施設栄養士の仕事内容①献立作成
施設で働く栄養士の多くは1人しか施設側の栄養士がいない環境での仕事をしています。
規模の大きい施設になると、複数人で分担して行っていたり、「栄養科」「栄養部」のように、それぞれが専門的に仕事を区分けすることも有ります。
今回は僕が実際に働いている現場での献立作成に話を絞って書いていきます。
施設で働く栄養士の主な業務について
献立作成の話の前に、施設栄養士の主な業務をざっと書いていきます。
献立の話だけを読み進めたい方は飛ばして下へ行っても大丈夫です。
主な業務内容としては
栄養士の仕事はそれなりに多岐に渡ります。
その内容を簡単にまとめたものが以下のようになります。
それぞれの対応する記事についてリンクを貼ってあります。
日常的に行う栄養士業務として
・献立作成(このページ)
・発注業務
・栄養計算
・納品
・食材費合わせ
・おたより作成
イレギュラーな仕事として
・厨房機器の購入・修理
・消耗品の購入
・イベント対応(企画・運営)
・各種会議への参加
・セミナー・展示会への参加
・栄養相談
年間1回程度の仕事として
・栄養基準の策定(栄養計算に含む)
・保健所対応
・必要ファイルの作成
ざっと振り返るだけでもこれらの業務が栄養士の行うものになります。
施設栄養士の日常的に行う栄養士業務① 献立作成
ここからは献立作成業務について書き進めていきます。
これぞ栄養士の仕事!というのが献立作成です。
うちの法人も栄養ソフトを使用していますが、そこに新しい献立を入れ込むことなどは自由なので、各施設で栄養士の色の出た献立が作成されます。
僕は献立が最も自分の個性を出せるし、変わったものを出した時に驚かれたり、喜ばれたりすることに最大の楽しみを見い出しているので、献立作成に最も大きなウエイトを置いています。
献立作成法 サイクルメニューのメリットとデメリット
他の施設の栄養士には、完全なサイクルメニューを導入して、仕事の効率化に勤めているところもあります。
献立作成法のサイクルメニューとは
サイクルメニューとは一定周期で献立を繰り返すものを言います。
最短で2週間、長いと1年単位で献立をサイクルさせる方法です。
2週間サイクルだと月に2回同じ献立を行います。
短めのサイクルは保育園などで見かけます。
1年サイクルだと毎年同じ献立を回すという感じですが、年間で同じ献立が何回かずつ入っているので、同じ献立のダブりが無いというわけではないことが多いです。
献立をサイクルメニューにするメリット
サイクルメニューのメリットとしては、同じ献立が周期的に繰り返されるので、調理のスキルが向上しやすい、作業をマニュアル化しやすいというものがあるので、こういったやり方についても個人的には否定しません。
特に短い周期のサイクルメニューであれば、前回の反省を忘れないうちに次の回が回ってくることから、それぞれの料理の質が上がりやすいという点も見逃せないメリットです。
施設開所間もない、あるいは調理スタッフの大幅な入れ替えがあったなど、まずは安定した運営を目指すという場合にも、厨房の負担が少ないサイクルメニューは導入のメリットがあります。
献立作成法サイクルメニューのデメリット
デメリットとしては、目新しいメニューが出てこないこと、周期的なので飽きてしまいやすいことが挙げられます。
これらを防止するために、サイクルメニューの中でも季節感のある献立を入れ込む日を別途作る。
サイクルメニューの特徴として、完全に固定することがありますが、数日は敢えて空白にしておいて、それぞれの季節や栄養士の個性を生かした献立を入れ込むことで、マンネリに陥らないようにすることができます。
献立作成時の注意点
栄養士が献立を作成する際に気をつけないといけないポイントとして
・予算
・見た目の鮮やかさ
・旬の食材を取り入れる
・栄養バランスを考慮する
・使用食材が偏らないようにする
こういったポイントがあります。
予算については言わずもがなですが、これが結局一番頭を悩ませてくれます(苦笑)
見た目については、お弁当のように緑・黄色・赤が揃うことが理想的です。
揚げ物などは好まれる一方、茶色一色に染まりやすく注意が必要です。
赤い食材が案外少なく、トマト・人参・赤パプリカに偏りやすいので、注意が必要です。
使用食材と栄養バランスについては、様々な食材を使うことである程度整えることができます。
魚が高騰しているので、たんぱく源も魚ばかりにすると栄養だけでなく、予算も圧迫します。
全体のバランスをコーディネートすることが栄養士の腕の見せ所となります。
慣れてくると、
「この日はお金かかっちゃうな」
「この献立は安くできるから、困った時に使おう」
というようなバランス感覚が身についてきますから、何事も慣れと言えます。
個人的にコロッケの日とマーボー系(豆腐・春雨・茄子)の日は価格低めに抑えられるので、困ったときはそれらを取り入れるようにしています。
もちろんやり過ぎ注意ですが。
食材費も安ければ良いのではなくて、もらっている金額に対して、適正なサービスとして提供する必要があります。
献立作成業務についてのまとめ
献立作成はサイクルメニューにして、発注までもシステム化することでほとんど手間のかからない方法もあれば、毎回一から考える方法もあります。
入職・転職する際には、その施設がどういう方法を採用しているのか?
また、途中でその方法を変えてしまうことは可能か?
こういったことを面接などで聴いてみると、入職後の「アレ?」ということは少なくなると思います。
僕は最近異動してきたばかりですが、前任者がサイクルメニューをしていたところを、全て自分で作成する方法に変えたところ、食べる方からは、メニューが増えたことを喜ばれています。
こういった食べている人の声が聴けることも施設栄養士としての魅力の一つかもしれません。