食品の大量廃棄が起こる理由
食品の大量破棄の原因として、売れ残ってしまうというものがあります。
なぜ売れ残るほどの量を用意しなければいけないのでしょうか?
大量廃棄の原因1:季節のイベントは売り時を逃すと廃棄
季節のイベントであるクリスマスケーキや恵方巻き
賞味期限が短いこと、そして、クリスマスケーキであれば12月23日~25日のうちに売り抜かなければ、その後の需要はほとんどありません。
同じく恵方巻きは2月3日までに売り切る必要があります。
これらは賞味期限も短く、イベント当日を過ぎての叩き売りもあまりできないということも大量の破棄につながる原因となっています。
大量破棄の原因2:品切れを防ぎたい店側の意向
売り切れていて販売できないという状況は買いたいお客さんに販売する商品が無いという意味で、お店側からすると機会損失となります。
このため、商品を切らすよりは少し余るくらいにしたいというのがお店側の考え方になります。
本当は廃棄が出ないピッタリの販売数が理想ですが、その予想は困難なものです。
大量廃棄の原因3:商品が少ないと店が寂しく感じる
お店の入って売り切れの物が多く、商品があまり並んでいないと、何となく寂しいというか、さびれた印象を持ってしまいます。
お店としてはこういった点を防ぐため、あまり商品棚がスカスカにならないように商品が一定数あるように発注をかけます。
その商品が日持ちするものならば良いのですが、日持ちしない物もそれなりに揃え手置きたいという部分から、それらが売れ残ると廃棄につながります。
こういった背景を踏まえると、販売する側は売り切れることが売り上げの減少と、お客さんへのサービスの低下と考えて、「少し多めに用意しておく」ことが大量廃棄の理由としてあり、そういったお店が日本中に何店舗もあるので、それらから出る廃棄が大変な量になります。
更にこれがクリスマスケーキや恵方巻きだとある数日に顕著に量が増えるので、ニュースなどで報道されたり、国から忠告を受けることにつながっていきます。
廃棄防止の改善策はなぜ徹底されないか?
では、廃棄を少なくするための工夫は考えられていないいのかというと、もちろんお店としても廃棄分は純粋にロスになるので、本来出したくは無く、その方法は探っています。
一方で、現状の方法が継続するのにも理由があります。
廃棄を減らす工夫1:予約販売をする
これは特に季節限定やイベントの際に有効です。
予約された数を用意すれば、それはほぼ確実に売れる数になるためです。
では、どうして、クリスマスケーキは完全予約制にならないのでしょうか?
これにもいくつかの理由があります。
①人手がかかる
予約を取る、予約したものを手渡すのにも確認作業などが必要
こういった手間や人件費を考えると、食品ロスの方が安価であったり、新しい仕組みを作る手間を考えて行わなかったり、ということが理由になっています。
要するに人件費よりも食品を破棄する分の費用の方が軽いと考えている時に起こります。
②予約を面倒がるお客のニーズをつかみたい
予約してまで買わないという人も一定数(予約より多いかも)います。
こういった人を逃さず捕まえるためには、予約された分以上に頼んでおく必要があります。
個人経営のお店などは予約で手一杯のことも多く、無理に余裕を持って作らないところもあるので、無駄な廃棄は少ない傾向があります。
③お客からのクレーム対策
売れ残る分にはクレームは来ませんが、早々に売り切れたりするとクレームを入れてこられるリスクがあります。
例えば「もっと考えて発注しておけ!」のようなものです。
こういったリスクを回避するために、ある程度余裕を持たせて準備してしまう心理少し分かったりします。
こういった背景から、ロスのない発注が現実にならない部分があります。
消費者である僕たちも、売り切れという状態に対し不満を感じるという部分ではまったく責任がないとも言い切れません。
売り切れることのメリット
少し話の視点をかえて、
・売り切れはどうしていけないのか?
・売り切れることで良いこともあるのでは?
という点を掘り下げていきます。
売り切れるという事は
その商品が人気だということです。
人気店の商品は販売早々に売り切れることで更にブランド価値を挙げていきます。
オリジナルの商品であれば、売り切れることは全くデメリットではなくなります。
そして、売り切れるということで、きちんと商品が循環していることが消費者から見ても分かります。
スーパーなどで夜遅い時間に行っても刺身がたくさん並んでいる。
そして開店してすぐに行っても、すでに刺身が並んでいる
これは、前日のままだと思いませんか?
大体前日のままです(笑)
つまりは、本当に消費者の立場になれば、当日売り切って、次の日にはまた鮮度の高いものを仕入れて・・・というサイクルになるわけです。
いつでも商品が並んでいることは便利ですが、
「あのスーパーの魚はちょっと・・」となってしまっては元も子もありません。
主婦(夫)の方々では、魚はどこで買うか、肉はどこで買うかを決めている方も少なくないでしょう、いつでも有れば良いというわけではないという事がこういった点からも見えてきます。
食品の大量廃棄についてのまとめ
売り切れるという状況について、
売る側と買う側のどちらにとってもデメリットがあるという考え方が売り切れるくらいなら余らしてしまう方が良いという「食品の廃棄」につながっています。
今後、日本だけでなく世界的に人口増加などの影響からいずれは食糧不足に陥る可能性が示唆されています。
未来を生きる人にきちんとバトンタッチするためにも、目先の利益や利便性に囚われず、売る側は廃棄を減らす取り組みをはじめる必要があります。
僕たち消費者も予約できるものは予約して、余計に買わないことを始めることで、お店側に余分に用意するメリットをなくして、ロスを減らす努力を促していきましょう。