栄養士は対栄養失調の職業として誕生
栄養士は戦時中や戦後でいうところの栄養失調に対応した職業です。
この当時は十分な食料が得られなかったこともあり、低カロリー、低栄養による病気が多く、それらを改善するために栄養士という仕事が必要だったわけです。
ところが、近年では栄養士の仕事の多くは、過分なカロリーや栄養状況を改善するためのアドバイザーという認識が強くなってきています。
昔は不足する栄養についてどうするかを仕事とし、
今は過剰な栄養についてどうするかを仕事にしている
方向性は健康という一点であり、同じということもできますが。
そのゴールへ向かうアプローチは見事なまでにひっくり返りました。
そんな栄養士事情について思う所を簡潔に書いていきます。
過剰な栄養の方が対応は困難
栄養の不足が病気につながることは、必要なものが足りていないので非常に分かりやすい所です。
対応も不足している分をどのように補うのかという点では、同じような症例の方には同じような対応をすることができます。
同じ病気で同じ症状なら薬も同じになるような感じです。
不足の対応が困難になるのは、大規模な災害や戦争など、食糧危機になった場合ですね。
それ以外であれば、恐らく大丈夫ではないかと思います。
対して過剰な栄養に対するアプローチは千差万別です。
例えば、カロリーが過剰で肥満、その結果生活習慣病という場合においても
・何が原因で摂取カロリーが多くなってしまうのか?
・それを減らすための方法として実行できるものはどれか?
こういった点について考えていかないといけません。
糖質の摂取多い場合でも、
では、何から糖質を多く摂取しているのか、という現状把握など必要です。
更に困難なのは、その食習慣をどう改めていくのかという点です。
不足の場合は(サプリメントでも、食品でも薬でも)付け足すことが容易にできますが、過剰な場合は減らすにしても本人の意志が伴う必要があります。
例えば、毎日夕食後に食べてしまうチョコレートが原因と判明したとして
それを辞めさせることが簡単にできるかというと、そんなことはありません。
最近はチョコレートなんてどこにでも売っています。
無いものを付け足すことはできても、何かを無くすことは物理的にできないのです。
結果的に、本人の行動変容という形でしか自体は好転しにくく、栄養士の仕事もそれにともなって、本人に寄り添う相談業務やカウンセリングのようなものが多くなってきています。
本人に寄り添う仕事の増加で、個人事業主(フリーランス)の需要が増加
こういった背景から、栄養士も独立して仕事をする人が増えてきました。
病院などではいまだに「○○を食べることをやめましょう」というまったく寄り添わない一方通行の栄養相談が行われていて、結果が伴わない、そもそもそんなお説教のようなことを聞きに行きたくないということで、人が寄り付かなくなっている部分があります。
反面、個人で行っている方は、個人個人に寄り添うことができるので、その人に合わせてオーダーメイドの方法を提案することなどで業績を挙げていきます。
もちろんフリーランスなので、いつまでも結果が出なかったり、そもそもお客を得る方法を思いつかなかったりすれば、お客がつかずに収入がないという事にもなります。
一方でしっかりと結果を出したり、評判が良くなれば、口コミなどで個人の人気が出て、様々な方向へ仕事が広がっていく可能性もあります。
そんな僕もフリーランスに憧れる一方で、何となく適正として個人よりも組織で仕事をすることが向いているのとに気づいてしまったので、日々葛藤しながらいざという時のために、こういった形(ブログやツイッター)でアウトプットをしながら勉強を怠らないようにしています。
まとめ
栄養士の仕事の方向性はガラッと変わりました。
ただし、それは仕事の可能性が広がったと考えることにもつながります。
対応が千差万別になったからこそ
・断食(ファスティング)ダイエットに強い栄養士
・情報発信に強い栄養士
・糖質制限なら誰よりも詳しい栄養士
栄養士も強みを細分化して、スペシャリストの中のスペシャリストを目指すことができるようになりました。
僕が栄養士を目指していた頃は万能性が求められていたので、今の流れからは数歩遅れて追いかけている実感があります。
栄養士になったばかりの人、栄養士を目指している人はどんどんこういった可能性に挑戦して欲しいと思います。
僕も遅ればせながら追いかけていきますので。
また、栄養士でない人もこういった栄養士を簡単に利用することができます。
僕を始めとして、栄養士はブログやツイッターをしている人もすでにたくさんいます。
こういった人に絡んで色々相談してみると、色々な情報が聞きだせるかもしれません。
できれば有料で依頼してあげると、お互いにメリットのある関係になれますが、無料でも相談に乗ってくれる人もたくさんいます(笑)
まだまだ栄養士の今後の方向性は定まらないので、たくさんの人と栄養士が絡んでいけると良いと思います。