スポーツをする子のフィジカル能力不足は休養不足
僕はサッカーをしているので、耳にする情報もサッカーに偏ってしまいがちですが、日本のスポーツが敗戦時の原因として「フィジカル能力の低さ」を挙げることは様々な場面で見て・聞いてきました。
そして、「それは仕方のないことだから、他の部分で補おう」と大体まとめられて終わります。
その結果として、フィジカルの部分を埋めるために技術練習などに多くの時間を費やし、週に1日の休養もないまま、トレーニングを続ける環境も少なくありません。
この休養が足りていない状況を慢性化することが日本の子供のフィジカルの低さに繋がっていると海外の指導者は指摘しています。
なぜ休養不足がフィジカルの弱さにつながるのか
では、どうして休養が十分でないとフィジカルが弱くなるのでしょうか?
休養しないとフィジカルが弱くなる原因① 筋肉が成長する暇がない
ウエイトトレーニングについて少し学んだ人であれば超回復という、筋肉を増やす・あるいは強くするために、筋肉を使わずに休ませる重要性が理解できると思います。
毎日過度なトレーニングをしている、更に常に同じ競技のトレーニングをしていると、負担のかかる部位は限定されます。
過度に使用されている部分の筋肉は筋繊維が壊れます。
本来はそこを休ませて回復させる必要があります。
この回復時に超回復という筋肉が増える・強くなる仕組みが働きますが、休養が無ければ効果的に筋肉がつきません。
それを理解して効果的に休養している国々と比較すればフィジカル能力で劣ることは当然と言えます。
休養しないとフィジカルが弱くなる原因② 栄養が不足する
運動して消費したエネルギーは食事によって補われます。
特に成長期やそれ以前の子どもだと、運動時に消費するエネルギー以外にも体が成長するためのエネルギーなども必要になります。
筋肉を作るたんぱく質も、体の調子を整えるビタミンやミネラルも同様です。
・エネルギーが足りなければ、たんぱく質を分解してエネルギーを作り出します。
・エネルギーを効率的に作るためにビタミンなども消費されます。
これを毎日繰り返していたならば、体を成長させる分の栄養が残らないのです。
だから、サッカーに熱心な子供こそ、低身長だったり、線の細さに悩む確率が高くなっています。
縦に成長する分の栄養が残っていないのです。
このため、小学6年生の冬休みなど、少しサッカーから離れる時間に急に背が伸びる子なども多く見受けられます。
たまたま成長期に入ったのではなく、栄養がようやく足りる程度の運動量に落ち着いたというのが本当のところでしょう。
休養・栄養と成長の実例として
メジャーリーグで活躍する大谷選手とダルビッシュ投手は
高校球児時代、ケガなどの理由で一定期間練習できないという状況があったという共通点があります。
これは大事な時期にしっかりと休養を取ることができたことも大きい要因です。
また、日本プロ野球の至宝とされる清宮選手
彼は小学生の頃から大きな身長に立派な体格をしていて、大人が1人だけ混じっているかのようでした。
これは彼が昔から丼ぶりごはんをおかわりして食べるなど栄養摂取を意識的に行っていたことが大きな要因であり、彼の活躍後は野球少年や高校球児にも、たくさん食べることの重要性が認識されています。
ただ、練習で疲れた後は食欲が落ちてしまいます。
たくさん食べてもきちんと消化吸収できるかも個人差があります。
このあたりはプロテインやゼリー飲料を利用して、上手く栄養を取り入れることも必要になる人も出てきます。
毎日練習をする事のデメリット
休養の足りない状況は成長以外にも下記のようなデメリットがあります
・練習が義務になりモチベーションが下がる
・その競技の楽しさを忘れてしまう
これらは日本の部活動の悪しき風習と言える部分です。
このため、高校で燃え尽きてしまい、そのスポーツの底辺拡大に競技人口が直結しないというおかしな構造ができてしまっています。
・ケガのリスク向上
ケガによって休養して成長できた選手の話を書きましたが、ケガをする前に休養した方が良いのは当然のことです。
特に過度な練習は疲労を蓄積し、集中力を下げるので、大きなケガのリスクも高くなります。
休養時でも技術は伸ばせる
毎日の練習で技術は伸びるかもしれませんが、技術は遊びの中でも身につけることができます。
更に、最近は動画などでプロのプレーをいつでも見ることができます。
ゴールデンエイジと言われる、吸収力の高い年代は見るだけでも技術を吸収することもできます。
練習しか上達の手段がないと考えること自体が時代遅れなのかもしれません。
休養不足とフィジカル能力のまとめ
日本は努力を美しいとする文化があります。
それ自体が悪いと言うつもりはありませんが、過度の練習は決して正しい方法では有り得ません。
スポーツのパフォーマンスを上げるために練習しているはずなので、正しい方法での努力を重ねていく必要があります。
休養=さぼることではありません
体を休ませるという行動をしているのです。
ここをしっかりと認識して、せっかくの伸びしろを無駄にしないようにしましょう。