング2:ある程度まとめて発注
1週間分、2週間分をまとめて発注する方法になります。
大体食材費などは月単位できちんと収まっているか集計するため、前半はゆとりを持って、後半で辻褄を合わせていく、という方法などで使用できます。
ある程度発注業務をまとめてできる点をメリットと考えるか、デメリットと考えるかでこの方法を採用するかの判断基準が分かれます。
発注のタイミング3:大きい周期で発注
現在僕は1ヶ月分をまとめて発注しています。
僕のいる施設の特性上、食数の予想が容易であるということがその理由ですが
他にもメリットはあります。
月の発注をまとめるため、業者に配る紙の枚数が少なくて済む
そのため、向こうも納品時のミスをしにくくなる
発注の内容について業者側で確認したいことがある際にも時間の余裕があるので、コミュニュケーションを重ねる余裕がある。
まとめて発注書を作る際に、自動入力でないと集中力を維持することが困難ですが、食数が予想できる場合には有益な方法だと思います。
発注ミスをしてしまったら
発注ミスをすると、本来届くはずのものが届かないという事態になります。
それが在庫のあるものや、栄養価や調理面で代わりになる物があるのであれば、そのまま進めることもできますが。
焼き魚の日に魚の発注を忘れていた
炒め物の肉を忘れていた
こういうメインとなる食材を落とした時のショックは計り知れません。
でも、パニックにならず落ち着いて対応をすれば案外何とかなる物です。
というか、僕は正月に魚の発注を忘れましたが何とかなりました・・・・
失敗も経験のうちで、重ねて行くと、「何ともならないことはない!」という境地にたどり着きます。
ここでは、発注ミスを取り戻す方法を書いていきます。
発注ミスのカバー① いつもの業者に泣き付いてみる
まずは肉なら肉屋さんに電話して、正直に
「今日〇〇を使うはずが発注を忘れてしまって・・・」と切り出し
「〇時までに〇〇を〇㎏持ってきてもらう事はできますか?」と無茶を承知で頼んでみます。
これで案外解決してしまうことも多いです。
ただ、近所の小売店さんや、店舗を構えていない所になると、在庫を抱えたくないので期待薄になります。
発注ミスのカバー② 近所のスーパーで現金購入
僕はこの正月明けに魚の発注を忘れるという大きいミスをしてしまいました。
この時期は市場も開いてませんから、大手スーパーでさえそんなに魚を抱えていません。
そんな時でも慌てず騒がず。
近所のスーパーに片っ端から電話をして
「〇〇を〇切ありませんか?」と当たったところ、なんと3店舗目にして「取っておいてくれる」と返事をもらい、自転車で一走りしてきました。
ここでもポイントは自分の足でスーパーを回らないことです。
調理の時間は限られています。
何店舗も渡り歩いている時間はありません。
電話で各スーパーの鮮魚担当の方に聞く方が何倍も効率的です。
発注をミスした段階で調理時間は大幅にロスしているので、その先は如何にロスを少なくするかの戦いになります。
発注をミスした際の注意点
発注ミスして外部に出る際には必ず施設の責任者などに状況を説明してから行いましょう。
うちの法人では事務員から現金を受け取って買い物に行く必要があるので、正しい手順を踏みます。
ここで隠そう・誤魔化そうとして自分の身銭を切るようなことをしてしまうと食材費的な部分などに矛盾が出てしまうので、いずれ自分の首を絞める事になります。
正しい現状と今からどうやってそれをカバーするのかは上司に伝え、早急に対応する必要があります。
発注のまとめ
発注の方法については施設や会社ごとの幅がそれなりにあることが特徴になります。
その中で、自分のスタイルを確立することで、仕事のしやすさは大きく変わってきます。
僕の今いる施設は全自動ではないので、献立表にチェックを入れながら発注漏れが内容に発注書を作っています。
こういった工夫の積み重ねが栄養士の力になっていく部分もあると思います。
この他栄養士業務については
>>>施設栄養士の仕事【①献立作成】の冒頭部分にリンクを貼ってあります。