ノロウイルスの特徴と予防、家庭での処理について

スポンサーリンク

ノロウイルスはこの数年で一般的にも知られるところになりました。

僕たちのように厨房で働く人間からすると、すでに知識として十分に蓄積していますが、一般的にはまだまだ知られていない部分も多くあると思いますので、今回はノロウイルスの基礎知識・予防・嘔吐物や糞便処理時に気を付けることについて書いていきます。

ノロウイルスの特徴

ノロウイルスには次のような特徴があります。

・冬に流行しやすい

・二次感染で爆発的に感染者が増える

・アルコールが効かない

これらを順番に説明していきます。

冬に流行しやすい

ノロウイルスの流行は主に冬となっています。

この理由として

ノロウイルスの感染源となる二枚貝が旬の時期を迎えるのが、秋の終盤から冬場に来るため、ということがあります。

特に牡蠣がシーズンを迎えると

「ノロの流行する季節がきたな」

と、調理を行う職業の間では季語のように扱われる存在でもあります。

牡蠣だけでなく、他の2枚貝もノロウイルスを持っているので、調理現場によっては、就業規則に「二枚貝を食べない」としている厳しい所もあったりします。

ちなみに、ノロウイルスは二枚貝から人間の体に入り、人間の体の中で一気に増えます。

二次感染で爆発的に感染者が増える

これがノロウイルスで最も恐ろしい部分です。

ノロウイルスを保菌している人(本人になんの症状もない場合を含む)の嘔吐物や糞便中にはノロウイルスが混じって出てきます。

この時のノロウイルスは空気に乗って他の人へ感染します。

特に嘔吐物が適切に処理されず、乾燥してしまうと空気中をウイルスが漂い、一気に感染者を増やします。

かつて大手有名ホテルで、絨毯についた嘔吐物の処理が適切でなく、空気感染で大量のノロウイルス感染者を出してしまい、しばらく営業中止になってテレビで全国放送されることになってしまったケースがあります。

このように食品の取り扱いに注意しているだけではなく、二次感染についても十分に注意が必要になる事もノロウイルスの特徴です。

アルコールが効かない

そんなノロウイルスの非常にやっかいな特徴として

アルコールが効かない

ということがあります。

最近は衛生的な視点が一般的にも持たれているので、手洗いと共にアルコール消毒が広く行われていますが、ノロウイルスには効果がありません。

ハイターの希釈液(あるいは原液)など、次亜塩素酸での消毒が必要になります。

ただ、ハイター自体は食品に直接使用するには不適切なものです。

このため、ノロウイルスの予防には

次の項で具体的に書きますが

・調理時にはしっかり加熱

・加熱後は早めに食べる

・嘔吐物や糞便にはハイターまたは専門の商品を使う

こういった、用途などに合わせた殺菌方法が必要になります。

ノロウイルスの予防

そんなノロウイルスの予防として どのような方法あるのかというと

・加熱

・消毒

この2本が基本となります。

加熱

調理は基本的に加熱頼みになります。

ノロウイルスは食品の中心部が85℃になってから1分以上の加熱で死滅します。

この加熱がしっかりと行われていれば二枚貝だって問題なく食べることができます。

ただ、僕らは中心温度計というものをしっかりと利用して調理時の温度管理を行っていますが、家庭ではそこまでしないものです。

家庭での対応としては

しっかりと食品の中心まで火が通っていることを確認することが重要になります。

煮物や炒め物は案外火が通るのですが、肉類を1枚のままフライパンで焼く時などは、食べてみたら中央がピンク色だった、赤色だったということはみなさんも経験があるのではないでしょうか?

