ミキサー(ペースト)・ソフト食では栄養が失われている為、既製品を使う方が良いことも

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ミキサー

ミキサー(ペースト)ソフト食などは栄養が失われている

今回はUD(ユニバーサルデザインフード)のセミナーに参加してきました。

実際に施設の栄養士をされている方が話をしてくれて参考になり、楽しいものでした。

 

その中で以前から僕も体験的に感じていたミキサー食の栄養が失われているという点について実際に調査をしている内容があり、興味深かったので、確認の意味も込めて書いていきます。

 

再調理を行う食形態では栄養が失われる

ミキサー食やソフト食を加工する際にはミキサーを使用することや再加熱などにより栄養が失われていきます。

 

そのなかで、興味深く感じたのは、大きなままでは食べにくくなったということで、刻んだ食事を提供することがありますが、この刻んだ段階ですでに栄養の損失が起こっているというものがありました。

 

エネルギー・糖質・たんぱく質・脂質それぞれ10%前後の栄養の損失があるということです。

 

更にミキサー食ではそれぞれの損失が15%前後になります。

 

※これらの情報の引用は「臨床栄養vol。100NO2 2002年2月号 高齢者の栄養ケアにおける疑問と検証より」となっています。

 

更にカリウムはこういった加工での損失が大きく、栄養計算の何分の一にもならないような数字になってしまいます。

 

栄養量を摂取する上での問題としてもう一つが

 

刻んだりミキサーにかけたりすると容量が増えてしまうという場合があります。

お皿に盛りきれないような分量になることもあります。

 

食形態が落ちている人にそんな大量の食事を食べろというのは酷な話です。

 

既製品を使うメリット

今回はUD(ユニバーサルデザインフード)のセミナーを兼ねていたので、これらを使うメリットについての説明がありました。

 

  1. 調理による栄養価の損失を防止
  2. 食事サービスの不備(味、見栄え、調理経験と勘など)を解消する
  3. 人手不足や人員確保の困難がなくなる
  4. 温度管理、衛生管理が容易

 

実際にソフト食やムース食というものを実践する際には、栄養士や管理栄養士が十分な時間をかけて勉強をする必要があります。

 

その上でそれを調理スタッフ落とし込むにも時間がかかります。

 

毎日のソフト食、ムース食の成功はそういった人たちの経験や勘に支えられている部分が多くありますが、その精度は作る人の技量に左右されてしまいます。

 

二次加工に時間がかかるため時間にも追われ、衛生管理などが杜撰になってしまう危険性もあります。

 

既製品を使用することで、それを温めたりするなどごく簡単な調理のみで提供できるため、特別な勉強が不要、人による精度の違いもない、安全性も高いと良いことづくめです。

 

既製品のデメリット

デメリットというか、多くの施設などで導入に躊躇する理由として、手作りよりも価格が高くなるという点があると思います。

 

これらの問題について、既製品を使用する際には、食数が確定してから調理をしても間に合うことから、食材ロスがないことを上手に利用することで、食材費への負担を最小限にできるので、そこをうまく実施することで取り入れることができそうです。

 

まとめ

大変な苦労をしてまでの手作りを続けるのか?

 

今回のセミナーを聞いて、職場に戻って、他の栄養士に問題提起をして議論をしたいな、と思いました。

 

もちろん、良いか悪いかだけで話すだけでなく、部分的な導入や実際に使っている施設での感想なども含めて、今後の道筋について意見をすり合わせることで、将来的な混乱を防ぐことができるのではないかと思いました。