みそ汁を飲んでいれば塩分は気にしなくても良い? テレビでの報道をどう見るか

スポンサーリンク
みそ汁と塩分

みそ汁は塩分を気にせず飲める?

先日某テレビ番組で

みそ汁はカリウムが豊富でカリウムはナトリウムの排出を促してくれるから、塩分は気にしなくてもOKという内容の物を放送していました。

なるほど、確かに高血圧学会でも味噌汁は高血圧の状態を左右しないという旨の発表をしています。

更に食塩感受性と言って、食塩を摂取することで血圧に影響が出る人と出ない人がいることも分かってきています。

ここまでだとみそ汁を飲んでいれば血圧など気にせず飲めそうな気がします。

ですが、栄養士としては高血圧に関連しない、あるいは血圧を改善するというだけでみそ汁をたくさん飲みましょうという誤解を招くような表現をしたくないという本音があります。

今回はこういったテレビが招く誤解についてみそ汁を例に書いていきます。

塩分の過剰摂取が平均寿命を縮める可能性

厚生労働省の発表している 統計情報・白書では

毎年のように東北地方で平均寿命が短い傾向があり、その理由として

昔から雪が多く、食品の保存として塩分濃度を高くした食事と雪の積もっている間の運動不足が原因ではないかと報告しています。

特に青森県は平均寿命の短いランキングの上位常連であり、青森県健康福祉部では、減塩の呼びかけを行っています。

では、東北地方の人達はみそ汁を飲まないのでしょうか?

そんなことはありません。

むしろ味噌も日持ちする食品なので積極的に使用されています。

つまり、みそ汁がナトリウムを体外に出すというのは十分な効果を期待できない可能性もあります。

あくまで、かなり楽観的に見た場合に「みそ汁分はチャラ」というくらいでしょうか?

みそ汁はテレビで取り上げやすい

みそ汁は発酵食品であり、大豆由来の食品でです。

発酵食品は腸内フローラの改善など、ヨーグルトやキムチなどと同様にテレビで話題にしやすい面があります。

更に大豆製品なので、味噌の消費を増やすことで間接的に国内自給率を高めることもできます。

大豆農家だけでなく農林水産省もニンマリです。

そしてみそ汁は野菜の摂取を促すことができます。

塩分の問題さえクリアできれば話題性抜群です。

そして今回のようにカリウムと結びつけることで、みそ汁だけであればこの塩分問題が特に気にならないということで、日常的な食材を話題と視聴率に変え得ることができるというわけです。

ただし、誤解を招く

ただ、この放送を見た栄養士たちは困惑していました。

明日から「みそ汁は飲んで良いとテレビで放送していたぞ」という医師から減塩の指示が出ている人で溢れかえるだろうと・・・・

そして、血圧に影響が出ないとしても、他の部分では影響が出る恐れもあります。

まず、体の浸透圧に影響します。

食べた瞬間からするっと体の外へ流れていくわけでもありません。

減塩の指示が出るのは高血圧だけでなく

腎臓疾患・心疾患・糖尿病・むくみ等々・・・

様々な病気との関連が分かっています。

結局は塩分を何g摂取したかで判断するしかない病気も多く、血圧に関係しない、という話だけで、みそ汁をガブガブ飲むことを勧めることはできないのです。

現実的に日本以外の国でも減塩の流れは強くなっています。

こういった点には気を付けて、ほどほどに摂取していただければと思います。

みそ汁についての報道から まとめ

結局テレビで放送するこの手の健康食材については

・誤解を招きやすい

・過剰な摂取を招く

こういった問題もはらんでいます。

食べ物は薬ではありません。

食べて何かを治すというよりは

・病気にかかりにくい体を作る予防的な視点

・薬や治療の効きやすい身体の環境づくり

こういったサポート面での効果くらいの感覚でいて欲しいのですが、実際の病気で悩んでいる方はまさに藁も掴む気持ちでいるので、こういった情報に飛びついて、間違った食生活を行い、状態の悪化を招く可能性もあります。

情報を役立てるつもりが、情報に踊らされることのないようにお願いしたいと思います。

何事も適量が良いのです。