この対策として、

①加熱の確認時に、肉の中央を串や爪楊枝で刺して、赤色の汁が出てきたら加熱不十分、透明な汁が出てきたら加熱できているという見極め

②大人しく包丁で切って確認する。肉の一番分厚くなっている部分を切ってみて、白色など、加熱された色になっているかを確認

この2点による確認をすると安心です。

加熱後はなるべく早く食べる

これはノロウイルスに限った話ではなく、あらゆる食中毒を防止する方法になります。

加熱で食中毒細菌やウイルスはほぼ死滅するため、食品の衛生状態はリセットされます。

ですが、その後に室温などで長時間置いておくと、再び菌の発生しやすい温度環境などになってしまう(冷めるなど)ので、熱いものは熱いうちに、冷たく食べるものは加熱後素早く冷まして冷蔵庫などに、と中途半端な温度にしておかない工夫が必要になります。

消毒

調理器具や嘔吐物・糞便については次亜塩素酸での消毒・殺菌で対応します。

この他、まな板や包丁は熱に弱い素材(特にまな板)でなければ、沸騰したお湯をかけることでノロウイルスも殺菌できます。

ただ、家庭にある次亜塩素酸の代表であるハイターは体に触れると強すぎたり、食品に使う分には、臭いやその強力さから抵抗もあるので、いまいち使いづらいというデメリットがあります。

最近は、ノロウイルスにも効果のある様々な商品が作られていて、中には天然成分だけであったり、口に入れても安全なものがるので、そういったものを使用する方が、使い勝手も良いし、いざという時にハイターを持ってオロオロするよりも確実と言えます。

具体的な商品としては以下のようなものがあります。

ノロウイルス対策アマゾンNo1除菌消臭剤チャーミスト

手軽に使え除菌力も高く、更に安全面でも赤ちゃんが口に入れても大丈夫と、非常に使い勝手が良いことがポイントです。

冬場の嘔吐や糞便の処理対応

嘔吐物や糞便の対応にはハイターが強い味方になります。

用意するもの

(使い捨て)手袋、ハイタ-、大きめのごみ袋、新聞紙たくさん

冬場に嘔吐や、下痢によるお漏らしがあった場合には

基本的に他の症状がなくても

「ノロウイルスが混入している」という前提で対応します。

対応時にはゴム手袋、または使い捨てのビニール手袋を着用します。

水分を吸ってしまう手袋は手にウイルスがついてしまうので不適切です。

また、基本的には手袋は使い捨てとし、ハイターに漬けることができるものだけ、ハイタ-で十分な消毒をしたのち再利用可能ですが、あまりおススメしません。

①新聞紙など、使い捨てできるもので周囲の水分事嘔吐物や糞便を取り、ごみ袋へ入れます。

②拭き取った部分をハイタ-(床素材によっては色落ちなどあるので注意)やその他、ノロウイルス用消毒商品で消毒、その後仕上に拭き取りをする。

※絨毯やカーペットが対象の場合は色落ち防止のため、アイロンでの十分な加熱という方法もあります。

③新聞紙を入れたごみ袋にもハイタ-(僕はこっちは原液を入れてしまいます)を入れ、その中に拭き取った新聞紙や手袋も入れます。

④ゴミ袋を素早く密閉し、更にもう一回ゴミ袋で包んでゴミに出します。(③の工程でごみ袋の中も消毒されていますが、水分がこぼれないためと、念のための二重にします)

家庭ではこの位しておけば大丈夫だと思います。

注意点として、素早く対応しようと複数人で作業を行うと、もしも感染した時に被害が大きくなるので、できるだけ1人で行います。(これを業界では人柱と・・・)

基本的に使用した道具は全て捨てる気持ちで、対応した人は感染している可能性があるので、その日は他の人との接触を最低限にするなどがあります。

人間は加熱も消毒もできないので・・・・

処理後はすぐにシャワーで洗い流すのが良いでしょう、風呂場自体は消毒できますし。

まとめ

十分な加熱という点が守られれば、ノロウイルスはそこまで怖いものではありません。

牡蠣だって、しっかり加熱されて入れば十分に楽しむことができるわけです。

厨房に入る職業では生牡蠣を食べることはロシアンルーレットと表現されることもありますが・・・

実は気を付けるべきは忘年会・新年会だったりもします。

それについては別に記事で書いていますので合わせてご覧ください。(あとでリンクしておきます)