給食の現場で栄養士が調理スタッフに求めるもの

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調理スタッフさんに求める事

僕が厨房の調理スタッフさんに求める事としては

利用される方の顔を覚える

→できれば名前も覚える

→できれば嗜好も覚える

という順番で重要視しています。

もちろん仕事内容でこれをして欲しい、などもありますが、仕事に対するやりがいを考慮すると上のものを求めるのが良いというのが今までの経験上の話しです。

顔も名前も分からない人に食事を作るのと

顔も名前も分かる親しい人に食事を作るのでは、俗にいう愛情のこもり具合が違います。

あの人だから、こうした方が喜ぶのではないか?

この人はこういう嗜好の人だから、この料理だったら、こうした方が良いかも

という料理への工夫につながります。

高齢の方を対象とした施設であれば、食材の大きさや硬さはどの程度だとみんなが食べやすそうなのか、食べにくそうなのか。

どんな料理をどう出すと喜んでもらえるのか。

そういうところが分かると、実際のサービスに反映させることができると思います。

特に集団給食施設では、相手の顔も名前も分からないと

調理ではなく、作業になってしまう部分が否定できません。

給食なんだからこのくらいのレベルで提供されていれば問題ないだろう・・・

というように。

そこで食べる人が思い浮かぶようにすると、もっと美味しくするためにはどうすれば良いだろう?

ということを考え始めるようになります。

僕は個人情報の問題に引っかからない程度に、今日のトピックを調理スタッフにも伝えるようにしています。

○○さんは風邪気味とか、良いこと(悪いこと)が合ったみたいだとか。

日々、対象となる人達の人物像に肉付けしていくことで、どんな人がどんな風に食べるのかをイメージしてもらって調理をしてもらいます。

最近は厨房の構造化に伴って、配膳のタイミング以外では食事する人の顔も見ない(配膳時すら配膳車など使用すると顔を見ない)ことが増えてきました。

相手がおいしそうに食べているのか、そうでないのかすらも分からないのでは、おいしい食事作りは遥か彼方です。

有名店のシェフがお客さんのテーブルに行くなんてことをドラマなどでも見たことがあるのではないでしょうか?

もちろん演出の部分もありますが、こういった情報収集は本当に行われていることが少なくはありません。

もちろんファミリーレストランであれば、一定のクオリティーのものをブレずに提供することが大事なので、この作業は必要ないでしょう。

でもそうでない所なのであれば、

どんな人があなたの調理する料理を待っているのでしょうか?という日々の問いかけには非常に価値があると思います。

この考えに至ったのは今から10年ほど前、僕が病院を辞めて福祉施設で働くようになった時でした。

大学病院だったので、配膳車にごはんを乗せたら配膳はお終い。

消化管の方におやつを提供する時くらいはラウンドしましたが、結局入退院もあるので、その人の事を知る機会もあまりありませんでした。

そして治療食については、味見が禁止されていました。

美味しくなかったとしても調味料など追加できないからですが、何とも味気ない話だと思いながら働いていました。

その病院はまだ良い方で、外科などの病棟に出す食事については手直しが認められてはいたのですが、食べる人のことが分からないので、配膳車が栄養科を出たら、その食事については終了という感じでした。

ところが転職してみると、厨房のスタッフの意識が違う!

病院であれば問題なく提供されていたレベルの味付けでも、

「もっと美味しくできるはず」と誰も納得しません。

契約のおばちゃん職員ですらそういった感じで、意識の高さに驚きました。

その厨房スタッフは10年以上働いていて、食事を食べる人はもちろん、その家族とも親密であり、食べる人とその背景を完全に理解していました。

そこで働きながら色々な情報をもらっているうちに、僕の考え方も大きく変わっていきました。

そして色々分かるとその中に好きな人(本来は公平でなければいけなんですが、そこは人間なので)がでてきて、そうなると、今作っている料理はもちろんその人も食べるわけなので、手を抜くなんてことは有り得なくなります。

もちろんみんなが僕のような考え方になるわけではありませんが、自分たちがどんな人に対して食事を作っているのかを知る事自体は、モチベーション以外の部分でも非常に有意義なので、今後も同じように仕事をしていくつもりです